第18話 厨房とホール
昨日と同じで昼間はチラシを配って、夜は店の中を回す。私はホール、シルビアは厨房だ。
「おぉ、ここのスパゲッティ美味いな。」
「こっちのグラタンもいけるわ!」
シルビアが作ってるのか店主が作ってるのか分からない。でもみんなが笑顔になるのは良い事だ。
「次もまた利用しましょう。」
「そうだな。また来ようか。」
リピート客も増えてきている。これなら私たちが去った後も大丈夫だろう。しかし、人がくると言う事はトラブルもやってくるものだ。
「おい、ガキが泣いてて飯が不味くなる!失せろ!」
「あぁん?子供は泣くのが仕事だろうが!お前が消えろ!」
客同士の喧嘩だった止めるのは私たち従業員。だけど奥さんは今ホールにいないだから私がやらないといけないのだ。
「すいません、喧嘩は他のお客様へのご迷惑に……」
「うっせー!黙ってろ!」
私ではやっぱり止められない……でも、評判を下げたくない……だから……
「他のお客様のご迷惑になるのでこれ以上騒ぐのならお題はいりません出て行って下さい!」
「な、なんだと!それが客への態度か小娘!」
男の人が拳を振り上げた。私は目を瞑った。しかしその拳は落ちて来なかった。なぜなら……
「ク〜レ〜ア〜……なーにサボってるのかな?」
包丁を持ったシルビアがホールに現れたのだ。それには流石に客の男も固まるわ。
「いや、まって……これには深〜い事情がありまして……」
「私の指示より優先される事……あるの?」
私はそっと男の人を見た。
「し、失礼しました!お返しします!」
そして先程の男は逃げて行った。もう1人の男性は席に戻った。一難は去っただが、この怒り狂う魔王と対話で解決しなければならないのだ。しかし……
「用事が終わったのなら早く持って行きなさい!冷めちゃうでしょ!」
「は、はい!」
結果オーライなのか……とりあえずは平常に戻ったのだった。
店を閉めた後、後片付けを終え、仮住まいさせて貰ってる部屋でお説教された。
「なんですぐに呼びに来ないの?」
「えっ?私はホールでシルビア様は厨房だからです。」
「ふーん……それであの2人の喧嘩止める事できたの?」
「……出来ません。」
パチーン!
飛んできたビンタはめちゃくちゃ痛かった。
「出来なければクレアが怪我するだけじゃ済まないのよ。そのまま吹き飛んだら他のお客様に迷惑をかけるの。熱い商品が身体に掛かったら火傷になるし、服に飛べば弁償にしなくちゃいけないの。分かる?」
「はい……ごめんなさい。」
たぶん心配してるからこそ引っ叩いてるのだと思った。というか、この人がいつも怒るのは……まぁたまに八つ当たりもあるけど基本私の事を心配しての事だ。
「分かればいいのよ。ほら、さっさと寝るわよ。明日も働く為にね!」
「はい!」
別々のベッドに潜り込んで1日の休みを取る。明日の為に。
厨房は火の車だった。店主と私の2人だけ……回せるか!
「スパゲッティにグラタン持ってて!」
「こっちスープ出来たぞ。持ってけ!」
私たちが作った料理をクレアたちが持って行く。作る時は質もスピードも落とさない。言われた注文をで早く作っていくだけだ。それなのに……
「うるせぇーぞ!」
「なんだとコラー!」
ホールでまた喧嘩だ。人が増えるとこういう荒事も増える。
「シルビアさん、あれやってくれ……」
「店主はやらないの?」
「いや、俺がやったらガチの喧嘩になっちまうからな……」
「その強面の顔で包丁持って出てったら他の客も出て行くわね。了解。」
私は包丁を持って、エプロンにはケチャップをべっとりつけていざ出陣だ。と言っても大体この格好みたら逃げていく。まぁこんな格好で厨房から出てきたらそりゃビビるよね。
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