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うちの愛生ちゃん  作者: 横溝 啓介
1年1学期
40/79

夏休みキャンプ ⑤

読んで下さる皆様、心より感謝致します。


ゆっくりと物語を進めますので、気長にお付き合い頂ければ幸いです。

朝食と片付けが終わったら──

「みんな泳ごうよ〜、オ・ネ・ガ・イ」と愛生はぶりっ子にお願いすると


「はい、はい、解ってるから」と里香は呆れながら返事をする


そして、みんなそれぞれ水着に着替えて登場。


まずは穂乃花。

シンプルなネイビーのワンピース水着……なのに、胸の存在感だけは圧倒的。

明宏、チラッ……(ゴクリ)

穂乃花「? なに?」

明宏「い、いや、なんでもないっ!」と目を逸らし、心臓バクバク。


続いて愛生。

ピンクのフリフリつき水着に浮き輪を抱えて「じゃーん!」とポーズ。

「愛生ちゃん、その水着かわいい!」と穂乃花がパチパチ拍手。

「でしょ〜?えへへ〜」と愛生はご満悦。


そこへ里香登場。

落ち着いた色合いのビキニ。

露出は多いのにいやらしさはなく、むしろ凛とした雰囲気を引き立てている。


「わぁ〜、里香ちゃんの水着、大人っぽくてすっごく似合ってる!」と穂乃花。

「本当、すごく綺麗〜!」と愛生も目を丸くする。


里香は少し頬を赤らめて、

「ありがと……ちょっと、頑張って選んだんだから」

と、控えめに微笑む。


湖畔が一気におしゃれなリゾートみたいに華やぐ。


一方、圭介は……

(あれ……もうこの3人だけで完結してない?俺、完全にモブキャラじゃん……)とポツン。


それでもつい、里香の上品なビキニ姿に目を奪われてしまい、

「おおっ……」と声が出る。


その瞬間──


「なに見てんのよっ!」

愛生がギュッと圭介の腕をつねる!


「いってぇ! 痛いって愛生!」

「もう、変なとこ見ないのっ!」

(……変なとこじゃなくて普通に……いや言わない方がいいな)と圭介は心の中で小さく反論。


里香はそんな2人を見て、くすっと笑う。

「ふふ、仲がいいわね」

と、あくまで上品に言い残し、そっと湖に向かう。


愛生は頬をぷくっとふくらませて「むぅ〜っ!」と怒るが、

穂乃花はのんびり「ふふっ、ほんと仲良しだね〜」と微笑んでいる。


そして全員で湖へダッシュ!

キラキラした湖面に飛び込むと、冷たい水しぶきがパシャーン!

まるで青春映画みたいな本栖湖の朝が始まった。


湖畔はすっかり夏モード!

透明度の高い本栖湖に、みんなが次々と入水していく。


まずは愛生。

「わーい!しゅっぱーつ!」

ピンクの浮き輪に抱きつき、犬かきみたいにバシャバシャ進む。

まるで小学生の水泳教室、でも本人は大満足の笑顔。


「ぷかぷか〜、気持ちいいよ〜!」

浮き輪に寝転んで手足をバタバタ、湖の真ん中まで行く気満々。


一方で、岸近くでは水かけ合戦が勃発!

「そりゃーっ!」と明宏が思い切り水をかけると、

「きゃっ!」と笑いながら水をかえす穂乃花。

動きはおっとりだけど、意外と的確に水を飛ばしてくる。


里香はというと、

「もう、子どもっぽいわね……」といいつつ、

ぱしゃっ、と手で静かに水をかける。

でもその水しぶきが絶妙に顔面直撃!

「わぷっ!?」と明宏がびしょ濡れになり、

「やったわ」と小さく微笑む里香。

知的で上品なのに、さりげなく勝負強い。


「穂乃花先輩、行くよー!」

明宏が再び水をすくい、穂乃花へ豪快にかける!

「ひゃぁっ! 冷たい〜!」

穂乃花は慌てて顔を隠すが、ふわっと笑顔になり、

「明ちゃん、元気いっぱいだね〜」と癒しの一言。

明宏のテンションはさらに爆上がり。


岸では圭介と寺ノ沢先生が見守り中。

「青春してるなぁ〜、いいなぁ〜」と先生はニコニコ。

圭介は、湖面を見つめながら、

(あれ、俺も水かけたい……でも参加したら完全に子ども扱いされそうだし……)

