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夜の魔法使いの弟子  作者: non汰
3/3

本当のお父さん

「なんでこんな夜中に1人でこの森に来た?」


私の目線に合わせて背を屈めるトウヤと言う人


「おとう……カイルさんが話してるのを聞いちゃったんです」


実父でもないのだからお父様と呼ぶのはおかしい気がするので、一先ずカイルのことを知っているような感じだったし名前を出してみる


「カイルが?」


「私が本当の娘じゃないって、この屋敷に置けるのは15歳になるまでだって」


あと2年あの屋敷に空気のようにいるくらいならどこに行っても同じだと思った


「サラはまだ13歳だろう。追い出されたわけではないんだな?」


私、自分の歳伝えたっけ?


「自分の娘の歳くらい把握している」


「……え?」


「サラ・ヴァイオレット、お前は私の娘だよ」


思考が追いつかない


「……アイツ、約束を忘れたわけではないだろうな……。サラ、カイルはちゃんとお前を育ててくれたか?」


育てたの定義ってどこからなんだろう

ちゃんと寝床は貰えていたし、ご飯もあった


「出来損ないの私をここまで育ててくれました」


「出来損ない?」


「はい。何もできない私のために寝る部屋を与えてくれたし、ご飯も貰えました」


「……そうか。サラ、カイルから聞いてないってことはミサキの事も聞いていないのだろう?」


ミサキ??


初めて聞く名前に縦に首を振る


「……アイツめ。サラ、お前は俺、トウヤ・ヴァイオレットとミサキ・ヴァイオレットの一人娘サラ・ヴァイオレットだ。」


「……お父さん?」


「ああ。混乱しているだろうから今日はゆっくり休んでまた明日話そう。時間は沢山あるんだ、焦らなくていい」


そういって立ち上がると、彼はリオを呼びつけた


「では、お嬢さん、お休みしましょう。お部屋をご用意いたしました。」


リオに言われるがままついていくと、今まで眠っていた部屋とは比べ物にならないくらい広い部屋の奥に大きなベッドが置いてある。


「こんな素敵なところで寝ても大丈夫なんですか?」


「もちろんです、お嬢さん。

この部屋は旦那様がいつかお嬢さんと一緒に暮らせるようになった時使えるようにとずっと前から準備なされていたのですから。

さあ、もう月があんなに上に!

ゆっくりお休みください。」


リオはそう言って部屋を出て行ってしまった


あまりに広すぎる部屋に驚いたものの窓際にあるベッドまでたどり着き身を埋める


「……ふかふか」


あまりの気持ちよさに驚いた

こんなに暖かい寝床は初めてだ


明日は夜の彼に詳しく話を聞こう

リオにもちゃんとお礼を伝えないと……


あっという間に睡魔に襲われ瞼をゆっくり閉じていく


彼女はこの現実が夢でないことを祈るばかりだった






翌朝彼女は久しぶりに睡眠らしい睡眠をとったことに驚いていた


「お嬢さん、おはようございます。

朝食のご用意ができましたので、食堂までご案内いたします」


食堂まで案内されそこには夜の彼がいた


「おはよう。サラ」


「おはようございます」


朝食の時間は静かに過ぎていった


「それだけでいいのか?」


「え?十分いただきましたよ」


「たったのパン1つにスープ一口すくったぐらいじゃないか」


普段の食事に比べたら質の良い食事だと思う

いつもはカチカチに乾燥してしまった昨日のパンか焦げついたトーストと朝一番で汲んできた井戸水をコップ一杯飲むくらいだ


「それだけでは倒れてしまいます。お嬢さんせめてこちらのベーコンエッグだけでも食べてください」


リオが慌てて私のテーブルの前の皿を示す


いつもより食べたから十分なのだが要らないと言ってしまうのは申し訳なく感じてしまったので、無理矢理胃の中へ詰め込む


でも、小さい胃は限界でフォークがなかなか進まない


「無理に食べなくて良い。これから少しずつ量を増やしていこう」


夜の彼は私の限界をわかってくれたらしい


「私、ここにいても良いんですか?」


「当たり前だ。約束は破られた。これ以上守っている理由もないし、好きにやらせてもらうとしよう」


ふっと笑う彼になんだか懐かしさを感じた


「サラ、これから北の森の奥に散歩へ行くが来るか?」


「北の森は魔物がいっぱいいるんじゃ……」


「お嬢さん、大丈夫ですよ。

旦那様が近くにいる限り魔物は絶対に襲ってきませんから」


「それなら、行ってみたいです」


「では決まりだ。1時間後玄関までおいで」


そういうと彼は食堂から出ていった


「お嬢さん、ではお出かけの準備をいたしましょう。

ユリ!お嬢さんのお着替えの用意を」


「はぁーい!こんにちはお嬢さん!私はユリ!このお屋敷のメイドをやってます。」


とても元気な可愛い彼女はユリというらしい


「そんな私用意するも何もないきが……」


「いいえ!お嬢さん。せっかくのお出かけですもの旦那様におめかしした可愛いお嬢さんをお見せしないと!」


そういうとユリは私を引っ張って、昨日使わせてもらった部屋へ連れて行く


「お洋服は動きやすい格好のものを、髪の毛も纏めて元気な感じに!あー女の子の支度は楽しいですね!メイド冥利に尽きますね本当」


お喋りのユリは色んなことを教えてくれた


ここで働く従者達のことや、夜の彼がどんなに凄いのかやこの森の仕組みなんかを教えてくれた


「さぁ、準備完了です!玄関までお連れしますね!」


あっという間に支度を整えるとユリは楽しそうに私の手を取って歩き始める


「ユリ、お姉さんみたい」


ユリは驚きながらも笑顔でお嬢さんが妹なんて嬉し過ぎますねとふふっと笑ってくれていた



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