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0006.ゆく年くる年

落ち葉に霜が降りて縁取りを作り 吐く息は白い煙のように

透明な冬の空に冷たい風と バニラ色の日の光が静かに広がっていく


今年もまた終わりを迎えるけど

過ぎていった一年は 瞬く間のことのような

時間はいつでも踊るように 駆け抜けていく


隣に座るきみは 背もたれに体をあずけて眠りに落ちていて

微かな寝息がこぼれて聞こえてくる


遠いあの日のきみは喧騒の中で なぜわたしに気づいてくれたのだろう

顔見知りではあったけれど それ以上の接点があったわけではなく

名前を知っていたけれど 話をしたこともそれまで一度もなかったと思う

あの場所ですれ違うこと自体が 思いもよらないことだったのに


自失していたわたしに きみはなぜ声をかけてくれたのだろう

あの時わたしは 驚きから思わずきみを 避けようとしていたのに

きみはそれでも わたしを気遣ってくれていた


橙色に染まって落ちていく日が 次第に木々の間に消えていき

群青が背後の空から広がっていく

色を失っていく街には 夜の明かりが灯り始める


長い歩みの中でわたしたちは 何度も分岐点に遭遇し なんらかの選択を強いられる

そしてそのたびに 何かを得て何かを失っていく


遠いあの日のきみの選択が 正しいのかはいまはまだ 誰にもわからないけれど

いつかあの時の判断は正しかったと この道を選んでよかったと

いつかそう思える時が来ればいい それが何年先のことなのかもわからないけど

わたしはそれだけを望んでる


夜のとばりが街を包み込んで わたしたちは静けさの中に深く沈み

色の無い冬の夜空に 無数の星が撒かれていく


きみにとってわたしは どれだけの存在でいられるのだろう

わたしにとってはきみがいてくれることは なにものにも代え難くて

きみがわたしと出会ってくれたこと ともに歩むことを選んでくれたこと

そのことに感謝したくて 感謝しきれない


喜びも悲しみも 笑いも苦しみも分かち合って 

これからはふたりで 幾星霜も続く長い道を歩んでいこう

いまはまだ自信がもてなくても 戸惑いも迷いも抱えていても

窓ガラスの向こうの夜の空に 不安の色しか見えなくても

透き通った明日を 信じることができなかったとしても

それでも星は輝き月は巡り時は流れ 凍てついた夜もいつかは明けていく


年越しの鐘の音が 静寂の除夜の街に響く

新しい年は もうすぐそこに


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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