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支配者の黙示録  作者: 白神零
始まりの章
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始まりの章『天月芽愛と白神零』前編

これは今後投稿していくつもりの作品です

これまで二つに分けていたものを統合してストーリーを少し変えています

これまで上げたものは消さないつもりです…(多分)

物語の間間で外伝を上げて行ったりしたいと思います


神暦5219年


現在から数千年以上前の事…そこには、『世界』が存在していた


『神界』『現世』『魔界』『天界』…

様々な世界が存在し、共存していた…


その全てを創ったのは…『始まりの神族』であると言われている

『神界』には神族が、『現世』には亜人を含む人間族が、『魔界』には悪魔族が、『天界』には天使族が…それぞれの世界には…統率する種族…存在がいた


それらの世界には…『侵略者』という存在が『異界』から侵入し…絶えず戦争が繰り返されていた



世界の統率者の中には『神王』という『神王化』を果たす者が居た

神族

『原世神ゼルセルード』『始原神エリナス』『超常神ゼロ』『最高神エインテール』『海皇神ポセイドン』『陽帝神アポロ』

天使族

『創世神ゼリエル』

悪魔族

『破滅神ヴォルグリア』


それ以外にも、人間の中に…『失われた神権』に覚醒する者がおり

それらを総称して『超越者』と呼んでいた





そんな世界は…たった1柱の神…『最高神エインテール』の『死』によって終焉を迎えることになる


『最愛』の死は…人間によってもたらされてしまった

彼は…『超常神ゼロ』はその事に激怒し…自身を止めようとする『天使族』の王であった『創世神ゼリエル』を討ち…自身に取り込むことでさらなる覚醒を遂げ

人間の住まう『現世』を一撃で滅ぼした

人間の最期に観た景色は…怒りに震える『神王』の強烈な波動と放たれた攻撃の光だけだった


彼は…神界をも滅ぼし…『最愛』を転生させ…『創世』を発動させたのだ


『創世』によって『世界』は完全に創り変えられ…『神界』には『真神』という存在が発生し

『現世』では新たな文明が開花した



それが次元に果てしない歪みを生み出した事に彼は気づくことが出来なかった




___________________




現在『現世』にはいくつかの大国が存在している


主に挙げられるのは

西位国家(ウェスト)』の大国『科学帝国ギルテナード』

東位国家(イースト)』の大国『海上国家バシェリア』

北位国家(ノース)』の大国『亜人国家ウェルトナ』

南位国家(サウス)』の大国『聖国ジルクネーヴ』

そして…『中央国家(セントラル)』の大国『統一国家レギオン』



これから始まるのは…『統一国家』成立前…『法王国セレスティア』がまだ存在していた頃の話



_____________



現在から8年前 統一国家成立の1年前



法王国セレスティアは長い歴史を持つ大国である

その歴史は500年にも及ぶ


そこはセレスティアの王城内の政策会議を行っている部屋

そこにはセレスティアの重鎮が集合していた

「____以上が実行予定の計画の全容です」

情報部の青年は頭を下げて座る

「問題は…誰が…『天月』を抑えるか…ですね」

重鎮の1人が呟くと…1人の男が立ち上がる

「我々には現在『神の使徒』の加護がない…先代の『聖魔全能神』は潰えて久しい…危険な芽を摘むことも必要だ…ジャルダよ…行ってくれるな?」

「俺にお任せください…勇者程度抑えて見せましょう」


その様子を見て…陰で控えていた少年は部屋から出ていく

「『剣聖』如きが『『聖印』を有する者』に勝てるものか…」

少年がそう言うと…

「それはどうかしら…『支配者』殿」

少年は足を止めて振り返る

「貴様か…『強欲の使徒』」

「そんな呼ばれ方は好きじゃないわ…マリアと呼んで頂戴?」

「お前と『色欲の魔神(レヴィアタン)』が何を企んでいるかには興味がない…俺様の邪魔をするなら…殺すぞ」

マリアは何も言わずに少年に近づき…少年の頬に手を当てる

「邪魔なんかしないわ…でも、あなたを手に入れたいとは思うけれど」

「無謀だな」

その瞬間…いつの間にか少年が召喚した剣がマリアの首に迫るが…マリアの持つ槍に止められる

「『神魔』…肉体は人間の子供…でも、いいわぁ…」

「貴様のような人間の感傷に興味は無い」

「あら…それにしては、あなたの依代は感情豊かのようだけれど?」

少年は無表情のまま覇気を放出し、マリアを威圧する

両者は武器を収め…少年はマリアを睨む

「精々用心することだ…あの人に手を出すなら…『聖魔全能神』…零は黙っていないだろう」

「知っているわ…自分の息子の事だもの」

マリアは少年の横を通り過ぎて行く

「…何が息子だ…零を捨てたのは貴様だろうに…」

少年がそう吐き捨てると、少年の姿は消える




__________



名前:白神零(覚醒前)

