目覚めと現れた大天使
ガタガタと音を鳴らす棺の蓋、リリナとリュウカは生唾を飲んでゆっくりとした足取りで棺の前まで行く。
「アァァァァァァ―――!!」っと叫ぶ声が棺から聞こえた。
棺の蓋を開けると、包帯を巻かれた人がいた。
み、ミイラの目覚め…!?
なに? 人類終わる説…浮上案件!!?
いやいや冷静になれと、リュウカは内心いいきかせた。
生唾を飲みリュウカはリリナの顔を見て、互いに見合せた。
ゆっくりと後退りすれば、セナが何か言いたげな表情でゆっくりと頷いた。
それを見たリュウカは、何かを感じとり前を向いた。
「ミナが眠りから目覚めたんだよ…」
「え?」
「百年前ぐらいに、ある目覚めと引替えに呪われた血が眠る墓の前で眠るように…。その時を寝てしまった子よ」
「それって眠れる森の少女の「眠り姫」みたいな話ね」
「そう、この子が流れる血には…呪いがある。だから…何かの目覚めと引替えに力を失ったから眠ったのよ」
ミイラは自ら体を起こした、リュウカとリリナは驚いた瞬間、セナがある一言を発した。
「何かいいのをつけたので、お持ち帰りです」
「セナ…」
「はい?」
「ワシはそんな事、教えた覚えないぞい」
「独学で覚えましたまる」
「はぁ…」
エルペスは軽くため息を吐いて、呆れ目をセナに向けた。
起き上がったミイラは、布を手で脱ぎ捨出ながら話だした。
「…なんにも見えないわ。えーと、ロンくんいないの…?」
「ロンくん」とは、恐らくロンギヌスの事だろう。
この世を去った彼は、この声を聞けずに死を迎えたのはどれほど悲しい事なのか。
出せる言葉が無いーーーそれがこの場を意味する言葉かもしれない。
リリナが不意に口を開いた。
「ろ、ロンくん…?」
ミナはプンスカプンスカと怒ったように、両手を上げながら反応しながら言う。
「むっ!? 女の子声が…! ロンくんうわきしたのね!!」
「え?! 知らないわよそんな子!!」
「誰よこんなピッチみたいな声の人!!」
「び、ビッチ…?」
「それに、貧乳でしょ!!」
「ひ、貧乳…?」
ピキピキするリリナの笑みは、深さを増してやがてキレた。
「…私がいつビッチだって言ったァァァァァァーーーーー!!」
リリナは、包帯で巻かれた頭をグイグイ引き抜こうとし始める。
「いたいたいたい!! な、何するのよ貧乳!!」
「また言ったわね!! 貧乳教祖の名にかけて私の鉄髄をくれてやるわ!!」
グイグイ引っ張り、スポンッと言うシャンパンの栓が抜けたような音が鳴り響いた。
リリナは、頭に巻かれた包帯だけを手に持ったまま床を転がった。
リュウカはナミの姿をただ眺めていた。
赤い髪の毛の少女ーーー目をゆっくりと開けて青く深い色の瞳で周りを見渡した。
「あれ…? 私は確か…国王の跡地に…?」
「貴方はミナ様ですね?」
「そうよって、何可愛い…君は何歳?」
あ、新手のナンパだ…。っと一同は、そう思い…。セナは顔を引きながらも話す。
「え、えーと…ロンギヌス様から伝言を」
「ロンくん結婚したの!? あ、あんな事や、こんな事までして…こんな子を!! 私が嫁じゃなかったの!?」
「いや…話を…」
「うぁぁぁぁぁん―――!!ロンのぶぁっかぁぁぁぁぁ―――!! クズと腑抜けよ!! 悪魔よ!! 私の初めてを――――!!」
何故かリリナと類似で同じ匂いを感じたリュウカ、ちらっとリリナを見た。
一方的マシンガントークって奴…。
これを異世界風にしたら一方的言葉圧力話って奴かしら。
そう内心リュウカは思いつつあるが、リリナは何故か頷いていた共感あったのだろうか。
とはいえ、ぶっちゃけ私には関係ない話なんだけどね…。しっかし、なんだろう?
リリナが泣いて駄々こねてる時と同じのような…?
