第13話 シルビアの過去3
私を連れて出て行く2人は馬車に乗るまで無言だった。だけど馬車に乗るなり高笑いを始めたのです。
「あはは!スカーレットよくやったわ!あんな自分はあたかも被害者ズラしてる奴大っ嫌いなのよね。」
「いやー、それならレベッカもよ。アイツアンタの睨み1つで失禁しそうなくらいビビってたわ。笑い堪えるので必死だったわ。」
2人は馬車の中でゲラゲラ笑いながら話してた。
(この人たちに付いて行って良かったのかな……)
私が疑問を持ち始めた頃、ようやく2人は私のことを思い出した。
「あぁ、ごめんね。腕きつかったでしょ?」
「は、はい……」
「でも、もう少し我慢してね。これから行く施設に行くまではして貰うのが規則なの。」
「分かりました。」
そうして馬車に乗って外を見ているとあの木が目に入った。
「……ごめんなさい。少し止めて貰えますか?」
「なんで?」
レベッカさんのあの目だ。だけどこれは譲れないからダメ元で頼んでみる。
「あ、あの木に私はお母さんを埋めました。今度いつ帰ってくるかわからないし……それに昨日ただいま言ってなかったから心配してると思う。だからただいまと行ってきますが言いたいんです。」
2人は顔を見合わせて少し考えてくれた。
「それは私たちも同行していいかしら?」
「じゃないと認められない。」
「はい。大丈夫です。」
2人は頷くとスカーレットさんが騎手の方に馬車を停める指示をしてくれて馬車は止まった。そして私はレベッカさんと腕を組んだ。これなら逃げられないからだろう。
「あの杉の木?」
「はい、少し遠いですがごめんなさい……」
「いいわよ。親に心配かけたくないものね。」
「……はい。」
そうして杉の木の近くになるとスカーレットさんは縄を解いてくれた。
「えっ?良いんですか?」
「いいわよ。私たちしかいないんだし。それに娘が手を縛られてるのを見たら親は悲しむわよ。」
「ありがとうございます……」
初めて自然と涙が出た。母意外から優しくされた事がなく、初めて母意外の味方が出来た。そんな気がしたのだ。
私は杉の木に向かい手を合わせます。
(遅くなってごめんなさい。ただいま。そして……行ってきます!)
私は振り返り2人の元へ戻った。
「お別れは言ったの?」
「いいえ、また帰ってきます。だから行ってきますと言いました。」
「あはは!シルビア、アンタやっぱりいいわ!気に入ったわ。私が面倒見てあげる。そしていい職場探してあげるわ!」
スカーレットさんは私の背中をバシバシ叩いた。正直痛いけど嬉しかった。私の新たな居場所が出来たのだから。
そこからはよく覚えていない。ただ施設に入る時に盛大に洗われた。そして今までの罪を償いとして鞭打ち刑になった。これは当然の報いで執行の際は口にタオルを噛ませられて手足は固定させられた。しばらくは椅子に座る事も出来なかった。これらの執行は全てスカーレットさんだった。
「良かったわね。シルビアちゃん。」
「何がですか?」
「執行者がスカーレットでよ。」
「……私、椅子にも座れないしなんなら恥ずかしいところ全て見られましたよ?」
「ふふふ。でもね。あの子がそこまでやったって事はあなたは愛されてるのよ。」
「意味がわかりません。ここまで痛めつけといて愛されてるなんて……」
私は枕に顔を埋めた。初めて使う枕はとても柔らかく心地良かった。
「愛してるからもう2度と犯罪を犯さない様に痛くしたのよ。本当にどうでも良かったらそこまでしないもの。現にあの子あんまり執行者やらないのよ。」
「そうなのですか?」
「ええ、そして反省したのならこれからはしっかり学びなさい。私たちからね。」
「は、はぁ……」
私は分からないまま軽く返事をした。すると部屋へ入って来た人がいた。スカーレットさんだ。
「ほら、シルビア軟膏貰ってきたから塗ってやるよ。」
施設の始まりはこんな感じだった。そしてそこからは勉強したり、遊んだり、寝たりと今までとは雲泥の差があるくらいの生活を送りました。そして友達も少ないながら出来た。それでも、1番話したのはスカーレットさんだった。勉強や私生活、悩みの相談、私の変化に気がついたらすぐに話を聞いてくれた。私の恩師となった。
それから4年後、私は成績優秀者として王宮のメイドとなった。私はあのお金のない地獄を知っている。だからお金が沢山貰える王宮に務められて心底嬉しかった。
「ようやく卒業ね。」
「はい、ありがとうございました。2人にはなんとお礼を言っていいか……」
「あはは!最後くらい堅苦しいのは抜きにしようよ。」
「そうね。ありがとうスカーレット先生!」
「先生言うな!まぁ元気でやんなよ。もし合わなければ戻っておいで。またお仕事探してあげるから。」
「はい!」
「それとね。シルビア……お金が大切なのは間違ってないわ。だからといってそのために何でもかんでも犠牲にしない様にね。お金で買えない物も世の中にはあるんだから。」
「はい、分かってるつまりです。」
「……なら、いいわ。また道を踏み外したら私が折檻しに行くからね。」
「えー!それは勘弁して欲しいなー。」
こんな冗談を言える様になった。そして出発した。王宮に向けて……
「行っちゃったわね。」
「うん……でもレベッカがいるから大丈夫。」
「ふふふ。ありがとう……でも、すこし妬いちゃうなー。スカちゃんがあの子に入れ込んでたのは……」
「あ、やっぱり?」
「分かっててやったでしょー?」
「さぁね?さぁ今日もやるわよ。迷える子供達を立派な大人にする為に!」
そしてまさか私が8年も王宮に勤めてかつ追放された姫様に付いて行くことになるとは思わなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!次回更新もお楽しみに!
そしてシルビアの過去はこれで終わりです。次回からはまたクレアとシルビアの話に戻ります。
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