現代と異世界の違い
俺は何かの見間違いと思いたかった。
死ぬ直前とはまさにこれ、眼前に毒クモの鋭い爪があった。
「……ゴクリ」
それは、交差する二つの鎌をたった一つの槍で防いでいた、両手に槍を握りしめて押し返す。
「せいやっ!!」
「グギャァァァァァ!!」
その後ろ姿は、黒髪の肩ぐらい伸ばした黒い短髪でセーラ服を着ていた、毒クモだと言うのに物怖じない眼差しは、視線を潜り抜いた証のように…鋭く光る。
「君大丈夫?」
「…あ、あぁ」
「立って私の後ろに逃げて私が、食い止めるから」
「わ、わかった…」
俺は呆気にとられた状態で走り出す、その細い体と腕でクモの一撃を防ぐなんて、誰が想像出来る? っと思わせる。
あの一瞬の、死角からの攻撃を躊躇わずに、俺の前に飛び込んできた。
ほんと、近頃の女の子は怖いや…恐れ知らずって感じでさ。
「俺にはどうにでもできない、歴戦者がやっぱり…戦って多分だけ強い」
俺はそうしか言う事しか出来なかった、負け惜しみではない、走って逃げたが、周りが蜘蛛の毒の領域…紫色の霧が降り注ぐように、噴射していた。
滅んだ異世界、そこには生物がまずいない、女神世界にいるとは、どう考えてもアリの巣にアリがいない感じだ。
「…逃げるにしても、難しいかしらね」
「だろうよ、蜘蛛さん通しちゃくれないね」
「…時間稼ぎくらいしか出来ないわ」
「でも、やらないよりかはマシかな」
「だよね、よしっ」
少女は握る槍と矛を柄頭真下に魔法陣が現れて、少女は槍を降ろし言った。
「双翼から解き放たれろ―――!!」
その言葉通りに、矛と柄頭か、強い光を放ちクモの鎌をパキィンと破壊した。
魔法が槍の中心部から放たれる変わったやり方、起動点が下で矛は属性を意味する。
今はなんもないので、無属性魔法が放たれたのだった。
「よいしょっと」
少女は槍を手に持ち、クルクルと回転させて構える。
「鎌は破壊できたけど、本体はリクが担当かな。私の魔術錬金じゃここまでかな。君、逃げるわよ」
「やはり限度すか?」
「そりゃそうよ、生身じゃ無理よ」
言われるがままに、俺は少女の後を付いて行くように逃げた。
轟音が馳せる、激しい激突音が通路に響き渡る、そうこれが戦いなんだと痛感する。
そう自分が生きている世界は、死線なんて指を数える程あっても、死ぬ緊張感なんて抱かないだろう。
俺でも色んなやつと、喧嘩はしていたが、やっぱり臨場感とも違い、ゲームの世界に飛び込んだ感覚は、紛れもなく場違い現実の物で、殺意があるかどうかでもこんなに違うっと思えた。
「戦って、来たのは…こんな違いが出るなんてな…」
「…死ぬ戦いと、そうじゃない戦いは、駆け引きがもうちがうのよ」
「……」
俺は苦い何かを、食べたかのようなそんな声で、逃げながらも口にしてしまう。
「喧嘩だけじゃ強いなんてイキリだよな…」
「―――喧嘩と戦いは違うのよ、場の甘さの判断が死に直結するわ。あの一瞬でも、油断したら次は肉塊が消し飛ぶわ」
ご丁寧に、お説教をした少女に俺は、反論する訳でもなくただただ走る。
んな事は分かってる、頭ではな。
考えちゃいない、そんな自分がいるだけだ。
…今回は貧乳ちゃんか、その隣で走る俺、なんかヤベェな…。
ラグナロクがいる場所まで戻ると、巨大な魔方陣が淡い光を放っていた。
範囲的に相当な面積を使ってる、つまりそれだけ巨大な魔法という事だ。
「ま、まて…俺達まだ走り終わってーーー」
「さぁ、準備が出来たわ。――千の魔と地と空、赤く、穿つ、閃光の灯光を、汝て、解き放たれん。――赤閃光爆破魔法!!」
「人の話を聞けアバズレがァァァァァーーー!!」
天井を破壊して降下する強い光、それがクモの体に強く、突き刺さるように当たり、赤く染った閃光を放ち強烈な爆風と大爆発起こしたのだった。
☆
「うん…?」
俺は床に寝そべっていた、体をゆっくりと起こすと、通路の床が大きな風穴があいていた。
反対側の通路と、こちらの通路は完全に遮断されてしまった。
「ピピッ」と、何やら高い音が鳴る、ポケットからリクから渡されたディバイスを取り出して耳にあてると、ディバイスの向こう側から声がした。
『よう、聞こえてるかロリちゃん?』
