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第7話 僻地への誘い⑦

「とりあえず古い地図とかは調べてあるんですよね。」


 早速浩太はディスカッションに入った。


「もちろんよ。当たり前でしょ。」


 後から来て仕切るんじゃないよ、という眼差しで瞳が浩太をにらみつける。


「怒らないでくださいね、ただの確認ですから。それと航空写真はチェックを終えているということでいいですよね。」


「そうだ。でも該当するような湖は見つからないし、地元でいくら聞き込んでも何も出てこない。アラオザルなんて知らない、聞いたことが無いと言われるばかりだ。トゥチョ=トゥチョ人に至っては、馬鹿にしているのか、と怒られる始末だ。」


「地元の古老あたりも同じ反応何ですか。」


「大差ないな。隠しているのかも知れんが。」


「タウンジーの近く、ということは間違いないのですか?」


「それも未確定情報だな。シャン州は元々シャン族の暮らしていた場所がそう呼ばれている、という前提でシャン・シを探しているんだが、ただこのシャン族はミャンマーではビルマ人に次いで多い民族で対象が多すぎてどうしようもない。」


「人海戦術はとれそうもありませんしね。現状は判りました、少し僕と真知子でここら周辺を回って地勢の感じを立体的に見てきます。航空写真やドローンでは真上からの画像になってしまいますから。」


 そう言うと二人は借りたレンタカーで行ってしまった。


「なんか、慌ただしい人ですね。いつもあんな感じなんですか?」


 今まで黙っていた亮太が聞く。


「真知子は今風の子だがどちらかと言うと大人しめの子だったんだがな。岡本浩太は多分元からあんな感じだ。ツァトゥグアに一度吸収されて常人離れした動体視力や運動能力を得たらしい。俺もあいつと戦うことになったら手を妬くだろうな。」


「そんな状況になる可能性があるの?」


 心配そうに瞳が聞く。ただし本当に訊きたかったのは火野と風間真知子との関係だが、そこは聞けなかった。


「ゼロとは言えないな。ただ彼は綾野先生の意向でここに来ている。俺たちの目的も理解したうえでだ。邪魔すると言うよりは本当に手助けしに来てくれたと見てもいいん゛しゃないかと思っている。本来綾野先生たちよりも怖いのは各国の情報機関だと思うんだが、今の所どこも接触してきていないのは有難い。」


「その人たちとは。」


「接触してきたら相手になるしかないな。瞳は守る。亮太は自分でなんとかしろよ。」


「えええ、僕も守ってくださいよ。」


「二人は手が回らない。瞳だけで精いっぱいだ。」


 火野は揶揄うように言ったが、実際にそんなことになったら勿論亮太も同様に守ることになる。


 そんな時に岡本浩太が戦力になってくれれば有難い。真知子は風の民としてはそれほど強い力があるわけではない。そんな真知子を浩太が連れて来たのは意外だったし心外でもあった。遊びに来ている訳ではないのだ。綾野先生は知っているのだろうか。最近は一緒に行動していると言っていたから把握していると思われる。


 手伝ってくれるのはいいが、何か起こった時に守る対象が増えるのでは本末転倒ともいえる。但し、浩太から齎される情報は貴重だ。実際にはマーク=シュリュズベリィの情報なのだが。


「なんだかドライブに行くような感じでお出かけしていったけど、気楽なものね。」


 瞳の感想に火野も同感だった。




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