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君は綺麗だ(カールライヒ視点)

でれでれでれでれと…なんなんだ全く。


「旦那様と奥様のお子さんも見たいなあ!そうしたらリリーにお友達ができるねぇ!ね、リリー!」


我が子を猫可愛がりしているソバタを見て、妻はにこにこと笑っている。

「ソバタが良いお父さんになってよかったわね、リリー」

「…あ、その節は申し訳ありません…」

「あらあ、申し訳なく思うのは、マイロとリリーに対してよ。これからちゃんと態度で示さなければなりませんからね!」


妻に怒られて、小さくなっている男はつい最近心を入れ替えたらしい。

それは良い。

だが、口を開けば「子どもは可愛いですよ」だとか「お子さんの予定は」だとか余計なお世話を言う様になった。


私だってリリアとの子どもが欲しいに決まっている。

だがこればっかりは授かりものだ、自分たちが望んだからと言ってすぐ手に入るものではない。

金で解決できないことというのは、世の中にはあるのだ。

その最たるものだと思う。


ソバタとリリーはマイロに呼ばれて出て行った。

ほんの少し、気まずい時間が流れる。


「気にするな、あれは自分が幸せなのを自慢したいだけだ」

「大丈夫です」

とはいえ、その横顔には、なんとも言えない寂しさがあった。



我々とて努力はしていた。

リリアとは、夕食後に二人でゆっくりとコーヒーを楽しみながら会話することが増えたのだが、以前は私がウィスキーを飲んでいたのだ。

それだってリリアはアルコールの匂いが苦手なので辞めたのだ。

だから、要するに毎夜リリアと触れ合っているのである。


コーヒーを楽しむ時間が終わるのは寂しいけれど、湯浴み中のリリアを待つ時間というのもまた捨てがたい。

湯浴みを終えたリリアの、まだ少し濡れた髪に月明かりが反射する輝きを知っているのはこの世に私だけだと思うと史上の喜びに胸が支配される。なんと独占欲にまみれた男なのだろうと我ながら嫌気がさす。


「今日は、ローズとひまわりのオイルを塗ってもらいましたのよ。とっても良い香り」

「へえ」


髪をかき分けて、首筋の香りを愉しんだ。胸の奥が重たくなる。

それで彼女の呼吸が少しだけ乱れた。

口付けの瞬間、その瞳に涙が宿っていると知る。

「泣いているのか?」

何度も唇が重なり合った後、やっとリリアは言葉を口にした。

「悲しいのじゃなくて…自然と涙が出るのです」

「綺麗だ」

「あまり見ないでください」

「非道いことを言うじゃないか」

泣き顔を背けて目を閉じている。

「リリアも目を瞑っては駄目だ。ちゃんと見ていなさい」


真っ赤になった顔を手で覆っている。その手をゆっくりと外して「見て」と言った。

僅かに目が開かれたのを見て私は--

揺れる髪が光っている。


君は綺麗だ。

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