リリナは、ミナのところまで歩き…。
包帯の解く作業を手伝いだして、全て解き終えた瞬間―――。
ドンッ!! っと言う外から轟音が鳴り響いた。
リュウカ達は、洞窟から慌てて外へ出ると…あのメカドラゴンが爆破されて爆発音と火花を散らしていた。
業火の最中で、視界の先にいたのは長髪の青年の姿…ルミナス・フューゲルの姿だった。
正しく悪の大王と例えるにふさわしい存在感だ。
穏やかな表情ではなく、血相を変えた顔である。
どうやら相当お怒りの様だ。
「小賢しい真似をしてくれたな」
リュウカが、こう問掛ける様に話す。
「どうやら、冷静さがなくなったね」
「……」
「ルミナス・フユーゲル…世界レベルアップすればあんた力は…弱体化する。だから、今このタイミング出来たんだよね?」
「それがどうしたーーー?」
ルミナス・フユーゲルは空に手を伸ばしてこう一言を言い吐く。
「いくら時を変えようと、貴様らの死は免れない…分かるであろう? チート能力に穿つなんて神に逆らうのと同じだ。そうであろう? 下位愚民の生き残り達よ…その聖なる命をまた投げるつもりか?」
「…まだそれ言えるのね。愚の骨頂とは…私達じゃなくて…あんたよルミナス・フユーゲル。下位愚民だとしても、生き抜く為に戦う…命を燃やしてまであんたを倒す。それに変わりなんてないわ」
「ほざけ、負け犬風勢が。何度たりとも我が刃と力の前には…足掻けぬのだよ!」
飛んでくる剣をパシッと掴み、軽く降り剣をこちらに向けて強く発する。
「貴様らにあるのは生では無い!否、あるのは死のみ! それ以外は、決していい逃れが出来ない敗北の二文字があるのみっ!!」
エルペスが、顔を上げて飛んでくるルミナス・フユーゲルの斬撃を杖で受け止める。
「残念じゃの、死ぬのは貴様じゃ…大反逆者ルミナス・フューゲル」
「誰かと思えば…死に損ないの吸血鬼か。何度だろうと我の邪魔をさせぬぞ」
「ふん、貴様と合わせる顔など失せたのだが…。あえて希望があるこやつらに、ワシは掛けた」
「クックック…早死の言葉は実に、貴様に似合う。その狭き託しと言う言葉で我は失望したぞ」
「結構、それでもワシは…負ける訳には行かぬ」
ルミナス・フユーゲルとエルペスは激しい剣を打ち合わせ互いに後方に飛ぶ。
「雑魚なりにやるではないか、だが…力はあの時ほどではない。老いぼれだけあるか」
「時代がもう違う、お主が世界崩壊を引き起こしてからもう何十…いや。何百年も前じゃ、その長い時間をわしは生きてきた…貴様と戦う為にな!」
エルペスの体は光り輝き、若い女の子の姿が出現して一同口開く。
「随分前からじゃ、準備は重ねた…あとは「確証」と「信じた心」の強さで決まる。はて? その数がゼロよりも数が多いワシらが優位では無いかのう?」
「ふん、理屈を並べては実力すら出さない…そんな貴様が私は嫌いだ!!」
「老いた体をいたぶるとは、だいぶ悪趣味。だからこそ私の魔術式でやるのさ。私もあんたが大嫌いの嫌いの嫌いだっ!!」
ルミナス・フユーゲルが魔法弾を放つが、エルペスは、魔法結界を展開して防御してニヤリとした笑みで魔法光線を穿ち。空中にある魔法玉は爆発して、全てを相殺させた。
「小賢しい!!」
「小賢しいのは何度も再生するあんたよ」
「なに?!
「あら? 正論で顔色悪いわ」
「ぬぐぐ…えぇい。殺してやる!!」
「ーーーーふっ」
エルペスが軽く笑った瞬間である、ルミナス・フユーゲルの背後に飛ぶ青年が一人ーーー。
軽く囁くようにこう発した。
「さて問題です、背後からの不意打ちは…どれだけの確率で成功するでしょうかーーー?」
「!!?」
ルミナス・フューゲルが背後に気配を感じて振りぬくと、ジャングリラの姿がそこにあり互いの剣が衝突して擦り合う。
「おっと、首は切れなかったか」
「やっと来たか…」
「少し遅れたね、あとは任せてよ」
そういい青年は、ルミナス・フユーゲルの目の前に立つ、来ている鎧は白銀に光り輝いていた。
「貴様は…聖剣士ジャングリラ!」
「お初にお目にかかる、僕の名を知ってるとは…君は何百年生きてるんだい?」
「私がそれに答えるでも? 誰が相手だとしてもだ…結果としても変わらぬ。 さぁ、我に足掻いて見せよ騎士」
「そうか、答える気が無いか。悪足掻き? いや、それは無い。騎士としてそれは汚点であるが…まぁいい全力で行かせてもらうよ―――。騎士の名にかけて君を倒そう」
ジャングリラの細剣から、強い光が放たれ…ルミナス・フューゲルは何も動いてないが吹き飛ばされる。
