仲間に託されて
ラグナロクとリュウカは、少女の目覚めを待つその頃―――。
先を進むリリナ、レイナ、ユートピア、ヒナの四人は、大天使から送り込まれた兵士に、追いかけられていた。
「まて! 侵入者!!」
「うるさいわね、そんなんだからモテないのよ!」
「んだとこのクソアマ!!」
通路をぬけて、女神の大広間通路に辿り着いて…兵士に囲まれたので、強行突破したリリナ達は、グルグル回る階段をひたすら登っていた。
「それにしても、リリナちゃん」
「うん?」
「その剣…どっから取り出したの?」
そんなレイナの訊ねにリリナはこう答える
「元女神だから、異空間保管場所ってのがあるのよ。手を開けば一瞬光って出てくる」
「すごい…」
大広間通路の中心部にある階段は、大天使の住む異界エリアへと通じている。
リリナはそれは把握していたが…、この大天使の兵士の数にド肝を抜かされる。
「首を討ち取れ!!」
ヒナが焦りながらもリリナに言った。
「強行突破はダメって、あれほどお姉ちゃん言ったよね!?」
その言葉に、反論する様に口開く。
「私は、貴方のお姉ちゃんじゃないわ! てか、ヒナちゃんってそうゆう人!?」
「私は全人類の保護者でお姉ちゃん!!」
「スケールデカすぎて、何が何だか分からないわよ!!」
「要するに、妹立ちを助けるのは―――
私よ――――!!」
ヒナは、目の前からくる兵士に向かって拳を振り抜き、どんどん階段から転げさせる。
「くふぉっ」
「お姉ちゃんの一撃は痛いのよ!」
「がはっ!!」
「さ、次来なさい!」
「ひ、怯むな! 押せ押せ!!」
兵士の攻撃を、回避しながら、拳をふりぬくヒナは確かに頼りがいがある。
「すごい、無茶苦茶だけど目の前の敵が階段を転がってるわ…。後ろの兵士達はボーリングのピンみたいなんだけど」
「うん、なんか凄いよね」
ヒナは前から来る敵を叩いて、後ろから来る敵は、レイナの「コケ」で何とか…。
「ねっこが…転がってくる!」
「喰らえ回転攻撃」
「技名が地味だけど…やべぇ!? あっは!!」
ドジっ子レイナは、階段から滑り転けて、何回も後ろから追ってくる兵士に激突。
「なんだよ!? 俺達は…ボーリングのピンかよ!」
「まぁ不利だからね、階段から転がるものに対して」
「なんで納得してんだよ!!」
「いやだって、俺はなんでピンに憧れたかよくわかったし」
「とんでもねぇこと暴露しやがった!!」
「では…ボールよ私っーーー」
「ボールじゃない、私だ」
レイナのバック体当たりに兵士は階段を転がる、何故か幸せな笑みをして。
「オィィィィィーーー!! 自らやれに行くっ―――あぁぁぁぁぁぁーーー!!」
こんな叫びでのおかげで、後ろから追ってくる兵士の数はかなり減った。
「な、なんか戦わずにすみそうね…」
ゆっくり歩き、ちょうど階段に中間地点、そんな時―――
「逆賊リリナ、覚悟!!」
地がない場所からの、奇襲…つまり階段の外側からである。
振り落とされる剣、体が石見たく固くなるリリナは、目を点とさせていた。
想像もつかない場所からの奇襲で、驚かない話はない。
う、動かない体が!!? やば…!
