人界戦二日前・Ⅰ
私リリは、機長をしながらリュウカを奪還するべく作戦を立てていた。
一つ目は飛空挺を作る、これがあれば生徒はほとんど戦える状態になる。
二つ目は人界と種族の争いが今回起きるタイミング、ちょうどこの日が奮戦が起きる日とされていた。
三つ目は―――大天使の力を借りる。
ミカエル、ガブリエル、ルミである、この世界を救った聖なる力が必須条件となる。
しかし、相手側も本気だろう要塞の向こう側は軍隊がいくつもあるだろう。
こうなれば、こちらに勝ち目がないだろう。
「そんな不安がるなお嬢ちゃん」
このおっさんは、かつては英雄だったらしい。
見るからに傭兵にしか見えない。
これでも一応、ソラの父親である。
セイント・ツー・バレットと言う名前、歴史書には龍を一太刀で黙らせたとか、凄い話ばかりある。
「あの要塞をぶっ壊せばいい話。むしろ道筋を作ってやらないと…救いたいもん救えないだろうからな」
「上手くやれるか分からなくて」
「大丈夫だ、お前さんならできる。今は指揮をするぐらい偉くなった…ちゃんと成長姿見せてやりな」
「…はい!」
目的地までおよそ2日と言う時間ある、その時間内に私は覚悟を決めなきゃならない。
とゆうわけで、久々の剣の訓練する為に機内にある少し広いスペースで行う。
木刀を握りしめて、無心に振るう。
ただの素振りだ、こうしてるだけでも落ち着ける
序列二位と言われた魔法は、最近頼らなくなっていた。 だが、全く使わないわけじゃない。
威力は倍増したが、射程が定かではない。
より長い距離に飛ばせない、せいぜい十メートルが限界である。
天才が故の伸び悩みと言う奴である。
「リリさん」
「…ソラ」
「やっぱり、鍛えてたんですね」
「うん、魔法だけじゃ勝てないだろうから」
「…手合わせ出来ますか?」
「いいの? 」
「まぁ、時間はありますし…少しなら出来ます」
大剣の木刀を片手に持ち、ソラはゆっくりと構える。
私は思い返す…そう最初の頃、ソラと私は敵対して争っていた。身分の違い、そんなことの理由で私は見下していた存在だった。
「はっ!!」
「…覇気は相変わらず凄いわ」
横からの剛撃、私はひらりと回避。
続けて、遠心力を使いソラは再び回転切りを放つ
リリは、飛び上がり大剣の上に乗っかりソラに向かって木刀を振り抜くが、ソラは頭を下げて躱した。
「それっ!!」
ソラはリリの木刀を蹴り飛ばした、隙を尽かさずに拳を振り抜く。
「……!!」
当たる寸前で止めるソラ、ゆっくりと拳を降ろした。
「リリさん、動きに迷いがありますね。今の場所木刀じゃなくて魔法なら勝ち目無かったのに…」
「……あの人の様にはなれないか」
「無理ですよ、あの人…東方剣技使い。私達からしたら始まりの剣技に値しますしね」
私はゆっくりと、ソラの大剣の木刀から飛び降りて立ち上がる。
あの本の事、私達は調べ尽くした。
どうやら"禁忌目録"と呼ばれている、魔族が所有する本らしい。
禁術や掟などを放つことが出来る、最強書と断言出来る諸物だ。
その中に、記録されていたのは…「東方剣技」
あらゆる剣技の中で、始まりの剣技と呼ばれていて最強の異名を持つ。
その子孫に値するのが「リュウカ」で、伝承とされて記載されていたのが…最大で最強の剣技「花桜吹雪・無絶」
これを扱えるのは、私じゃない。
刀を扱う事が出来る、彼女…いやリュウカしか無理みたい。
ソラに放とうとしたけど、動きが止まったしあの先の連撃は…剣を窮めた人しか行けない。
ゆっくりと、天井にを見上げる。
そうそうこの本の結末は、こう書いてあった。
「絆は永遠に築かれ、時を超え、再び来るべき時に蘇る」―――。
これを意味することはきっと、励ましなんだろう。この字を書いた人は震えていた。
きっと、こうならなきゃならない運命があったに違いない―――。
「ソラ、また強くなったね」
「…リリさん、あの剣技使おうとしてましたか?」
「察しが早いね、そうよ…。あの場面から連撃なんて私にはできない、魔法しか使わなかったから武器の扱いはイマイチだわ」
「剣技を極める物は、まず己に打ち勝つべし」
「……」
「リリさんは、まだ迷いがある。両手に救いたいものあるなら、それを信じてやるしかない。欲張りかもしれないけど…今やれることはやらないと後々後悔する方が嫌じゃないかな?」
「…それは」
「余計なお世話かな、じゃ、私は見回りに行くよ」
「あ、うん…」
「またね」
「うん、また」
駆け抜けていくソラの背中を見て私は思う、あの時の後悔を肯定すればああなるのかなと。
私は―――あの時のリュウカの動揺がいやでも覚えている。
あの女…一体何者よ…?
いかにもリュウカが…失ってた何かがふと現れた…そんな顔してた。
脳内にチラつく力の差に、唇をかみ締めた。
…いや、私はもっと強くならないといけないんだ
あの女を超えるぐらいに…!




