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驚きの連続

 いくつかの授業を終え昼食をすませると、戦闘の授業の時間がやってきた。


 動きやすい服に俺は教室で着替えて、女子更衣室で着替えたアデル、ユーリと合流する。


 こちらの世界に体操服はないが、見た目はそんなに違いはない。

 丈夫な生地で作られた白い上着、それから紺色のハーフパンツだ。


 値段は比較的安めだが、あくまでも大貴族基準の話である。

 他の生徒たちだって殿下を含めて生地や色以外はそんなに差はない。


 もちろんこのクラスは大貴族や富豪の子女だらけという理由もあるのだろうが。

 戦闘授業の担当教師は誰なのか、クラス内でまったく話題にならなかった。


「では、授業をはじめます」


 みんなが予想していたとおり、動きやすそうな服に着替えたネフライト先生が姿を見せる。


「魔法を使えるのは当然として、自分の力に宿して自由に動かしてこそ、戦士として一人前になるのです」


 彼女は淡々と説明していく。


「まずはふたり一組になってください」


 言われた通りペアが作られた結果、俺だけが余ってしまう。


「おや?」


 ネフライト先生は怪訝そうに首をひねるが余ったのは仕方がない。


「デュノくんが余りましたか。じゃあわたしと組んで手本をお願いしましょう」


「よろしくお願いします」


 まったく想定していなかったけど、これはチャンスだ。

 いきなり王国最強クラスの人と手合わせができるなんて。


「みなさん、私たちをよく見てくださいね」


 とネフライト先生は言い、みんなが俺たちを包囲するように円陣を作る。


「デュノくんはどの程度できるのか、いい機会だから見せてもらいましょうか」


「俺が先生に仕掛けるのですか?」


 彼女の意図を確認した。


「ええ、そちらのほうがいいでしょう」


 と彼女は言う。

 彼女の攻撃を俺が受け切れるか、彼女にはわからないもんな。


 俺を授業でケガさせたりしたらもちろん彼女の責任になってしまう。

 避けたいと考えるのは当然だよね。


 俺たちは一メートルほど離れた位置で向かい合う。

 手の内を事前に見せようか一瞬考えたが、やっぱりやめておく。


 どうせ付与魔法を使うことになるのだし、いらないだろうと思ったのだ。


「《風のささやき》」


 まずは付与魔法を発動させる。


「えええ!?」


「ま、ま、まさか、詠唱省略!?」


「あの、伝説の!?」


 目撃していたアデルとユーリ、そしてネフライト先生以外の全員が驚愕の叫びを発した。


 いつかばれることだからと思ったんだが、想像以上に衝撃を与えたらしい。


「見事ですね。付け焼刃ではありえないなめらかさ。五年くらいは鍛錬し続けたのでしょう」


 とネフライト先生は言う。

 まあ前世を入れたら数十年はやってるから、彼女の分析は間違いじゃない。


 というかなめらかな発動とか肉眼で見てわかるものなのか。

 俺としてはそっちに感心する。


「ではいきます」


「ええ。《風の祝福》」


 ネフライト先生は当たり前の顔をして上位の付与魔法を発動させた。

 しかも無詠唱なのはさすがだ。


 このままぶつかり合ったら俺が圧倒的に不利になるので、


「《火の祝福》」


 殴りかかった瞬間付与魔法を切り替える。


「なっ!?」


 これにはさすがのネフライト先生も驚き、ほんのわずかだけど硬直した。

 彼女の右腕ガードの上から殴りつける。


 ボネと違って彼女は自分から飛んで威力を半減させ、さらにきれいに着地も決めた。

 

 ただし、大きくを目を見開いたままだったので、驚きから立ち直ったわけじゃないらしい。


 反射的に体が動いたのはおそらく天賦の才能に加え、とんでもない修練の成果があわさったせいだろう。


「噓だろう!?」


「信じられない!?」


「属性の切り替え!? あの一瞬で!?」


 観戦してるクラスメートたちは驚きと興奮に包まれているようだった。

 

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