シロ ロボット工場へ行く
僕は上官の話を聞いてすぐにロボット工場へ向かった。ロボット工場への道は街の中央にある大きなエレベーターですぐに行ける。僕はエレベーターに乗り込むとロボット工場へのボタンを押した。
「何だろうな…」
僕は不思議に思いながらロボット工場の階へ降りると目の前には上官と思われる人と屈強なロボット2人が隣に立っていた。
「シロですが…」
上官は笑顔で答えた。
上官「君には伝えないと行けないことがある」
僕はロボット工場が大きく見えるガラスがある廊下を通り抜けるとロボット工場の指示室の様なガラス張りの部屋へ連れて行かれた。
「僕、なんかやっちゃいました?」
上官「君は何もしていないが…。これを見てくれ」
上官はPCを動かすと一体のロボットが出て来た。小さな体に犬の様な見た目だった。
「新しいロボットですか?」
上官「いや。君がこれだ」
ロボットが鏡を持って来た。鏡にはPCに写っていたロボットと全く同じのロボットが立っていた。たしかに、一度も自分の姿を見たことは無かったが、親も人間、仲間も人間だ。それにロボットならもっと危険な任務や雑用が多いはずだ。
上官「驚くのも無理は無いか。君の型のロボットは5機しか生産されておらず、今はもう生産停止している限定品の様なものだからね。5機のうち2機は戦死、1機は故障、もう1機は行方不明。君が最後に残った一機なんだよ」
「ふーん?」
上官「君自身はとても貴重な存在だ。これを見てくれ」
上官はPCをカタカタするともう一台の僕が出て来た。今度は色違いだ。
上官「君の型は個体ごとに色を変えていてね。…この機体はおそらく行方不明になっている機体だ。この機体のおおよその位置が分かった。GPSがまだ作動していたようだ。この機体は黒色だから…クロ、とでも呼ぼうか。クロは少しずつだが移動している。君にはクロを追いかけてもらう任務を任せたいんだ」
「うううん?何でぇ?!」
上官「君、シロとクロ。何かあると思わないか?もちろん、君が嫌なら大丈夫だ。君と彼はシステムで繋がっている。近づけば何か分かるはずだ。とにかく善は急げだ。行って来てくれ」
そうしてクロを追いかけることになった。MTSの基地へ向かうと車が数台とロボット、田中が準備をしていた。僕は田中へ話しかけ、いろいろ聞いた。
「田中さん、これからどうするんですか?」
田中「今から、クロがいる場所だよ。そうだ。君もロボットって決まったし、シロくんでいい?」
「オッケー!じゃあ行こうか」
車内は4人乗りになっていてレーダーなどの機械が大量に置かれていた。すると助手席に座っているゴリラ型ロボットが話しかけて来た。
マイケル「俺はマイケル。よろしく」
すると運転席の男も話しかけて来た。
山田「僕は山田。よろしく。この部隊の隊長だ。」
その時、車が一斉に発進した。
「おんぎゃああ!」
山田「ここは地上の人類が多く居るからね。中に入られたら大変だ。」
後ろを見ると何万人という人数が車が出て来た扉にしがみついて泣いていた。
「おぉ…」
マイケル「仕方が無い。」
僕は少し複雑な感情になった。その時、車が停止した。
「どうしたんですか?」
山田「魔獣の群れだ。ステルスモード起動」
僕たちが乗っている車の真上を魔獣が歩いて行った。
「倒さないんですか?」
マイケル「無駄な殺しをする必要は無いからな。無害な魔獣は無視するのが一番だ。」