第19話 買い出し
あれよあれよと5日が過ぎた。店は前より繁盛しているらしい。チラシと料理の美味しさ、そしてシルビアのおかげで変な客は来ないという噂から平穏なお店が維持出来ていた。
「ええっと、お野菜は玉ねぎ、にんじん、ナス、ピーマンと……」
「ピーマンなんて中身スカスカなのに何で食べるのかしら……」
私の後ろで悪態をつきながらも買い物袋を持ってくれていた。私だけで頼まれたが1人じゃ何しでかすか分からないからと無理やりついて来たのだ。
「食べるのはお客様ですよー。次はお肉買いますよー」
私たちはお肉屋さんに向かいました。
「ええっと、ひき肉とロースと薄切り肉をください。」
「はいよ!」
「シルビアさんはお魚屋さんで白身魚をお願いします。店主さんが新メニューを作るそうですよ。」
「あぁ、聞いたわ。だけど上手くいくかしらね。」
「そこはシルビアさんも手伝ってあげれば出来るのでは?」
「私、魚料理作った事ないのよねー。」
「そうなんですか?なら習ってみては?」
私の一言で顔が少し歪みました。顔に出やすいタイプだ。
「新しい料理も覚えておくと後で使えるかもしれませんよ?」
「旅をしてて魚はあんまり持たない理由わかる?」
「保存が効かないからですか?」
「分かってるじゃない。肉だって干し肉とパンがメインでしょ?野菜ですら危ういけど温めて使ってかつ腐ってる部分は切り取ってる。でも、魚の場合は違う、保存も効かないし、腐れば臭う。旅には向かないのよ。」
「お肉みたいに燻製にしては?」
「物凄い異臭がするわよ。気絶レベルでね。」
(やったんだ……)
やって異臭に当てられたからここまで拒むんだと分かって無理に進めるのはやめました。
夜はやはり大忙しで、ホールと厨房を行ったり来たり、お会計もしたりと大忙しで休む暇がない。最初に来た時はガラガラだったが今は満員御礼だ。そして後片付けが終わった後、新作メニューの開発を始めた。
「どんなメニューにしますか?」
「すぐに出せるなら焼き魚だよな。」
「分かりますが、それだけで大丈夫なんですか?」
「わからん、とりあえず作ってみてからだ。」
どうやら見切り発車らしくなんのプランもない様だ。この町は海から遠い為魚を使った料理店はない。良い着眼点だと思うけど……私は心配そうにシルビアを見た。それを受けたシルビアはため息を吐いた。
「あー!もう!分かったわよ。私の知ってる魚料理教えてあげるから見てなさい!」
シルビアがいきなり啖呵を切って始めた。作っているのはポトフだ。でも、これだと肉料理になってしまう。つまり肉の代わりに魚を入れるのだろう。
「はい、昔教えて貰った物を少し濃いめにして煮詰めたから美味しいと思うわよ。これをベースに改良してよね。」
「わ、分かった。」
いやいや作った割にはなかなか良い出来だと思った。味もいいし売れれば人気になりそうだ。けれど完成を見ることなく私たちは旅の続きをしなければならないのだ。まだまだ北上しなければならないのだから。
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