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化けの皮を剥がしてやる(センドリヒ視点)

「…おいメイフェ!俺はこんなことが知りたいんじゃない!」


老執事が2日でまとめたリリアの報告書は、どれも弟から聞いた話ばかりが載っていた。

ヴァンルード侯爵と離縁後、弟が倒れた時に回復させたことや、弟が昏睡していた間の領地運営がどうだとか、だからお陰で弟は今健康であるとか概ねそんな内容である。


「違う!俺が知りたいのは、もっと、もっと醜聞に塗れたやつだ!!」

「センドリヒ様、私共は奥様のことを悪く言うことはできません。奥様が貶められる様な内容をお伝えすることも、また、できません」

「何だと!?」


ノックと共に、たくさんの使用人が入って来た。

「センドリヒ様、私たちは奥様を信頼しています。あんなにも心根がお優しいお方は他にいません!」

あの侍女も

「奥様がこのお屋敷に来てくださって、僕たちもどんなに幸せか!」

この執事も

「奥様は旦那様を本当に愛してくださっているのですよ!?」

あの御者も

「夕餉を残して謝ってくださった貴族の方は初めてです」

このシェフも

「奥様を追い出すなら、私達も出て行きます!」


どいつもこいつも。

本当に腹が立つ。



「…わかったよ」


わあ、と歓声が上がる。



(本当に心根が優しいのだって?そんなわけが無い)

絶対に化けの皮を剥がしてやる。

この屋敷から追い出さねば。

弟は騙されているんだ。


使用人達は涙を流し、俺に頭を下げたり、「良かった良かった」などと言っている。

こいつらでは屋敷のこともカールライヒ家のことも守れない。

カイザル、お前も本当にまだまだだ。やっぱり、お前では伯爵号を継ぐには荷が重いようだ。




その日、弟は仕事で遅くまで執務室に篭っていたらしい。

寝室の扉が開く。

「ただいま、リリア」

「ん…おかえりなさ…旦那様…」

「ごめんよ、寝ていたかい?」

彼女は、「う、ん、」と言って喉が上下した。

薄い皮膚が血管を透かしている。その喉に唇を這わせる。

「遅くなってしまったね、今日は疲れた。…リリア」


すぐに、くうくうと寝息が聞こえてくる。

髪をひと束掬ってぱらぱらと落とす。なんという煌めきだろう。

「…リリア」


ぽつ、と寝巻きのボタンを外す。

一つ、また一つと外していく。

薄い皮膚が、月夜に照らされている。

「良い眺めだな」


カッとリリアの目が見開いた。

すぐに衣服を正してベッドから転げ落ちる。

「何をなさろうとしているのですか、センドリヒ様」

「なんだ、どうしたリリア。寝ぼけているのか?私だよ、カイザルだ」

「いいえ、あなたは旦那様ではありません」

「…何を言う、リリア。私はほら、普通に歩ける」

スタスタと部屋の中を歩いてみせた。

その様子をじっと見ている。


「いいえ。あなたは旦那様ではありません」

「…遂に妄言を言う様になったのか?一度ご実家に帰ったらどうだ」

「やはり違う。旦那様はそんなこと、決して言わない」

汗がたら、と伝う。

「それだけ私が怒っていると言うことだ!これはしっかり慰めて貰わねばならんな」

「…夫婦の褥に侵入しただけではなく、私を手籠にしようというのですか?貴方こそこの屋敷から出ていくべきでしょう」

「なんだと?夫を侮辱するのか!?」

「貴方が本当に旦那様ならば、「実家に帰れ」なんて言うはずがない。実家は今、"改装中"で家族は仮住まいに肩を寄せて暮らしているのですから」


(この女は、こんなにも怒気を孕んだ目をするのか)

息を飲む。ぐっと喉が鳴る。

リリアはすっと立ち上がって言った。

「…あなたこそ、その足の怪我は偽りですか?」

「くっそお!!!」

俺はリリアの腕を掴んでベッドに押し倒した。


「きゃああああ!!!」

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