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再燃した気持ち

「じゃあ続きはひとりで頑張ってくれ。俺は仕事に戻る」


 父さんは手を振って立ち去る。


 本来は仕事だっただろうに、俺の様子を見るためにわざわざ抜けて来てくれたんだろう。


 貧乏貴族と言っても俺がまだ仕事を手伝わなくてよく、学校に行けるくらいには余裕があるみたいだ。


 マーグ兄がすでに働いているし、母さんも内職しているっていうのは大きいだろうな。


 ……前世に比べたらずっと恵まれている。

 三人に感謝しながら魔法の練習をはじめよう。


 実のところ、疑問に思っていたことはまだある。

 人間の限界が100だけど、今の俺の限界は200。


 これはドラゴンと鬼、エルフのひと握りだけが持っている数字だと聞いた覚えがあった。


 つまり、俺だって【龍神】や【鬼神】に匹敵するくらい、強くなれることだってできるんじゃないか?


 魔法使いでしんどいのはレベル上げで、レベル1から30くらいまでが特にきつかった記憶がある。


 凡人だった俺はレベル30になった時は50歳くらいだったんだよな。

 一流と呼ばれる連中は10代のうちに到達していたのだ。

  

 圧倒的な才能の差ってやつが実在することを、その時に思い知らされた。

 だけど、レベル200までいけば埋まるのかなぁ、と思う。


 俺だって彼らのように活躍してみたい。

 たくさんの人の役に立ちたいし、褒められたいし、認められたい。


 希望があるとわかれば、あきらめていた願望が再燃する。

 レベル上げはおそらくすごく大変だろうけど、まずはやれるだけやってみよう。


 とりあえずレベル100まで上げれば、人類最強クラスの背中が見えてくるはずだ。


 そうなるとモンスターと早めに戦えるようになっておきたいな。

 訓練でもレベル上げはできるけど、効率がかなり違ってくるんだから。


 てことは、父さんが言うように『魔法剣士』ができるように、前衛の練習もしておいて損はないな。


 『魔法使い』が認められるまで時間はかかるだろうし、その間機会を損失するのはあまりよくない。


「つまり魔法の練習をしつつ、剣士の鍛錬をやりつつ、実戦でもやれるアピールをするべきか」

 

 父さんに頼んだら実戦に連れて行ってもらえないだろうか。

 ……何となくだけど、そのためには強さを認められなきゃいけない気はする。

 

 十年そこそこあの人の息子をやってきたうえでの勘だ。


 攻用魔法を使えば勝てないまでにせよ、けっこういい線いけそうに思うんだけど、どうなんだろうか。


 まずは父さんがどれくらい強いのか、たしかめてみたほうがいいかな。

 そうすればあとどれだけ頑張ればいいのかわかりやすいもんな。


 できればわかりやすくて具体的な目標があったほうが、やる気が出るというものだ。


「《火の矢》、《雷の矢》」


 やりたいこと、やっていくことが自分の中で整理できたので、魔法の練習を再開する。


 こうやって同じ魔法をくり返し使うことで、発現速度と出力を練り上げていくのだ。


 もともと魔力量が大きい人なら、練習で練り上げなくてもバカげた出力になる。

 でも、出力は地道な反復練習で上げることができるのだ。


 才能がない者は練度と工夫で補って戦え──それが前世の恩師の教えだった。

 その教えはまだ覚えているし、信じている。


 凡人で覚えがよくなかった俺を笑わず、見捨てず、根気よく教えてくれた人の言葉だから。


「《浮遊》、《風の息吹》」


 俺は移動用魔法と付与魔法を同時に発動させた。

 付与魔法と一緒に使うことで、移動用魔法はより大きな効果になるものがある。


 練度と工夫を意識していなければ、きっと気づかなかっただろう。

 ここは実家の敷地でそんなに広いわけじゃない。


 三つ以上の魔法を一緒に発動させるのはやめておこう。

 魔法を一度解除して、さらに魔法をとなえる。


 こうすることで自分の体に適度な負荷をかけ、魔法の許容量と回復量アップにつながるのだ。

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