第3話 経緯
私がお城を出る1日前……私はセレナ様の部屋に食事を届けていた。
「いつもありがとうございます。シルビア……」
「いえ、これが仕事なので……」
無愛想に答えて私は部屋を出ようとすると珍しくセレナ様からお声が掛かった。
「シルビアさん1つ尋ねてもよろしいですか?」
「……なんなりと。」
「あら、お忙しいのでしたら良いですよ。」
(しまった……流石に無愛想にもほどがある。)
「し、失礼しました!多忙ではございません!何なりと!」
「ふふふ。あなたはなかなか面白い方の様ですね。では……お聞きします。私の姉クレアの事です……あ、」
私は相当酷い顔をしていたのだろう。セレナ様は察してくれました。
「わ、分かりました……やはりあの噂は本当の様ですね。」
「はい……大変申し上げ難いのですが……セレナ様のお姉様は毒姫と呼ばれてます。」
「はぁ……私の前では優しい方なのですがね……」
「人は裏表がありますからね。クレア様もそうなんでしょう。」
私は失礼と思いつつもはっきり伝えた。セレナ様の目を覚ます為に。
「……仕方ありません。あの人を試してみましょう。」
「試すですか?」
セレナ様には何か策があるらしいので聞いてみる。
「シルビアさんクレアお姉様に退職のご相談をしてみてくれませんか?」
「……私、辞める予定ないですよ?」
「知っています。ただ相談するだけで良いのです。それであの方が辞める辞めないをあなたに選ばせない様であれば恐らくもう毒姫なのでしょう。ですがもし、シルビア、あなたに答えを選ばせる様であればまだあの方に心は残っています。それを確かめてほしいのです。」
「別途でお給料貰えますか?」
「ちゃっかりしていますね……」
「はい、お仕事の範囲外ですから。」
そしてその夜にクレア様の部屋へ行きその質問をした。結果は……
「クレア様……私はこのお仕事向いてないのかもしれません……なので辞めようと考えております。」
「そう。じゃあ辞めちゃえば?」
「止めないのですか?」
「私にはあなたを止める理由がないもの。それにあなたの辞める辞めないを私は決めてはなられないわ。あなたが決める事だもの。てか、なんで私に言ってくるの?」
(あ〜……セレナ様……良かったですね。あなたの姉はまだ毒姫ではない様です。)
私はその後セレナ様の部屋へ戻って報告をした。
「そう……良かったです。お姉様が変わってしまったわけではなくて。」
「はい、良かったですね。」
「他人事ですね……」
「他人事ですから……」
「でも、お姉様も悪い方ですね。自分を悪く見せる為にメイドさん達をいじめてるなんて……」
「ええ、いい迷惑ですよ。なので妹のセレナ様から注意してください。」
「いえ、メイドさん達の恨みなのでメイドさんに任せるのが良いですね。シルビアさん。あなたがクレアお姉様をお仕置きして下さい。」
「……はい?」
「恐らくこのまま行けばあの方はお城から追い出されます。そうなった時あの方に付いて行く方はいません。なのであなたが付き人となってあの方を指導してください。何をしても構いませんから。守ってあげてください。」
「……都合のいい様に言ってますがつまりはお目付け役ですよね?」
「そうですね。申し訳ありません。もちろんお給金もちゃんと支払いますから。」
深々と頭を下げてくれているがこれはある意味チャンスでもある。今までの復讐が出来るのだから。それに気の強い子を屈服させるとゾクゾクする。そしてお金も貰えるのならやる以外の選択肢なし!
「それに……お姉様とシルビアは結構相性良さそうなので。」
「はぁ!?なんでそうなるんですか⁉︎」
「なんとなくです。あなたならお姉様の本心を聞き出せると思ったのです。」
「……はぁ……わかりました。やらせて頂きます。ですが行き先が分からないと……」
「そこは安心してください。あの方は東の国に興味を持っておりました。なのであちらの国境付近の町で待つといいでしょう。」
「……いえ、あり得ませんよ!あの国は今他の隣国と一触即発なんですよ!」
「たぶん知らないと思いますよ。あの方は国の情勢や政治に関しては無頓着ですから。それよりも平民の方々の暮らし主に福祉方面やインフラ整備は私より詳しいですから。」
なので言われた通り東の最東端の町で待っていると本当に来た。そして再会して即座にあのクレア様にビンタを2回もかまして泣きだしそうなあの顔にゾクゾクした。正直泣かせたい。更にはどちらが立場が上かもわからせてあげた。これからの旅が楽しみで仕方ないのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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