この声はガルダなので、俺は「聞こえてる」っとちゃんとした声で発する。
『一人呼んで、そちらに送ったが…なんか空が大爆発して海になんか落ちた。ありゃなんだ?』
「クモだとさ、巨大な毒クモ」
『は? そんなもんがいたのか? 女神住む世界に、毒クモって変じゃねぇか?』
「変さ既に、おかげで先に行く通路遮断さ」
『別通路なんてあるのか?』
「いやわかんねぇよ…一本通路みたいだったし」
ディバイスの奥から何やら、戦ってる音が鳴り響く。
どうやらガルダの方も、何かと戦ってるみたいであり、早口でガルダは『後で掛け直す』っと言ってディバイス切られた。
俺はディバイスを片手に空いた穴の下を見下ろした…雲海と言うべきだろう。
雲と青空と射し込む太陽の光、そんな場所に女神の世界がある。
さて行く道をなくした、こっからどうやって行こうかと考えていると、向こう側の通路の瓦礫が動き転がり落ちる。
立ち上がってたのは、額から血を流していたリクの姿で目を細めて、周りを見渡してから通路の先へと歩いていく。
風圧で飛んだのか…ギリギリだったしなぁ…。
俺はとりあえず来た道をもどるが、不思議とラグナロクとあの少女の行方が気になった。
あの衝撃と位置で、ちょうどその場所にいたラグナロクは落ちた感じするが、あの少女は俺と同じ場所にいたし…うん?
噂をすれば、床に寝転がってる少女の姿。
俺は、鼻付近に手を伸ばした。
優しく指にかかる息を感じたので、気絶してるのだと把握する。
生きてるし大丈夫か、後はラグナロクだけど…
あの魔法の風圧で吹き飛ばされたのか。
その張本人は、下界に落ちた可能性もあるが…床をよく見ると手見たいのが見えた。
俺は穴が空いた場所に再び戻る、やはり手である。
「何やってんの?」
「あ、リュウカー助けてー」
棒読みなラグナロクに仕方がない感じで俺は腕を掴んで引き上げた。
「ロリに頼むのかよ…」
「ごめん」
「まぁいいんだけど、ギリ攻めただろ?」
「うん、やりがい感じた!」
「目を光らせるな…」
ゆっくりと立ち上がり、着てる水着を軽く叩いてどうするか? っと俺とラグナロクで考え始めた。
☆★
「射程間違えるなんて珍しいな、ラグナロクこの世界は初めてじゃないだろ?」
「まぁそうだけど、なんかマナのバランス取れない」
「つまりどゆこと?」
「空が飛べるなら、飛んでるけど。それが出来ない的な?」
「あー、わかるような分からないような」
ラグナロクがマナの不安定さを、こうして言うのは初めてである。
マナが安定してない、それは魔法を放つ時はかなり危ない状況を意味する。
例えば、Aに向かってB位置から魔法放つと、普通に的中する、が。
マナ不安定だと、Aに向かってB位置から魔法放つと、的中位置と言う物や物体を、的確に的中させる補正見たいのがある。
簡単に言えば、魔法放つ時に風吹けば、狙った場所から違う場所に的中する状態である。
よって、ラグナロクの表情はややしょぼんとしている…やたらテンション低さがわかる。
そんな姿を俺は少しばかり気にかける。
「ラグナロク、マナが安定しなくても大丈夫。武器があるしなんとかなるはず」
そんな励まし的なことを、言った俺は恥ずいが、ラグナロクはケラケラと笑いながら、俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「柄に合わないこと言わないのよ、背中がゾクゾクして寒気を感じたわ」
「あのなぁ―――」
「でも、元気でたよ?」
ラグナロクの笑った顔が、何故か輝いて見えた、いつもと違う笑みに俺は目をぱちくりさせた。
「な、なによ?」
「一瞬美化されたラグナロクを見た」
「失礼な、私らいつでも笑い顔最高な女よ!」
「自分でそれ言うのか!?」
ちょっとだけ補正とかしていたら5000文字近くなりました
この回の話は、死血量が高い毒蜘蛛モンスターとなってます、オーバーヒールの異能を持つリクにしか向いてないけど、ミカというキャラは前作ではリクの後輩の子です。
また、輪廻転生はこの世界で生きていた記憶を持ちながら転生したので戦い方はリュウカ達よりかなり強いキャラになります。
お待たせしました、ちょっと追加といらない部分の書き直しに手間が出てしまい遅れました。




