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第2話 僻地への誘い②

 タウンジーまでのハイウェイは両側2車線のところもあり快適だった。ただ周囲は高い木々に囲まれているので景色があまり変わらない。


 日本と違い右側通行なので少し運転しずらいが、舗装は整っているので火野の運転は問題なかった。。


 タウンジーの街に入っても道路は整備されている。シャン州の州都でもあるタウンジーは人口約30万人のミャンマーでは中核都市になる。


 三人はタウンジー大学の近く、ロイヤルタウンジーホテルに入った。セイン教授の手配だったがタウンジーではかなり高級ホテルのようだった。


 タウンジー大学でパソコンなどを使わせてもらえる手はずになっている。ここを拠点に目的地を探すためだ。


 タウンジーはシャン州の州都だが目的地はシャン・シである。シャン族が昔暮らしていた場所が今はシャン州と呼ばれているのだが、もっと昔にシャン族が住んでいた場所があるらしい。それがシャン・シと呼ばれる場所でそこにある湖にアラオザルがあるはずなのだ。


「どうして今回の目的地はアラオザルなんですか?」


 彩木瞳が火野将兵に問う。火野は行先や目的をあまり言わなかった。先入観を持たさないため、と本人は言っているがただ面倒なだけではないかと桜井亮太は思っていた。基本的に火野は寡黙なのだ。三人で旅をしていても話すのはもっぱら瞳と亮太だ。火野はただ無関心な顔で何も聞いていないと主張している。コミュニケーションが取れないほどではないが若干のコミ障ではないかとも思っていた。


「トウチョ=トウチョ人の長に会う。」


「トウチョ=トウチョ人ですか?」


「レクチャーしただろう。」


「ええ確かに。」


 瞳は火野から借りた本を読み漁りかなりの知識を持っていた。その中にトウチョ=トウチョ人の記載もあったはずだ。


「ミャンマーに来たのですから、多分そのあたりしか無いとは思ってましたけど、だから聞いているんです、なぜアラオザルが目的地なのかと。トウチョ=トウチョ人に会ってどうしようと?」


「だから、」


「先入観は持たないように、でしょ、判ってますって。でもそんな事しか火野さんに聞くことないじゃないですか。」


 瞳は少しでも火野と会話しようとしていた。それを疎ましく思っているのは知っている。でも三人で旅をしているのだ、仲がいいに越したことは無い。亮太とはもうかなり打ち解けている。だが火野とはどうも会話が続かないのだ。歳は4~5歳火野の方が上なはずだが、それほど離れている訳ではない。話が合わない訳ではないと思っていた。


「そもそもアラオザルの場所がまだ見つかっていないのに本当にトウチョ=トウチョ人に会えるんですか?」


「信用していないのか。」


「そうじゃないですけど、今回は先が見えないなぁ、と思って。」


「まあいいじゃない。山登りの訓練もしてきたんだから、ただ登山するだけでも楽しいんじゃないかな。」


 亮太は相変わらず能天気だ。火野が与える書物もほとんど読まない。自分がどんな立場に居るのか、理解していない訳ではないようだが、どうも瞳に、瞳の判断に任せる、と決めているらしい。その上で火野と共に瞳を守るのが自分の唯一の役目だと思っているようだ。だから書物は読まないが身体を鍛えることは怠らなかった。


 亮太は火野が使う火の民の能力のような力が欲しいと本気で思っていた。終わりの少年、と言っても今の所何の力も持っていない。実際に瞳のリセットする能力を止める方法も皆目わからない。終わりの少年と呼ばれることに何の意味も見いだせないでいた。

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