開花する力と絶望の幕開け
リュウカは、魔物化となった (ルミナス・フユーゲルの事) の首を跳ねた。
さすが日本にある刀だ…切れ味鋭い!
だが、魔物は跳ねとんだ首を掴み再びくっつけた。その行動に、ルミとラグナロクは驚き口調で言う。
「え…?」
「くっつけるのありなの!?」
反撃の意味で、回し蹴りをする魔物。
リュウカはしゃがみこみ、刀を振り抜き魔物の体にズパッと切り裂く。
明らかにリュウカの動きが速い、魔物よりもはるかに上回る速さである。
「なにあの速さ…?」
「対等の速さ、もしかして…」
ルミの口からは言えない、それは呪いの力の事である。
それを嫌う存在は数少なくはない、あまりにも絶大な力を発揮するので戦局をひっくり返すほどだ。
その特徴に、目の色が赤くなる…リュウカの瞳は青だが今は赤い色である。
リュウカの目から赤い光線が走り、赤い一筋の線が描かれる。
「魔物が翻弄されまくってる…!」
「リュウカやっちゃえ!!」
だが、魔物も負けてはない…爪に魔力を込めて衝撃波三本を左右から無数に放つ。
爪からの衝撃波がリュウカに飛ばされたが、それすら回避して間を詰寄る。
口を開き巨大な魔法光線を放つ魔物、回避不可能な広範囲で放った。
「リュウカ逃げなさい!!」
「まって…リュウカ突っ込むわ!」
「リュウカ…あんたまさか…!!」
ルミ達が叫んだ声は聞こえないリュウカは、それすら動じないまま突き進む真っ向に当たる。
リュウカの背後で大爆発を起こした、姿はなくかき消されていた。
「リュウカ…?」
「しん…でない…?」
「うぐっ…」
「まだ泣くのは…はやいわよ…ぐず」
誰もが一瞬、死んだのかと思っていたが…リュウカの刀は魔物の口に突き刺さっていた。
「アガ…ガァァァァァァーーー!!」
「1度や2度でも三度目の死は、どう償う?」
リュウカは刀から魔法を放出して、魔物の頭全体を木っ端微塵にした。
それでもだ、体が動く…再生が始まる。
「合わせ技…しかない…!」
リュウカは後ろを振り向き、ルミとラグナロクを眺めたのだが…何故か泣いていた。
「な、何泣いてんの…?」
「うっさいバカ!!」
「ひぇ!! 耳がキーンとする…」
「死ぬ演出なんていらないのよバカ」
「語尾バカになってない?」
「いいじゃないバカ」
「そうよねバカ」
「なんかすんませんでした…」
そうこうするうちに…魔物の再生が終わりそうになる。
「ラグナロク、ルミ…技を合わせるわよ!」
「はいよ」
「了解」
三人は一斉に技を出し合うーーー。
「終焉の一撃」
「天使の光一閃」
「桜ノ風・漆の型絶空双撃」
魔物の体に三人の剣技が放たれ、強烈な閃光と爆発が放たれた。
「ガァァァァァァァァーーー!!」
ふらついた魔物の体を、三人同時に蹴飛ばす。
「「落ちろーーーー!!」」
リュウカ達3名の力強い蹴りで魔物は地上へと吹き飛ばされた。
「追撃!」
「行くわよ!」
「OK!」
そのまま地上に向かって追撃を始めるリュウカ、ルミ、ラグナロク。地表を転がる魔物は、ゆっくりと立ち上がり…口から巨大な魔法光線を放つ。
回避不可能な広範囲だが、三人いる事に心強さを噛み締めるリュウカ。
次第に…呪いの力が変化をもたらす、リュウカ体から黒いオーラがまとわりつく。
「影」と言うべきだろうか、燃えるようにその身に宿り揺らぐーーー。
「月影・影漆一閃」
リュウカが放った一振は、魔法光線を切り裂き空中で爆発音を馳せる。
その中を突き進み、ルミとラグナロクは息を合わせて同時に振り抜く。
「「共同双剣ーーー」」
魔物の背後に着地したルミとラグナロク、ゆっくりと剣を振り抜いく。
「「最後の一撃!!」」
魔物は背中と向かい合わせ左右に切られ、絶叫して空を見上げてると…。真正面からリュウカが刀を構えて、強い口調でいいはなつ。
「何度だってお前を倒すーーーこの命がある限り私は諦めない!!」
魔物は、再び魔法光線を放つ動きをするが…リュウカは柄を強く握りしめて言い放つ
「月影…影桜!!」
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人は死を悟る時、どんな感覚だろうか?
