貴族領域にある洞窟へ
その頃…大都市の西側に位置するメルガリア地方。
リュウカ達一行は、楽園の情報を探る為に…貴族連合の領域の境界線まで来ていた。
この大陸は少なくても4つの領域があると言ったが、今や半数が貴族連合の支配下である。
種族領土を制圧したらしく、これで戦争になるのも目の前であるが…人型の魔物に関しては今のところ動きはない。
とはいえだ、その場所があるのは貴族連合側にあるので向かわなければならない。
「攻め入るにも、向こうは戦車? 見たいのがあるが…なんだろう?」
「対魔法構造出できてる兵器よ、私達の知らないところで…こんなもんまで作ってたのね」
「ルミ、どれくらい情報掴んでるんだ?」
「貴族連合は何かをする為に、ギルド管理局を襲撃してるけど…必要となる物があるらしいわ」
「へー、とりあえず魔法系はダメだから…物理か?」
「まぁそうなるわよ」
「そんなら、ソラ出番かしらね」
「あの大剣で切れるかしら?」
「と、言いますと?」
「外壁が硬すぎる気がする、ほら…あの辺」
ルミが指を示すほうを見ると…何やら銀色に輝く戦車がある。
ほかの戦車とは格が違うように見える。
硬そうなフォルム、確かに戦いだとすれば一回りほど上だろうか?
正面突破はキツさしか感じない、そこでリュウカは…こういった。
「近くに店はないか?」
「店? あー、境界線前にあるじゃん。 ほらあそこ」
「軍が入り組んでる感じだけど、まぁ一般も使ってるから行けるか」
「別行動かしら?」
「まぁそうなるが大丈夫だ、どっかで落ち合えるさ」
作りはちゃんとしてる喫茶店、ちょうど領域の境界線にある。
そこに向かったのはリュウカ、ソラ、リリー、ハルである。
何気に入店して、バーカウンターの横を通り抜けトイレと繋がる道を歩くリュウカ。
「あ、どうも」
「……ぐぅ」
「寝てるわね相変わらず…」
ここに何があるのかと思った三名、リュウカはゆっくりと腰を落として横穴が空いている大人が入れる大きさの四角い空洞の通気口をなにやら弄り出す。
「せ、先生まさか…?」
「そのまさかだ…抜け道ツールって奴さ」
「ちょ!? こんな場所を私達が歩くの!?」
「声がでかいわよリリー、こっから行けば軍を欺けるでしょっと…空いた」
鉄の柵を取り外したリュウカ、通気口の奥を見ながら言う。
「空気に流れがある、外と繋がってるはずだわ」
リュウカはそういい通気口の中へと入っていく、それを見て三人は顔を見合わせて…リュウカの後を追うように通気口へと入る。
通気口を四つん這い出歩いて数分、外の光が見え始める…リュウカは鉄の柵を蹴り飛ばして外にでる。
喫茶店の裏側の排水路に着いたわけである、足首ほどの水が流れている。
「冷たっ!?」
「声抑えて…」
「あ、うん」
浅い川をリュウカたちは歩く、喫茶店の店主は基本居眠り系の老人が営んでいて、耳や目が遠いので正直助かったのもある。
さてこの水流を登れば、ロック山脈に繋がる道筋である。
「さ、歩くわよ…」
「「はい!」」
山に向かって歩くリュウカ達、警備員をくぐり抜けて一時間ぐらいで貴族連合の領域に踏み入る。
水源の壁を上り鉄製の柵の扉を押して、ようやく一息するリュウカ達である。
「このまま直線距離歩けば、失われた洞窟ね。 とはいえなんて言う警備体制なんだろう」
「ちょっと数が多すぎますね…」
「…所でソラ」
「はい?」
「下から見たがノーパン?」
「へ!? な、何を言ってるんですか!?」
「丸見えだった」
「ち、ちゃんと履いてますから!! 先生変態!!」
「いたいいたい!!? ちょっと緊張ほぐそうとわざといったんだけど!?」
「変態」
「ゴミを見るようなめやめてくれないかしら…」
とりあえず茂みまで歩いて、近くの様子を伺う一行。
兵士達はなにやら話をしていた。
「おい、本当にここ守る必要あるのか?」
「さぁ」
「守る価値が無いと思うんだよな…。人型魔物出てくるんだろ?」
「未然に防ぐらしいが?」
「ほんとにそうなのか? あんななんも意味ない洞窟から出るものはギルド管理局がやる仕事だろ」
「俺が知るわけないだろ、ただ…今やギルド管理局は敵対。それを考えたら我々がやるしかないだろ」
そんな話を聞いて、リュウカは少しばかり首を傾げた
ギルド管理局に何があったのかは、分からないが…敵対する理由なんてあるのだろうか? っと素朴な疑問が浮かんだ。
だけど今それ考えてもダメ…とりあえずその場所に向かうしかない。
茂みに隠れながら何とか洞窟付近まで来たが、厳重な警備体制に頭を悩ます。
そこで、リリーは…茂みから飛び出した。
「ぬ? 貴様は確かーーー」
「…悪いけど少しの間眠ってもらうわね!!」
リリーは遠距離射程魔法を使わずに、属性があるエレメント魔法の風で警備員を吹き飛ばして壁に強打させた。
荒業であるが、これもリリーの提案である。
建前で学園最強とは名乗ってない。
つまりあらゆる分野を通せば、彼女の考えに右に出るやつはいないということだ。
「さ、早く行くわよ」
「うん」
リュウカ達は洞窟内を走る、坂道を降り人工的に作られたこの場所は…湿気もなくただカラカラとした乾燥した場所である。
最深部に到達は約五分ほど、さほど深くないが…確かに目の前にある祭壇には…突き刺さった古びた刀と台座に置かれたひとつの本である。
もちろん洞窟内で薄暗いはずの場所なのに、天井から照らしたようなライトでその二つを照らしている。
不思議…という言葉以外はない。
「この本が…人型魔物に?」
リュウカが祭壇に近づくと…刀が白い輝きを放つ。
それと同時に頭に声が響いた。
『刀使いの子孫よ、私は君を待っていたーーー』
周りを振り向くリュウカ、リリーやソラは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
『他の者には聞こえてない、君だけに話してる』
「……それで、何よ? 刀使いの子孫ってのは?」
『この地に、笑わない剣士…そう由来となった花がない剣士。その血筋を受け継いでいる者それが…君だ』
「話が見えないわよ、そもそもそれは誰よ?」
『…三代目月影の型の使い手にして、最後の六花剣技を扱っていた…。 その人の名はマヤーーー』
リュウカはそのマヤという名を聞いて驚く。
それは、ひいおばあちゃんの名であったからだ。