伸びてくるかげに、ユートピアがリリナを体当たりして、押し飛ばした。
ユートピアは右手に小さな鉄の棒を持ち、素早く振り抜くと、直槍と言う刃に枝がない武器が姿を現す。
別名はスピアとも言われており、相手を突き刺すのが目的で作られた槍だ。
「―――いくよ!!」
振り落とされた剣を、ユートピアは槍で受け止める。
「理想郷…。いや、ユートピア、なぜ貴方が?」
「それはこちらのセリフよ、四大天使ミカエル」
孔雀のような翼で、白銀の甲冑を身に纏う姿、右手に持つ剣は神々しく光っている。
ユートピアは槍で押し返して、リリナ達にこう告げる。
「ここは私が引き受けるわ、リリナ達、先に行って!」
「で、でも」
その声は、どことなく緊張感を過ぎらせる
だが、リリナは躊躇う、その判断が正しいのかと悩んでしまう。
だが、ユートピアはミカエルを眺めたまま、背中越しで言う。
「ミカエルは、警備と兵士のまとめ役。ここで足止めすれば、雑魚は行かないはず。それに、左手に持つ秤は、少なくても神に等しくない人では戦えない。大丈夫、遅れて必ず行くから」
その言葉を聞いて、リリナはゆっくりと頷いてこう言った。
「生きてまた会うわよ」
「うん」
リリナ達は、階段を勢いよく駆け上がる。
だが、ミカエルは進行を邪魔しようと何かを唱えた瞬間、ユートピアから放たれた短剣が、回転しながらミカエルに向かって飛んだ。
「くっ!」っと言って、ミカエルは右手の剣て弾いた。
左手から魔法を放つが、ユートピアは魔法が発動する際に出る「魔法陣」を槍で砕く。
「行かせはさせない、私が相手よ大天使さん―――!」
「ふん、その挑発に乗ってやる。見事に耐えしのいでみよ――――」
挑発的発言で、ミカエルの注意を引くユートピア。
リリナ達は、階段を駆け上がる―――。
「いいの?」
「なにを?」
「ユートピアに任せても」
「うん、じゃないと前に進めない」
レイナはそう言って、リリナはそう答えた。
迷いなんて、今には不要だった、その場を任せて頼る…それが最前。そう思うしか今はなかった。
☆
女神世界の階段を私はひたすら登る。
仲間が次々に、戦いを初めて、私の背中を押すように、現れた敵と戦う。
そんな状態、いやだからこそ、私は歩みを止められないのだ。
階段はやがて、終わりを意味する様に、先に行く階段は消えた。
辿り着いた大きな、一枚の鉄扉、その先には「転移装置」と呼ばれる魔道器具の一種。
特定の場所に転移ができる優れもの。
すると、レイナとヒナは階段の方を向く。
「「扉は私達が引き受ける」」
そう発した声に私は後ろを振り返る。
「レイナ、ヒナ…」
「私達は、追っ手をここで食い止める」
「リリナちゃんは、果たすべき場所へ…行って」
「で、でも…!」
「もう決めてるの、ここで死ぬか、生きるかなんてわかんないけど」
「誰かを守れるならそれでいい、だから、リリナちゃんは、前を向いて走って」
そう発した彼女ら、私は静かに前を向く。
二人は階段の方を向いたまま、私を見ようともしない。
それだけ、決意が硬いって事だろう、なら、私もそれに答えなくてはならない。
「……頼んだわ」
苦し紛れの決断だが、私にはそれしかできない。
寂しければ、虚しい、だけど、立ち止まる訳にも行かない。
私は鉄扉を手で力いっぱい押した、一人が通れる隙間となり、そこから中へと入った。
白い通路一色、天と地が分からなくなる
これは錯覚には違いないが、私でさえ見極めるのが難しい。
だからこそ、この背中に隠した木刀がある、どう使うかというと、壁を殴って壊すしかない。
私が手に持つ剣は、壊せないだろう。
「はぁぁぁぁぁ――――!!」
木刀を振り抜きながら、私は走る。
壁を破壊して、ガラスが砕けた音が鳴り響く。
周りの背景が暗くなり、通れる進行通路を見極めた、「よしっ、行くわよ」っと思いながら通路を駆ける私―――。
……変ねここ、さっきから進んでる気配がしないような? 気のせいかな
カツーン、カツーンっと走ると鳴る音、反響音
感覚がおかしくなりそう、とか思うけど
一箇所だけ強い光を放つ場所を見つけて、その場所へに目掛けて走り辿り着く。
ここは…?
周りを見渡すと、どっかの廃炉された様な空間…鉄くずが床に落ちてたりする。
上を見上げれば、外の光だろうか?ってぐらい眩しい。