「…ぐっ、なんだいまのは?!」
「おや? 知らないのか…。なら教えてあげよう、僕達異世界人には「術式」っと呼ばれる強力な技がある―――」
白煙を一振でなぎ払うジャングリラは、武器を胸に翳してこう言い放つ。
「聖・術式解放―――」
ジャングリラの細剣から強い光を放ち、素早い動きで一瞬で、ルミナス・フューゲルの目の前にその姿を現す。
「―――!!?」
「閃光重撃!!」
瞬く無数の光の連撃が、ルミナス・フューゲルの体に刻まれ吹き飛ばされた。
だが、ルミナス・フューゲルは踏ん張りジャングリラに向かって飛んだ。
「クックック…ふははははーーーー!!」
「やられた瞬間に高笑いとか面白い子だな…。ならば答えよう…悪党!」
相当体からの出血は、激しいが全く痛覚すら感じない動きだった。
「剣がある限り不滅! 不滅ッッッ!!」
ジャングリラの近くまで来ると、動きがピタっととまるルミナス・フューゲル。
ジャングリラは静かに覚めた声で言う。
「引っかかったね、僕の氷解領域に。見えないガラスみたいなこの氷の壁、これに触れたものは例外もなく凍らせて…動きを止める」
ジャングリラは細剣をゆっくりと左右に振り穿つ体制になり、そして突く。
「時差攻撃なんだ、故にゆっくりと君の体を切り刻んで風穴を開ける―――。さぁ、砕け散れ氷解領域!!」
左右に体を切り刻まれて、腹部に巨大な風穴を開けて上空に飛ばされたルミナス・フューゲル。
体から強い光を放ち、第二形態となる。
体の傷は塞がり、体を起こして強めの口調で発する。
「ぬぐぐっ!! ならば、これならどうだ!!」
「姿を変えたね…ふむ、ちょっと厄介だね。空中飛ぶ悪党一匹か…」
次は翼を背中から生やしており先程の衝撃を吸収するしていた。
あの時見た…青い顔で魔物と一体化のルミナス・フューゲルである。
「俺には死はない、こんな風穴ごときで死は有り得ぬ!!」
「…そう来なきゃ始まらないか。ベタだけどよいか」
ルミナス・フューゲルは、背後から巨大な魔法陣を回転させながら無数の魔弾を放つ。
ジャングリラは、回避や魔弾を切り裂きながら間合いを詰寄る。
「甘い、狙いが甘いね…」
「それはどうかな??」
「むーーー?!」
リュウカ達がいる地上に魔弾の着弾、砂煙が舞いあがる。
エルペスは小さな杖をポケットから取り出して、魔法を空に向かって放つ。
ルミナスフユーゲルの頭上に、火属性魔法を投下したが…やはり効いてはない。
「効いちゃいない…ね」
「それも何となく分かってはいたが…」
「小賢しい真似を…召喚ウルボロス」
召喚魔法でルミナス・フューゲルはウルボロスを地上に召喚する。
リュウカ達にの目の前に現れた、巨大な魔物に言葉を無くす。
ジャングリラの追撃が光る、ルミナスフユーゲルに向かって細剣を振り抜く。
「そこか!!」
ジャングリラの一撃はルミナス・フューゲルの翼に的中したが、怯むことがなく反撃をするルミナス・フューゲル。
「ちっ…邪魔だ雑魚!!」
「それはどうだろうね。不名誉を刻ませる訳には行かない。だから、負ける訳にはいかない」
「ほざけ、負け犬が!!」
上空はジャングリラとルミナスフユーゲルの戦いとなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
地上に突如現れた大型魔物の目の前に、目を白くするリュウカ。
召喚獣みたいなのってあったっけ…?
どこぞのファンタジーだよっと感じていた。
しばらくしてから、リュウカにリリナから手渡された青い剣を手に持つ。
以前は刀身が短い短剣だが、体が成長してるので片手剣となってる…この神器様。
「 短剣が前だけど…なるほどね」
「言わなくても直訳でしょう」
「まぁ体に合わせる武器だろ?」
「そう言うことよ」
「グォォォォ――――!!」っと高い咆哮を荒あげたウルボロスはゆっくりと歩き出す。
「さて、わしもひと暴れかのう…。セナ、補助は任せたぞい」
「えぇ、ミナ様は状況呑み込めないと思いますが…これは世界を救う戦いです」
「世界をって…え?」
「ミナ様が眠っていた、時間に起きた出来事を簡単に言うと。「壊された世界」です」
状況をやや理解したミナは、動揺しながらもその名を口にした。
「壊された…世界…。もしかして、カオス?」
セナは頷き二つ声で返事する。
「はい」
ミナは少しばかり決心したように巨大魔物を見上げて言う。
「…私も戦わなきゃ行けないわね…」




