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離縁してもらう!!

目が覚めると、旦那様が私の手を握り隣で眠っていた。


お腹に手を当ててみる。少しだけポコっと動いた気がした。

「ごめんね。赤ちゃんなんていない、なんて言って」

お腹に置いた手に手が重なる。

旦那様は薄く目を開けたけれど、またすぐ寝息を立てた。

貴方が隣にいるだけ、それだけのことが私をすごく安心させる。


外は夜明け前。いつもより吐き気が落ち着いている。

朝まであと少しの時間を、贅沢な気持ちで過ごした。





「すまなかった」

旦那様の兄君、センドリヒ様が会うなり開口一番謝罪したので少々面食らう。

「頭を上げてください。夫とも安定期に入ってからお話ししようと相談していたので、こちらも妊娠していることを説明していませんでしたから」

というと、チラッと私を上目遣いで見て早々に頭を上げた。

「リリア殿は、ヴァンルード侯爵に随分とご執心だった様子ですな」

「兄上!急に何を言い出しますか!」

「なんだよ、本当のことなんだろう?今だって本当は侯爵の元に帰りたいのでは?」

「言葉が過ぎます!今まで我々が、どんなに力を合わせてやってきたか兄上は知らないでしょう?」

「ああ、知らないさ、そのお腹の子どもは本当は誰との子かなんてことはね。ヴァンルード侯爵との間に孕んだ子どもじゃないのか?」

「無礼ですぞ!」

「お前に聞いていない!リリア殿、先程から何も言わないことを察するに言えない事情がおありなのでは!?」


私は旦那様を見る。

それからセンドリヒ様を見た。

「失礼ですが…先ほどの謝罪は何の謝罪ですか?」

「何だと!?」

「聞こえませんでしたか?何に対する謝罪ですか、と聞きました。謝っておきながら、随分な言われようで謝罪の意味を見出せません」

「貴様、嫁の分際で偉そうに…」

これには、旦那様が割って入った。

「私の妻を貶める様なことを言うならば、私が兄上を許さない」

「カイザル、目を覚ませ!大体、夫の前で他の男の名前を叫ぶようなふしだらな女なんだぞ!?」

「あれは兄上のせいでしょうが…」

「馬鹿な、記憶錯誤だか記憶喪失だかなんだか知らんがな、もともとお前なんか愛していないということが証明されただけのことだ!俺は認めないぞ!お前のことを徹底的に調べ上げてやる!」

そう言って私に向かって人差し指を突き立てた。

旦那様は私の肩を抱き寄せる。

「兄上、もう帰っていただけないか!?」

「ここは俺の生家だぞ!?いようがいるまいが俺の勝手だろう!出ていくのはリリア殿の方だ!カイザル、お前も良い加減早く目を覚ませ!」


ちょこちょこちょことリリーがセンドリヒ様の足をぐいぐいと引っ張った。

「ねえセンドリヒ、うるさいよ」

「うっぬ…リリー!!マイロ、ちゃんと躾けておけ!子どもの教育がなっとらん!」

明らかにたじたじとしている。

「センドリヒ様、大変申し訳ございません。幼児故どうか寛大なご処罰をお願い申し上げます」

「ぐっ…べ、別に処罰など…」

「ほら、リリーもきちんと謝りなさい」

「ごめんねしたら、またおこってもいいの?」

子供の素直な言葉に顔を真っ赤にして杖を叩きつけた。

「この家は!どいつもこいつも!!良いか、絶対に離縁してもらうからな!」

そう叫んで、足を引き摺りながら去っていった。

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