第20話 最北の町へ
私たちのチラシ配りで味を知ってもらったおかげで経営は回復方向に向かった。そのおかげで私たちは無料で宿代と食費を浮かせただけでなくお給金まで貰えて出発できた。
「お世話になりました!」
「なんのなんの、こっちこそ客が毎日増えて行ってありがたい限りだよ。またバイトを雇わないといけないがな。」
「これは道中食べなさい。今朝作ったからね。あと保存食もと水もね。」
「ありがとうございます!」
「おう、良いって事よ!達者でな!」
そうして私たちは更に北上した。馬車に揺られて2日目の夕方、私たちは一面の雪原で降ろされた。
「お客さん、着いたよ。」
「はい……?」
「真っ白ね。町も無いようだけど……」
「あぁ、お客さんたちは知らないんだな。ここの町は地下にあるんだ。そこの井戸があるだろう。そこに梯子があるから降りて行くといいよ。」
馬車の運転手さんが指差した方には確かに井戸があったがにわかに信じがたい私たちは恐る恐る井戸の中を見ると確かに梯子があった。
「降りてみます?」
「降りるしかないでしょ。」
ここで凍死するのは避けたい。だから慎重に降りる事にした。
「……」
「……」
降りた先に私たちは呆然と立ち尽くした。そこには街があったのだから。
「雪の下にこんな街があるなんて……」
「想像もつかないわよ。」
「おっ、客人かい?ようこそわが町へ!」
立ち尽くしているとおじさんに話しかけられたのでいろいろ聞いてみることにした。
「あの、この町は?」
「あぁ、地下にあるのが驚いてるんだろ?暗いからみんなランタンを持って歩いてるんだ。」
「いや、何で地下にあるの?」
「それはだな。寒いからだ。」
「「はい?」」
ストレート過ぎる答えに流石にそれしか言えなかった。
「この地方は寒い、だが地下ならそこそこに暖かい。元々は防空壕でな。地下陣地を作ってたんだが争いも終わったからいっそ町にしてしまおうという事になって現在に至るわけだ。」
「な、なるほどです。」
「でも、それだと外からの空気は取り入れられますが、寒さも変わらないんじゃ?」
「そう考えるよな。だが、そんなに寒くないだろう?」
言われてみれば上より寒くなかった。
「確かに寒くはないですね。」
「だろう?それはなここまで降りてくる道中を直角にして掘ってきてる。それだけでまっすぐ冷気は来ないからな。空気は入ってくるが冷気も暖気も直接は来ない。だから夏と冬はここで暮らすのさ。おっと、そろそろいかねぇと!じゃあな、楽しんで行ってくれ!」
そう言って男性は走って去って行った。
「なんというか凄い町ですね。」
「ええ、至る所に行灯があるってのもなかなか異様な光景よね。」
「私たちもランタン買わないといけませんね。」
「その前に宿を取らない。寒くないとは言え、こんなところで野宿したら犯罪に巻き込まれるわ。」
という事で宿探しだ。しかし……
「申し訳ございません満室です。」
「今日は満室でして……」
「すいません、全て埋まっております。」
まさかの3件撃沈……かなり拙い状況だった。
「まさか野宿ですか?町中で……」
「まだ宿はあるでしょうが!不吉な事を言うんじゃない!」
「ひゃい!」
ほっぺたをつねられてまともに返事が出来ないだけどもっと酷いのはそのまま私を引っ張って行った事だった!その後6件目にしてなんとか見つけたが……とても金貨数枚も出して泊まる様な宿ではなかった。
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