恐怖、唖然、壮絶、絶叫…。
死に対する恐怖とは、その瞳に写る物だ。
だが、必ずその中には違う瞳を持つ人がいる。死を直感しても、諦めない強い瞳…。
例えるなら、鞘から抜き放たれた…白銀の光を放つ剣。
決して折れることを知らない、鍛え抜かれた鉄は簡単には折れはしない。
それを知らしめるかのように、俺を睨みつけ…死ぬ事なんて恐れすらしない一つの剣。
剣は…勝手の記憶を呼び起こす、そうあの男だ。
俺を何度でも止めようとした、強い男だ。それが重なる面影が…今俺を切ろうとしてるリュウカに似ている…。
刃が首に食い込む、黒い火が魔物を包み込む。
「ぐっ!! 硬い…けど…負けない!!」
刃が食い込み、リュウカは両手で刀の柄を掴み強引に振りぬこうとする。
火花を散らすが、魔物はリュウカの刀を手に持ち押し返した。僅かな隙が生まれたリュウカ、魔物の追撃で鋭い爪が頬を掠る。
「くっ…!」
地面に着地して、飛び掛るようにリュウカは魔物に向かって飛ぶ。
強く、強く握るんだ…!
折れない刃になれ、振り抜け…負けるな!!
リュウカの動きに変化をもたらす、黒いオーラが燃え上がり…刀から黒い火を纏わせた。
速度がさらに倍になり、魔物を斬りかかる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」
魔物は腕を伸ばして攻撃を仕掛けるが、腕が切り落とされた。魔物は終始驚くが、リュウカは黒い炎纏う刀を魔物の体に振り抜いた。
ズバッと切り裂き、切れた事により魔物はさらに驚き…後退を始めた。
「逃げるな!…くうっ…!」
リュウカの体は既に限界だ、軋んだ体が動かない。
ゆっくりと地面を片足付けて、前を向くが…逃げ足が早くルミやラグナロクでさえ追いつけない。
「まて…!」
「くそっ…なんて速さなの…!」
「このままじゃ…!」
魔物は焦る、蘇る記憶に呼ばれる誰かに。
それはこの世で怖い顔をした存在、蘇る記憶を拒もうとする。
なぜ俺は逃げてる…何ぜだ…?
何かに対する恐怖が、魔物を襲っていた。
何かと考えれば…死に対する恐怖だ。
それは、今まで散々人を殺した死人の顔が蘇るのだ。
恐怖が襲い、恐怖が心を染めていく。
そんなのは俺じゃない…!
分かっているのだろ? 君は…死ぬのが怖い。
誰だお前は…?!
その問いかけに、嘲笑う様にこう告げられた
君は僕の器にはたるにたらない。つまり、用済みだーーー。
魔物の体は力が抜け始める、本来の力半分が抜かれてしまったのだ。
魔物の目からは涙がこぼれ落ちる、またしても必要とされてないからだ。
後悔という後味が悪い…そんな世界を何度も生き抜いた…。
魔物の記憶は蘇り、幼少期…彼は初めて人の死を見た。
誰から頼まれたわけじゃない、ただ…彼を救おうとした女性がいた。
孤児だった俺を…命掛けて死んだ姿を見た。
その時、俺の何かが弾け飛んだ。
理由は、警察がそれを事故死として処理された事実と…俺を必要とする人は誰もいなくなった。
ただ、人殺しっと呼ばれ続けた
真実が違っても、誰も信じないから…俺は強くなろうと思った。
誰に頼ることなく、俺は暗殺を楽しむようになっていた。
そんな中でも、必ず邪魔するやつはいた…同じく孤児で育った少女だ。
彼女は…警察となり悪事を捌く立場隣って、俺を捕まえてある意味離さないつもりで追いかけていた。
だが…その少女も…俺の不注意で助けられてしんだ。
またしてもだ、また…求めたものは消えた。
誰でもいい、俺を認めてくれ…誰でもいいからそばにいてくれーーーっと。どんなに願っても叶わない、その故に…いつの日か壁と対話する日々が続いていた。
そんな状態から、十数年後…強盗で俺は警察に射殺されたが…なんでまた生きてるのか不思議である。
もう、俺を終わらせてくれよ…生きるのが辛くてしょうがないんだ。
そんな苦悩がその存在を作り上げたに違いない、蝕まれた意思は…とうに消えた。
ただ、破壊と強さの要求が抑えきれなかった。
魔物は逃げ続けたが、動きがピタッと止まる。
「ガァァァァァァァァ!!」
体がひび割れて…自分の元の姿になる。
全身が痛い、苦痛の叫びである。
背中に六本の腕と黒い翼を生やして、後ろを振り返り小さく言う。
「ふぅ…まだ終わらさないつもりだなあの方はーーーー」
追うルミとラグナロクの目の前にして、六本の腕を飛ばした。
回避するが…ムチのようにぐにゃぐにゃと触手腕は変芸自在、ラグナロクとルミは背中に針を刺される。
「針…手が針にもなる、それは毒で半日もすれば死ぬだろう」
ラグナロクとルミは地面に倒れる、戦闘を終えたリクとミカが上空から攻撃を仕掛ける。