能力:『全能の神権』『記憶・超常神の神権』(制限あり)『雷霆・創世神の神権』(制限あり)

種族:人間・神の使徒

武器:『神帝(エデン)』『漆黒神刀』

称号:『聖魔全能神』『転生者』『超常神』『神殺しの罪人』『天界・神界を統べる者』『神帝者』『神王』


名前:天月芽愛

能力:『精霊神の恩寵』

種族:人間・勇者

武器:『霊神剣』

称号:『精霊の勇者』『聖勇者の弟子』『聖印を有する者』


________



その日は何の変哲もないただの1日のはずだった

いつものように芽愛さんを起こして、朝ごはんを食べて、談笑して…

しかし、突然の襲撃によって全てが崩れ去る


芽愛さんは晩御飯の買い物のために近くの村まで訪れていた

馴染みの店で食材を買い、店の人と談笑して帰路に着いた

しかし、芽愛の前の道に騎士服の青年が立っている

芽愛が口を開く前に青年は剣を振り上げる

「『大聖斬』」

強力な斬撃が芽愛に迫る…が、芽愛は『風の大精霊』の力で斬撃を逸らす

芽愛は買い物したものを傍に放り投げ…『霊神剣』を引き抜く

「誰?」

「俺を知らないか?俺は『法王国近衛騎士団』団長ジャルダ=ウェインクロフトだ…よろしくする必要はない、お前にはここで死んでもらう」

「…ウェインクロフト…『剣聖』の家系か」

芽愛は『覇気』を解放し、告げる

「私は死ぬ訳にはいかないから…君を殺す事にするよ」

「やれるものなら…やってみやがれ!」



『剣聖』は『神の使徒』『神王』『勇者』『魔王』『超越者』を除く人類の守護者に与えられる称号だ

初代『剣聖』は『神の使徒』にも匹敵する実力を持っていたと言われている

ただ、これは才能ではない…これは努力の結晶である


その洗練された動きは、人類の最上位戦力に迫るかもしれない


何故…『かもしれない』なのか…それは、『格が違う』の一言に尽きる



ジャルダの剣筋は確かに鋭い…だが、芽愛を捉え切ることは出来ていない

対する芽愛はジャルダの攻撃と攻撃の間の隙を狙って攻撃を放ち、ジャルダと自分の距離を一定に保ち…適切なタイミングで攻撃を行なっている

芽愛は『炎の精霊王』の力で剣に『霊炎』を纏わせる

『霊神剣』と『霊炎』の親和性が高く…その炎の威力が増していく

その斬撃はジャルダの剣を弾き…その剣圧によってジャルダを吹き飛ばす

「あなたは勘違いしているよ…努力で埋められない差はある」

「テメェ…巫山戯んな!」

ジャルダは着地し、即座に芽愛に斬り掛かるが…芽愛は『風の精霊王』の力で再びジャルダを吹き飛ばす

芽愛はすかさずジャルダに近づく…ジャルダは剣でその攻撃を受けるが、ジャルダの剣は粉々に砕け散る

そして、芽愛が剣をジャルダに突きつける

「何の目的で私を殺そうとしているのか、聞かせてもらおうかな」

「…俺が…『勇者』なんかに…」

「答えてくれる?」

「っ!…殺せ…」


「それはあなたが…彼を…『白神零』を匿っているからですよ」

芽愛はその声に顔をあげると…芽愛たちの様子を見るように少年が立っている

「君は…」

「僕は…神白司…です…よ!」

その瞬間…少年から発せられるオーラがジャルダを捕らえ…殺す

「その邪悪な気配…君は…『神魔』の」

「流石は勇者…僕は『神魔十三皇位』第一位…エリゴス…こちらの名の方が馴染みがあるでしょうか?…『神の簒奪人(メイスシーフス)』の1人…『支配者』神白司と申します」

