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第29話 双子の神⑨

 ずるっ。


 湿った音が止らない。


「何だ、どうした?」


 早瀬の死を目の当たりにして本山の精神は普通ではなかったのだが、その本山に更に負荷をかけるかのような湿った音。


「あっ」


 それに気が付いたのは瞳だった。しかし瞳はそのまま気を失って倒れてしまう。それを辛うじて火野が受け止める。


「なんだ?」


 ずるっ。


 それは触手としか言いようがないぬるぬるとした蠢く物体だった。そして、それは確かにロイガーから繋がっているのだ。


 触手はずるずると伸びてきている。そして、その先には早瀬の遺体があった。


「まさか課長の遺体を」


 その本山の声に反応するかのように、触手は一瞬のうちに早瀬の身体に取りついた。


 ずるずるっ。


 触手はそのまま早瀬の遺体を引き摺って行く。


「ちょっと待て」


 なんとか本山が反応するが既に遅かった。暗くてあまりその全体のディテールが判らないロイガーの本体に早瀬の身体は飲み込まれてしまった。


「岡本君」


 火野に言われて浩太がロイガーに近づいてみるが早瀬の身体は完全に飲み込まれた後だった。


「えっ」


 浩太が突然金縛りにあったように身動きしなくなる。


「どうした岡本君」


 浩太は返事をしない。火野は瞳を抱きかかえているので浩太に駆け寄ることもできない。


「まさか、彼も?」


 本山が不吉なことを言う。しかし早瀬の時とは少し違う感じがする。身動きしないのはショックで動けない、という感じなのだ。


 ふっ、と浩太の身体から力が抜けた。そのまま、その場にへたり込んでしまう。


「大丈夫か?なにがあった?」


 浩太は本山の問いに暫らくは答えることが出来なかった。


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