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「ではスカーレット様、貴女にとってはさぞかし窮屈でしょうがどうかご辛抱ください」
「いえそんな、そんなことありませんわ。ドッジさんのご厚意に、そんな失礼なことは申し上げません」
とは言ったものの、実際にはドッジの家はそれはみずぼらしいものであった。とてもガーディアンの住処とは思えない。一体この国に国王はどれほどガーディアンというものを軽視しているというのか。
幸い、ドッジの家には小さいながらも部屋はいくつかあり、スカーレットが入り込むスペースはありそうだ。
「ではスカーレット様。僕は任務に戻ります。
どうか外出はなさらないように、お願い申し上げます」
「ええ、勿論ですわ」
「では」
そう言ってドッジが家を出ようとした時、ドッジさん、とスカーレットに呼びかけられた。
振り返るとスカーレットは、神妙な面持ちで立っており、粛々とドッジに感謝の意をとなえた。そんな彼女の済んだ瞳に一瞬ドキッとしながらも、あくまで平然とお辞儀をし、ドッジは家を出るのだった。
「国王様。あの者は始末しました」
宮殿に戻ったドッジらガーディアンたちは、バーランダー国王に対し虚偽の報告を行った。
そんな報告に対して国王は、鋭い質問をぶつける。
「始末とは、具体的にどうしたのだ」
「そ、それは」
思いがけない質問に、ドッジは思わず戸惑う。すると代わりに機転を利かせたのは、隣にいたガーディアンだった。
「レオポルアイランドに、島流しにしてやりました。これでもう2度と戻っては来られないでしょう。それどころか、今ごろ飢えた魔物どもの餌食になっているかもしれません」
その言葉を聞くや否や、国王はははは、と嬉しそうな高笑いをあげた。どうやらこのガーディアンの言うことを信じたようである。
これにはドッジも心の中でほっとした。
ガーディアンたちはみな、売国に加担するような国王よりもスカーレットの味方なのだ。