だが、六本の腕振り回され範囲攻撃…リーチが半径十五メートル程の長さである。
本体に近づくにもそれが叶いそうにもない。
「な、なんだアイツの攻撃…!?」
「近づくことすら出来ない…!」
ミカの背後から一本の針が飛び、リクがそれに気付き切り裂こうとしたが…龍の鱗見たく弾力があり弾かれてしまう。
「ふむ、耐え凌ぐのか…。悪くないが長時間貴様らは上空にいた事により、魔力は倍に消費してる…下手に動けば命を削ることになる」
ルミナスフユーゲルは右手をゆっくりと開くと、引き寄せる魔法が発動。ミカとリクは無抵抗な状態で、ルミナスフユーゲルの目の前に止まる。
「貴様ら人間には、限界を超える力がある。だが、それは所詮死に場の狂わせにしか過ぎない。わかるか? この力でもまだ半分だ」
「よく言うなその口…無駄に力がある奴が言い吐く口調だな」
「頭が高いぞ」
ルミナスフユーゲルは、リクの体を腕で貫いた。
だが、リクは死ななかった…むしろざまみろっと言う眼差しをしていた。
「そー簡単にはしなねぇよ…!」
「ならば、肉塊に帰るが良い」
ルミナスフユーゲルはリクの腹部から強い魔力を解き放ち爆発させた。
血飛沫が顔に付着して、ニヤリとした笑みをする。
ミカはポケットから、なんとか呪符を取り出して魔法無効空間と視界から消える札を背中に貼る。
「…おかしいな、先までいたはずだが」
ミカは逃げ出した、バレないようにゆっくりと…後退した。
「ふむ、小賢しいが…逃れるとは限らん」
ルミナスフユーゲルがそう言うと、ミカの足元から六本の腕の一本が出現。
跳んで躱したが、次に目の前に二本目があり回避出来ずに頬を強く叩かれた。
「そんな目隠しじゃ、俺を欺くことは出来ない」
ガルクとヒナが走ってくる、ルミナスフユーゲルは六本の腕華麗に捌き…ガルクとヒナを体に傷を負わせた。
「雑魚がいくら束になろうが、蛇が龍になるわけじゃない…。いい加減諦めろ、俺は魔物に成り果てたが…結局また人に戻った何でかは知らぬが戦えと言う事だろう」
セナとエルペスは、ルミナスフユーゲルの前に立つ…戦闘態勢だ。
呆れた顔のルミナスフユーゲルは、六本の腕でこう告げる。
「死に物狂いも大概にしろ、そこまで弱いと話にならない」
エルペスは、その言葉を否定する様に言う。
「全ては弱いとは限らない、そうやって強き人が弱者を見下すなら…弱者は強者を超える。弱い程人は強くなっていくもの…最初から強い人はいないのじゃ」
「耳が腐るような話だな、強ければ強いほど優る物などいない。さて、貴様はなんの死が相応しいのだろうか」
セナが魔法を放とうとするが、六本の腕により術が唱えられない。
「無駄だ…何をしようとしても、私が弾く。死にたくないならやめろ」
「注意ありがとう、だけど私にはやらなければならい。運命を託した人がいるなら尚更諦められない」
セナの足元から、一本腕が貫くのを回避すると残り五本の腕はセナの向かい合わせに飛ぶ。
「セナ!!」
「ーーーっ!?」
ズドドっと言う音が鳴り響いた。
「ほう…貴様が盾になるのか…エルペス」
「がはっ…!」
セナを庇うように、エルペスは両手を広げ五本の針を体に突き刺さる。
「エルペス…!!」
口から血を吐くエルペスに、セナは動揺する。
五本腕を引き離された瞬間、エルペスはセナに被さるように倒れて…耳元で小さく言う。
「なにを…してるん…じゃ…セナ…」
「エルペスさん! 待って治しますーーー」
その腕を掴まれた、優しい口調で言う。
「わしのことは良い…今はやるべき…事を…」
「エルペスさん…死んじゃダメですよ!」
「わしは死なんよ…大丈夫…セナを置いてかない。じゃから…その魔力は…」
エルペスは口を途絶えてしまう、吐く息も感じられなくなり…セナの目から雫かボロボロとこぼれ落ちた。
ミナが二人の前に立ち、ゆっくりと息を吐いて言う
「あんたは、なんでこんなことしか出来ないのよ?」
「…愚問だな、強い人が生き延びる正しいだろ」
「えぇ、そうよ…だけど。人を殺してまでは違う、誰かを悲しませて、誰かの目の前で人を殺すなんて…非道よ」
「非道、それは…なんだ?」
「人としての生き方を間違えた…そう今のあんた見たくね。そして私をキレさせた…!!」
誰かを泣く姿を見たくなかったミナは、剣と銃が一体化になった銃剣を魔道空間と呼ばれる武器が収まる空間から取り出す。
「ふむ、少しは楽しめそうだな」
ミナとルミナスフユーゲルの戦闘が始まった。
その頃、意識を取り戻したリュウカがめにした世界はーーー悲惨だった。