と、ちょっとだけ参加したそうな顔。


愛生はそんな圭介を見つけ、

「お兄ちゃんも来なよ〜!」と手を振る。

「だ、大丈夫!お兄ちゃんは監督だから!」

と言いつつ、ちょっとだけズボンをたくし上げて足だけ入水。


「ねぇねぇ、愛生ちゃん。浮き輪貸して〜」と穂乃花。

「ダメー!これは愛生の〜!」と全力拒否、

でもちゃっかり穂乃花の腕を掴んで引っ張り込み、二人でぷかぷか。


水面からはじける笑い声、湖面に広がる水しぶき、

まるで青春映画のワンシーン。


里香は少し離れた場所で上品に水をすくいながら、

「……こういうのも悪くないわね」

と、ちょっと嬉しそうに目を細めていた。


穂乃花がビーチボールを取りにやってきた。

「ビーチボール、借りにきました〜」といつものゆるっとした笑顔。


圭介はそのタイミングで声をかける。

「穂乃花ちゃん、さっき明宏を慰めてくれてありがとう。」


「えっ?」

少し驚いた表情の穂乃花。

「そんな……別に大したことしてないですよ?」


「いやいや、あれで明宏、だいぶ落ち着いたんだ。助かったよ。」

圭介が真面目な顔で言うと、

穂乃花は少し頬を赤らめて、

「私、弟と妹がいるんです。

だから、困ってるお兄さんを見ると、なんか放っておけなくて……」


圭介は「そっか……ありがとう、本当に助かったよ」と、ますます感心。


穂乃花はちょっと恥ずかしそうに

「きっと明ちゃんも、お兄さんや愛生ちゃんに褒められたり叱られたりしても、

結局甘えちゃうと思うんです。

だから私がちょっとケアしなくちゃって……」


指先でビーチボールをコロコロ転がしながら、照れ笑いする穂乃花。


圭介は心の中で(この子……高校1年生なのに、考え方しっかりしてるな……)と感心してしまう。

「ほんと、しっかりしてるよね」と思わず口にすると、

穂乃花は「えへへ……」と控えめに笑った。


その柔らかな笑顔に、圭介は思わず心の中で(天使だなぁ……)と呟いてしまったのだった。


が、次の瞬間。

湖畔で里香が「なに二人で会話してんの?」とジト目でこちらを見ている。


圭介の胸はドキリ。

(やべ、里香ちゃん見てた……)

そして、なぜか内心ニヤける圭介。


(……やっぱ俺、天使ちゃんより小悪魔ちゃんの方が好きなんだよな)

と、せっかくの「天使ポイント」を秒で帳消しにする残念兄。


穂乃花は(あれ? お兄さん、なんでニヤけてるんだろ……)と首を傾げるのだった。


今度は圭介も含めてビーチボールでバレーボールもどきが始まった。

「はい、いくよー!」と愛生が優しくトス、

「ナイスキャッチ♡」と里香が軽やかにレシーブ。

女子3人と明宏の和やかでキャピキャピなビーチボール回し……


かと思いきや、圭介の番になった瞬間、空気が一変した。


「……お兄ちゃん、構えてね♡」

愛生の笑顔がめちゃくちゃ怖い。

ドゴォン!!

愛生、全力スパイク。


「おわっ!」

圭介、顔面直撃。


続けざまに

「はい、圭介くん、行よ〜」

里香がしなやかなフォームでスパイク!

バシュッ!

またも顔面ヒット。


「な、なんで俺だけ狙うんだよぉ!?」

必死に抗議する圭介だが、

愛生はにっこり笑って、

「お兄ちゃん、さっき穂乃花ちゃんとニヤニヤしてたでしょ?

お仕置きだから♡」


里香も涼しい顔で

「……別にいいけど?でも私の前でニヤけてるの、ちょっと癪なのよね」

と、静かに宣告。


──その瞬間から、完全集中攻撃が始まった。


ドン! バシッ! ドゴォン!

ビーチボールが次々と圭介の顔面へ襲いかかる!


「やめろぉ!俺何も悪いことしてない!!」

圭介、泣きそうになりながら逃げ惑う


一方その頃──

穂乃花は「え?え?なんで圭介さんだけ集中砲火?」とポカーン。


寺ノ沢先生は腕を組んで

「……なるほど、これは恋愛フラグの処刑シーンですね」

と、妙に納得してクスクス笑っていた。


圭介、ビーチボールの猛攻を避けきれず、

ついに両手を高く上げて、


「もぉ〜〜やめてくれぇぇぇーーー!!!」

湖に向かって絶叫!


その姿を見て、愛生は腕を組み、

「ふふっ♡ じゃあ、反省したってことで許してあげる」

と勝ち誇った笑顔。


……しかし、問題は里香だった。


無言。

ただ静かに、じーーっと圭介を見ている。


(え、なに……こわいこわいこわい!!)

圭介、内心パニック。


湖面からゆっくり上がるときも、

「フ、フンッ……!」と鼻で笑っただけの里香。

そのさりげない仕草に、圭介は全身から冷や汗。


「……ご、ごめんなさい……」

完全敗北宣言の圭介。


そんな彼の様子を見て、穂乃花はくすっと微笑み、

明宏は「圭ちゃん、完全にしつけられてるな……」とぼそり。

寺ノ沢先生は肩を震わせて笑いをこらえていた。


「皆さん、そろそろ時間ですよ〜!」

湖畔に響く寺ノ沢先生の声。


まるでゴングが鳴ったかのように、

圭介はほっと胸を撫でおろした。


「ふふ……時間に助けられたわね」

里香が唇の端を上げて、不敵に微笑む。


(や、やばい……その笑顔……)

圭介、顔が一気に真っ赤になり、

胸を押さえながら思わずガクッと膝をつく。


「キュン死にしそう……!」

湖面に反射する自分の情けない顔を見てさらに赤面。


「ちょっ……圭ちゃん、何してんの……?」

明宏がドン引き。


「お兄さん、そんなことで倒れないでくださいね〜」

寺ノ沢先生は苦笑しつつも半分呆れ顔。


一方で里香は涼しい顔のまま、

「……じゃ、行きましょ」

と何事もなかったかのように立ち上がり、

圭介はその後ろ姿を見てさらに崩れ落ちていた……。

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