序章
緻密に、華麗に、執拗に。
俺たちのやり方で──勝つ!
“エリート” “キャバ” “ヲタ”、ホールで出会った3人の若者たち。
彼らは共に立ち回り、次々に勝利の足跡を残していく。
そんな彼らの前に現れた謎の男。
彼は、とある新規店のグランドオープンに3人を招待する。
遠征に挑んだ若者たちの目前で起こった“事件”とは……!
現代のパチスロ業界やホール情景、打ち手や業界人の姿を描いた
唯一無二の 「パチスロ青春小説」 がついに登場!
※序章から6章までは2023/8/11に一挙公開、7章以降は8/14から3日ごとに公開します。
※本作品は序章から最終章まで全38章となっており完結しています。
お前らには“輝かしい未来”とやらがあふれているんだろう?
僕たちは違う。泥水すすって道端に落ちた小銭拾って生きているようなものだ。
今のこの世の中にそんな奴がいるのかって?
いるに決まってるじゃない!
いるさ……お前らはいつもそれを目にしている。
目にするのもおぞましい、汚物を見るような目でな……。
ただ、君たちは分かってない。
汚物は社会からの排泄物だ。
君たちが生み出したものなんだよ。
ただ、安心していいわよ?
汚物は汚物なりに何とかやってるんだから。
アンタたちが生きるのに困らない、退屈で安定した人生の邪魔はしないわ。
……見ていけばいい。
俺たちの生き様……ときに目をそむけたくなる現実を。
僕たちは100人のうち90人が金を失い、5人がトントン、1人が僥倖に酔い、1人が堅く日当を得る、そんなホールで生きている。
じゃあ、残り3人はって? それはねえ、ふふふ……
糞が糞をののしり、奪い合う、反吐の出るようなパチスロの世界で
「僕と」
「アタシと」
「俺が」
3人で勝ち取るから。
何を勝ち取るかって?
まあ、ぶっちゃけお金なんだけどね。
でも、俺たちにとっては……
それが“輝かしい未来”だ。
※本作品は2019~2021年のパチスロ業界、ホール状況を想定したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※本作品に登場する機種仕様・機種解析・法律・条令・団体規則・業界規制等は、必ずしも実際の内容に即するものではありません。