「神白司…気持ちの悪い事をするね…『神魔』」

「いいだろう?君の『息子』の友人だった少年だ…『天魔大戦』で死んだ…ね」

「それで?どう言うこと?あの子を匿っているから殺すって」

「…『法王国』は『聖魔全能神』の庇護を必要としている…だが、『白神一希』…グリ=クローネの方が馴染み深いかな?あの男が『全能神』の権能を捨て…勇者として生きたが故に…数年前に零の祖父が死んだ瞬間に…クズの人間があの国の統率者に立ってしまった…そこで考えたわけだ…『全能』の権能を持つものを絶えさせれば…自身の王位は揺らぐ事はない…と…他の国民も突然現れた『神の使徒』に付き従うより今の王の方が良いと考えた」

「それで…何で私を殺すの?」

「…今…『強欲の使徒(マリア=クローネ)』が零とあなたの家に向かっていますよ…」

「マリア?あれは師匠が殺したはず!」

「いいえ…あれの特殊能力は『魂』と肉体の分離…魂さえ無事なら肉体を再成させることも可能なんだそうだ」

「くっ…」

芽愛は『風の大精霊』の力で凄まじいスピードで家に向かう

司はその後ろ姿を見つめる

「幸運を祈る…天月芽愛さん」




____________



数刻前


芽愛が出ていってすぐ


零は目に付く家事を徹底的に終わらせていく

そこに…1人の少女が現れる

「零様…何者かの気配が近づいてきています」

「パンドラ…」

零の眼に『神帝』の紋章が浮かび上がる

「誰だ?」

「…マリア=クローネです」

「…父上の消息を探していたのは無意味だったか」

零は部屋にかけてある『グリ=クローネ』の予備の剣を手に取る


そして、外に出て…邪悪な気配の持ち主と対峙する

「あらぁ?お出迎え?嬉しいわぁ」

「くだらない冗談を吐かすな…何故ここに来た?いや、当ててやろう…僕を殺しに来たな?」

「私が息子を殺すような母親に見えるのかしら?」

「見えるな…僕を捨てたのはお前だからな」

「私の思考誘導を生まれながらに弾いたのがダメだったのよ…あなたを放置すると私の立場が危ういでしょう?」

「父上はどうした…殺したか?」

零は鼻で笑いながら呟く

マリアは妖艶に微笑みながら黒い光に包まれる…そして、『聖勇者グリ=クローネ』に姿を変える

「殺して…姿を奪ったのぉ…これこそ夫婦一体ってやつかしらねぇ」

「気持ちの悪い…趣味だ…な!」

零は凄まじいスピードでマリアに接近して剣を振る

しかし、『聖剣』で攻撃を止められる

そして、マリアは『グリ=クローネ』の声で呟く

「剣筋が止まって見えるな…零」

零は表情を変えないが…『覇気』が漏れている

「屑が」

そう呟き…マリアを吹き飛ばして距離を取る

マリアの姿は元に戻り、『聖剣』を収納し…槍を取り出す

「あの人の姿も好きなのだけれどね…こっちの方がしっくり来るわぁ」

「薄汚い人間だな…貴様は」

「母親に向かってその口の聞き方なのぉ?」

「お前を母親と思った事は無いな…人間は嫌いだが…お前はその最たる例のような人間だな」

「まるで自分が人間でないような言い方ねぇ…」

「あぁ…僕はお前らのような下劣な人間ではない…種族的には人間だが…お前達ほど愚かではない」


その瞬間…凄まじい速さで近づいてくる気配を感じ…マリアはハッとする


その竜巻がマリアに衝突し、突風が晴れると…『霊神剣』と槍がぶつかり合い…芽愛がマリアを睨んでいた

「芽愛さん…」

「お待たせ!大丈夫?零君」


2人はいつも通りに会話するが、マリアはそれをよく思わなかった

「天月芽愛!」

マリアが槍を叩きつけるが…『精霊による守護』が芽愛を護る

芽愛は零の方に飛び…零を庇うように立つ

「戦ったの?」

「まぁ…少しだけ?」

「…もうそれは後回しね…」

芽愛はマリアを再び睨みつける

「いつからあなたは『法王国』の傀儡になったの?」

マリアは守護に弾かれ…体勢を崩したが…再び立ち上がる

「私が…『法王国』の傀儡?…ハッ!笑わせないで…私たちがあいつらを有効活用してやってんのよ」

「有効活用?…零君を殺してあなたにメリットがあるの?」

その言葉にマリアは嬉しそうに…そして狂気的に笑う

「私は家族愛をこの身に感じていたいの…だから、息子も私と一体化すれば…私はさらに家族愛に包まれるのよぉ!」

「狂ってるね…あなた」

「それに…あの国には『嫉妬の魔神』の根が張っているから…あいつらも既に『嫉妬の魔神(レヴィアタン)』の手中なのよ」


