第17話 チラシ配り
一方お城では……
「セレナ様。何を読んでるのですか?」
「シルビアからの手紙です。」
「あー……急に消えてあのメイドですか……今は何をしているのですか?」
「お姉様の監視です。」
「ええー⁉︎なんでまた?」
メルシーにとってそれは青天の霹靂だった。
「何故彼女に任せたのです!私の方が適任だったはずです!」
「ふふふ。メルシーならそう言うと思ったわ……でもだからあなたではダメなのです。YESマンではなくしっかりと状況をみて時に叱ってくれる彼女が適任なのです。」
「それはそうですが……でも、シルビアはクレア様の事を嫌ってました。下手をするとクレア様の身に何があるか……」
「メルシーの言いたい事も分かります。ですが、あの子は公私を分ける方です。それもバッサリと情に流される事も少ないだから任せたのです。」
そこまで言われては反論は出来ない。
「それに……これはシルビアに私から頼んだのです。」
「セレナ様からですか?」
「そう……そしていつでも連れ戻せる様にこうやって手紙を送らせてるのです。」
「そうなのですね。それで今は何処にいるのですか?」
「この手紙は東の国境付近の町からです。やはりクレア姉さまはあちらに向かわれた様です。これからは北上して暖かくなるまでは身を隠すそうです。落ち着ける場所が出来たらまた報告するそうです。」
「そうなりますと……この時期は雪で山越えは難しいんじゃないですかね?」
「そうなった時は何処かで止まってると思うので手紙を待ちましょう。」
不満そうなメルシーの顔が少し面白かった様でセレナは笑うのであった。
そんなシルビア、クレアはというと……
「どうぞー、食堂ムーンへようこそー」
「こちらでやってまーす。」
チラシ配りをしていた。
「うぅ……寒い……」
「ほら、クレア!手を止めない足止めない、まだまだお客さん入ってないよ!」
シルビアから喝が入るが私はもともと寒いのが苦手だ。
「だってー……」
「はい、言い訳!ペナルティー3ね。」
仕事中は罰はない、でも終わった後に罰が待ってる……昨日はそれを店主の奥さんに見られて大変だった。
「うぅ……今日は何をされるのやら……」
「それは夜のお楽しみ……それよりチラシ配りなさい!お金貰えないわよ!」
と言っても……通る人はチラシを受け取ってくれない。受け取っても捨てられる。それでも持って帰ってくれた人がいれば来てくれる。そう言い聞かせて私はチラシを配る。
日が暮れて店に戻るとそこそこ人が入っていた。
「おっ、2人ともおつかれ。一旦休憩した後ホール見てくれない?」
「分かりました。」
私たちは一旦暖かいスープを飲んで再び仕事を始めた。私はホールを、そしてシルビアは何故か調理場をやっていた。
(マジか……)
私は驚いた。普段料理してるのは知ってるし、味付けや盛り付けも綺麗なのも知ってる。でもお店に出せるレベルだった事に私は驚きを隠せずにいた。
「ほら、クレア!これ4番テーブルさんね!」
「あ、はい!」
驚いてる場合ではない、私も仕事しなければならないのだ。お店が終わるのは暗くなってきて人が少なくなってきたタイミングでラストオーダーとなる。つまりお客さんが少なくなってきてかつ誰も入って来なくなるまでは深夜になろうがやるのだ。
「はーい、みなさんラストオーダーでーす!頼み忘れはありませんか?」
この掛け声を奥さんが言うとそれ以降のお客さんはお店に入れない。それがここの暗黙のルールだ。そしてお店が落ち着いたら片付け作業だ。私は洗い物を奥さんとしていた。
「いやー、2人のおかげで今日は珍しくお客さんが来たよ。」
「そうなのですか?」
「ええ、ここは大通りから外れてるからね。お客さんに気がついて貰えない事がほとんどなの。2人のチラシ配りのおかげかもね。」
「あ、ありがとうございます!」
「それで、2人って恋人なの?」
「え、いえ……私たちは……」
友達?いやないな……そもそも友達とかいないし、私の姉妹はセレナだけ……恋人?1番ないな……結論は……
「行く道が同じなだけのただの知り合いです。」
「その割にはいいチームワークね。」
「他の町でも2人でアルバイトしてたので。」
「ふーん……素直じゃないわね。」
「えっ?何か言いました?」
「何でもないわよー、さぁ片付け片付け!」
よく聞き取れなかったが言い直さないのなら気にしなくていいのだろう。私たちは洗い物を終わらせていきました。
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