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第12話 アラオザル②

「どうして連れて行ってくれなかったのよ。」


 真知子は怒っていた。置いていかれたことが納得できないのだ。情報を隠していたことも含めて、珍しく浩太を責めていた。真知子としては浩太の能力は十分理解していたが、自分がいることで助けになることもあるはずだと思ってるのだ。


「ごめん、ごめん。火野さんと二人でとりあえず偵察に行ってきたんだよ。一応場所は特定できたから、ちゃんとみんなで一緒に行こうと戻って来たんだ。」


 そう言われても真知子は全く機嫌を直さない。


「なんだか風間さんが先に怒るかせ、私は怒る気が失せたわ。」


 瞳も本当は置いていかれたことに腹を立てていたが、真知子の剣幕に出る幕が無かった。


「とりあえず、今日は準備をして明日向かう事にしよう。」


 火野は真知子が怒っているところを初めて見た。火野と居た時は感情を露にすることなどなかったのだ。


 準備をするためにそれぞれが部屋に戻り、真知子が浩太と二人になった。


「あれでよかったの?」


「いいよ、あんな感じで大丈夫さ。君がああしてくれれば瞳君は怒れなかっただろ?」


「なんであたしは怒ってもいいのに彼女は怒らせたら駄目なのよ。」


「彼女にはできるだけ感情の起伏が無いようにしたいだけさ。ただの気休めだけどね。」


 彩木瞳。彼女は始まりの少女。全宇宙を初めからやり直させることができる。火野は彼女に今の人類が地球や宇宙に相応しい存在なのかどうかを判断させるため様々な人に会う旅を続けている。トウチョ=トウチョ人の長老に会うのもその一環だった。人類だけではなく他の種族にも会ってほしかった。


「本当にただの気休めね。何かの効果があるとも思えないわ。」


「まあ、いいじゃないか。」


「良くないわよ、私、なんだか怒りっぽいと思われてるんじゃないかしら。」


 火野に、というより瞳にそう思われるのが少し心外だった。


 翌日の朝、全員が装備を整えて集まった。


「じゃ、行こうか。」


「なんで浩太が仕切っているのよ。火野さんでしょ、ここは。」


「風間君、いいよ。行こう。」


 浩太たちの借りているランクルに乗り込んで一行はアラオザルへと向かうのだった。


 昨日二人が来た場所に車を停めた。


「火野さん。」


「うん、どうしたんだ、これは。」


 そこには昨日見たはずの湖が無かった。

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