『それは内密にと…警告したはずですが?『強欲の使徒(マリア=クローネ)』』

その瞬間…家を囲んでいる森の中の影が伸びてその人物が姿を現す

見た目はただの青年だが…内包しているオーラは邪悪で膨大だ

マリアと芽愛はその威圧感に顔を強張らせる

零はその姿を睨みつける

『お久しぶりですね…『超常神』様…ざっと数千年以上ぶりでしょうか」

芽愛は零の方をチラッと見る

零はため息を吐いて…青年に向かって呟く

「『破滅神(ヴォルグリア)』の眷属の一柱…悪魔の分際で僕の前に姿を現すか…」

レヴィアタンは芽愛の方を見る

『それがあなたの『最愛』の転生体ですか…記憶などは戻っていないのですね』

「…芽愛さん(この人)が転生体かどうか、記憶があるかどうかなど関係ない…僕がこの人を選んだと言うだけだ…貴様に理解できるとは思っていないがな」

『それは失敬…』

「レヴィアタン…何しに来たの?」

マリアがイライラしたように呟く

『手助けに来たのですよ…『剣聖』が殺されたようでしたので…わざわざ近くにいたこの依代を使って…』

「芽愛さん…この魔神は僕がやります」

「…そうだね…マリアは私がやるよ」

「気をつけてくださいね」

「零君もね」


瞬く間に…芽愛と零は同時に動き出す



____________



名前:マリア=クローネ

能力:『強欲の王権』

種族:人間・魔人

武器;獄炎龍槍

称号:『大罪の使徒・強欲』



名前:レヴィアタン

能力:『嫉妬の王権』『傲慢の王権」『悪魔王の加護』

種族:悪魔族・魔神

武器:???

称号:『大罪使徒・嫉妬』『破滅神の眷属』『魔神』



___________



白神零はまだ完全な覚醒を遂げていない…だが、『雷霆』の権能を扱うことは出来ていた

その素早さたるや…『超越者・天月優菜』に匹敵するほどであった

レヴィアタンは目で追いきれない零の動きを『空気の動き』で感知し…嬉しそうに見つめる

陰が動き…零の行先に現れる

「『天焔斬』」

陰を『神炎』が焼き尽くし…零はレヴィアタンに向かう

『覚醒していなくてもこの強さ…規格外ですね…あなた」

零の剣とレヴィアタンの『陰』がぶつかり合い…互いに互いを弾き…両者が距離を取らされる

零が手を振り上げると、零の眼に『神帝』の紋章が光を強くする

「『星粒子神速砲撃(スターダストゲイザー)』!」

上空に『星骸』が召喚され…レヴィアタンに降り注ぐ

レヴィアタンは『陰』でドームを創り出し…その攻撃を防ごうとするが…その凄まじい攻撃に『陰』が崩れ…防ぎ切れず…レヴィアタンは攻撃を避けるために走り出す

『流石の強さですね…ですが私もただ生きていたわけではありませんよ』

レヴィアタンの眼に『悪魔紋』が現れる

レヴィアタンは『陰』で剣を創造する

『『傲慢なる者の行進』』



七大罪…『嫉妬』『強欲』『傲慢』『憤怒』『暴食』『怠惰』『色欲』の始まりは、『七柱の悪魔』であった

その全てが『破滅神』によって生み出された

『憤怒』の悪魔は魔神化し…『憤怒』の称号を失い『銀色の悪魔王』の称号を得た

『傲慢』の悪魔も魔神化し…同じように『傲慢』の称号を捨て…『冥王』を名乗る

『嫉妬』の悪魔はその他の『大罪」の悪魔に嫉妬し…上記2人以外の悪魔を殺した


『嫉妬』以外の『権能』は輪廻を巡り…『大罪使徒』として人間に覚醒するようになった


レヴィアタンは…『大罪使徒』に近づき…その力を奪うようになった

これまで奪ったのは…『傲慢』のみであるが、『傲慢』の強力な権能であり…レヴィアタンを人間族に恐怖を与える存在とした



『傲慢』の権能は…簡単に言えば…『時間停止』だ

しかし、それは…『時空神』や『時の番神』の扱う権能とは違い、対峙している相手の動きを止めるものだ


レヴィアタンはそれによって零に近づき剣を振りかぶる

「悪魔が思い上がり…神の権能と酷似したものを扱う…あまり僕をイラつかせるな」

レヴィアタンには零の眼…『神帝眼』が映り…恐怖を感じる

次の瞬間…レヴィアタンは地面に叩きつけられ…零に踏みつけられる

「君は『絶対の存在』に恐怖を感じた…哀れとも思わないよ」


零はレヴィアタンの首を落とし…絶命させる

「…これでも『嫉妬の魔人』を1人殺しただけ…か先は長いな」

その瞬間…後ろから声が響く

「零君!危ない!」


身体奪取(スティール)


その光が…零に迫る…




__________




芽愛はマリアに接近し…『霊神剣』を振る

マリアはその剣を避けるが、避けることを想定していた芽愛が『風の精霊王』の力で剣速を上昇させ…横一文字に斬り裂く

マリアは咄嗟に体を逸らせたが、頬が切れる

「チッ…こいつ!」

「少し本気で行くよ」

芽愛は『光の大聖霊』を自身に顕現させる

そして、再び剣を振ると…横からの剣が全く違う方向から攻撃になり…マリアは避けられずにドレスが破れる

「ふざけるなぁぁ!」

マリアは槍を動かすが…芽愛の『光の大聖霊』を応用した動きに翻弄され…動きを止める


後退したマリアは地面に落ちた槍を拾い上げる

「流石は『雷霆者』の娘…イラつくわ…本当に…」

マリアは黒い光に包まれる

そして、『白神一希』…グリ=クローネに姿を変える

「師匠…」

マリアの持つ槍が『聖剣』に姿を変える

「あなたにはこっちの方がいいかしら?」

「本当にクズだね…あなたは」

芽愛は服についた煤を払い落とし、剣を構え直す

芽愛は『闇の大聖霊』の力を使い…地面に手をつく…そして、その姿は『陰』の中に消える

彼女の姿は陰になり…マリアに剣を振り…凄まじい量の斬撃がマリアを狙う

マリアはその斬撃を受け流しながら…『聖』のオーラを手に宿す

「『聖浄化の光(ホーリーライト)』!」

周囲に停滞していた斬撃が一気に葬られる

その光が晴れると、芽愛が剣を振り上げているのが見えてくる

「!」

「『爆炎覇斬撃』!」

その断撃は…マリアを斬り裂き…マリアの姿が元に戻り倒れ込む

芽愛は一息吐き…零がレヴィアタンに勝利したのを見て近づいていく

しかし、マリアの方から微かに声が聞こえてくる

「…『身体奪取(スティール)』」

その光が放たれ…その光は零に向かう

芽愛はそれに気づき…『風の精霊王』の力で零に近づいていき…庇う





その光は…零を庇った芽愛の中に消えていく

「…芽愛…さん」

すると、芽愛が呟く

「想定外だわぁ…まさか庇うなんて…」

零は大きく後退し…芽愛を凝視する

「貴様…マリアか」

「そうよぉ…折角自分の体を捨ててまでこの権能を使ったのに…最後の最後で邪魔されるなんて…」

零は剣を握りしめるが…戦うために構え直すことは…出来なかった

「この権能は最期の手段だったのに…」



『身体奪取』は『強欲』の権能の中で唯一…一回限りという回数制限がある権能だった

その力は、権能などをそのままに魂を強引に身体に憑依させ…対象の身体を強奪するというものだった



芽愛は…『霊神剣』を手に零に向かい合う

「やめっ…」

零が言葉を漏らすと…そこに竜巻が落ちてきて…零と芽愛は距離を離される


「…この気配…『支配者』殿かしらぁ?」

零の前に…神白司が現れる

「司?なんで…生きて…」

「…こんな事になるとは…ね」

「あなたなのねぇ…『剣聖』を殺したのは」

「…記憶も見れるか…当然ではあるが…」

司は零を庇うように芽愛に立ちはだかる

「邪魔をするの?あなたの目的からすれば…今は好機だと思うけれど?」

「僕の目的はそんな単純じゃない…お前に理解できるとは思わないがな…」

司は零に近づく

「ここは引く…次はない」

司と零の姿が竜巻の中に消えていく

芽愛は消えた後を見つめて…呟く

「…零…君………?」

芽愛は口を押さえ…自分が何を言ったのか分からず疑問の表情を浮かべる




to be continued




名前:神白司

能力:『支配の神権』

種族:人間族・神魔人

武器:『皇神(デュランダル)

称号:『神魔十三皇位・第一位』『神の簒奪人・支配者』



芽愛にの身体を奪ったマリアはその足で『法王国』に戻る

零と司は話し合い…零はあることを決心する



愛情の交錯の導く結末は…愛する者を『殺す』ことでピリオドが打たれることになる


始まりの章『天月芽愛と白神零』後編

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