普段の男子高校の日常生活
7月の初め、梅雨空も残りつつも…蒸し暑さがジリジリと感じ始めるこの日。
ノートとペンを持ち、机に向かって白いノートにキャラクターの絵の線を引く。
これで通算三十六冊目の、異世界転生するまでの日記としていた…いや、そもそもこれは…。
「エチだなぁ…ふへへ…」
変態による歪んだ笑である、彼は陰キャラで小説をこよなく愛して行くうちに…何故か想像力がやばいほど溢れてきていた。
結果的に、小説の表紙を飾るエロい服装とキャラをこうして書いていくうちに、完成度が高まり、恥じらいがある表情まで書いてしまう。
「…なんで、リアルに居ないんだ。君たちがいれば俺は、俺は…その靴の底を舐めさせてくれ―――」
悲哀…そう、現実は常にその言葉が存在する。
モテなち非リア充は、常にアニメの萌えフラグを脳内再生してニヤニヤと笑みを浮かべる。
世間からしたらかなりキモイが、実質三次元には興味が抱けない。
そう、全ては二次元が最高なんだーーー!! っと喜びたいが…だ。
「あぁ!? 大事な、大事なパンチラが!?」
シャーペンであるが見事にパンチラが、パンティーしか描かかれてなかった。
あまりの書きミスであり、恥じらいがある表情書いていたためが実にエロさが増していた。
「ぬぐぁぁぁぁぁぁ!! 尊い!! 心臓に悪い素材だ!! うぁぁぁぁぁーーー!! そ、そんな目で俺を見るなぁぁぁぁぁぁーーー!!…よし極めちゃうか…ひっひっひっ…」
そんな彼の叫びにと不気味な笑いに、突飛すぎる感覚で部屋の扉が開かれる。
「兄貴大丈夫…?」
「ひゃうっ!? …妹よ、兄の部屋に入るとは如何なる理由でもダメでござるよ」
「ござる? なんか語尾おかしいわよ」
「はっ!? つい癖が…」
「…はぁ」
セーラー服で何やら雲行きが怪しい表情をする黒髪の少女。俺の妹片倉茉莉で不機嫌そうな口調でこう言い出す。
「…ねぇ兄貴」
「なんでござる?」
「それ古いからやめよう」
「…うっ、我が右手の封印解く時が来たか」
「いやそれも違う、中二病じゃん」
「…ふざけたんだよ、何の用だ?」
「変態、変態過ぎた変態は私が恥ずかしいよ」
「ふっ、何故わざわざ言いに来るんだ!!? あとサラッと傷つくこと言うな!」
「キモイんだよ、寄生荒あげる所。それにノック何回したと思うのよ!!」
「うるさいな!! お前だって「お兄ちゃんの為なら何でもする」って言ってただろ! それにノックはな人生の未知なる扉を叩くようなもんだ、音沙汰もなく三秒後いきなり開けられてみ? 恥じらいもくそもないそんな姿を見て何が面白いんだ!」
「いやそう言うことじゃないわ、それに…なんでいやらしい目で私の体見てるのよ。てか、そもそも変な声で泣くから悪いのよバカ!」
「いや見てないし、変な声で泣いてないし貧乳妹ーーー」
音もなく顔に妹の拳が入っていた。
秒殺なブラックアウト、視界にある光を全て奪った。
そして我ながら恥ずかしいのだが、仮想リアルみたいな…VR現象に近い感じの美少女が現れてどっかともなく消えそうな…って思えば直ぐに我に返る俺であった。
「はっ、俺の彼女!!?」
「…馬鹿なこと言わないでよ」
「一瞬違う世界が見えたんですが…うん?」
「早く起きないからこうなる」
「……」
茉莉が珍しく膝枕をしていた、胸が真面目にないのと足の温もりがなかなかである。
「変な気持ち持たないでよ? もしすりすりとかしたらぶっ殺すから☆」
「ははっ…しないよ…。期待数値上がらないしね」
「なにそれ!? 私には魅力とかの要素ゼロとかいうつもり!?」
「いや違う、そう言う意味じゃないから!」
「ならなんなのよ?」
「…貴重価値的な?」
「バッカじゃないの」
いやらしい気持ちが一切起きないのは…普通なんだよな。
つーか、脳裏現象は必ずリスクを伴うからオンオフ激しいなぁオイ!!
とか思ってると、茉莉からさりげなくこう聞かれた。
「兄貴さ、なんで変態になった?」
「知ってたら苦労しないんだが」
「…あの日から、兄貴は落ち込んでいたのに。変態じゃなかったのにね」
「…あの日?」
「忘れるなんて、女の子からしたら悲しい話よ」
茉莉の発言がやや引っかかる、「あの日」って何の日か分からない。
むしろ7月以前の記憶がない、理由は事故…交通事故で頭を打ってから記憶が殆ど抜け落ちていた。
覚えてるのは俺の名前片倉龍太と妹だけである、病院では「後遺症」と診断されていて強い衝撃で記憶が消えたらしい。
まぁ物事は一瞬に忘れ去るとよく言うが、それまるで…ガラスに石などをぶつけた感覚なんだろうか? あった記憶は一瞬にして亀裂が入る。
茉莉はなにか知っているようだけど、俺はなんの事かすら分からないが色々気を使ってくる。
それは…大切な何かを慰める様な優しさだ。
なのでたまに「お兄ちゃん」なんて言って来る日も、割合的に多いのだ、ほんと、稀にだが。
「さて、早く私の膝から離れなよ」
「もう少し感触を」
「…変態、調子に乗るな!」
「がはっ!!」
茉莉がやや恥ずかしそうに、照れ顔を浮かべていたが、数秒後目の前が真っ暗になった。
再びブラックアウトである。
照れ隠しに人の顔殴るって…なんすか!? っと言いたくなるのだが…。
うん、貴重なシーンを見れたな…。
次目を覚ましたら夜、また気絶していたようだ。
カーテンを閉めて、部屋の電気を点灯。
エロいイラストのノートを開いた…、いや開きっぱなしだった。
「あ、地雷踏んだこれ」
当然の様に妹からなにやらメッセージが書いてあった。
『えっち過ぎないこれ!? DTなだけあるわ!』
DTとはあれである…童貞を意味する訳だが…。なんという心もない会心の一撃は、俺的に精神ダメージがでかかった。
一言余計だよ茉莉!! てか、茉莉だってろくに恋人も作らないし…。
あれ? なんでだ…?
告白されてたけど否定したってのはよくよく話の話題に出ていた。
とゆうか自ら話題を出す話なのだろうか?
まぁビッチか処女かって話だろう…どっちでもいいけどな。
俺はまた机に座り、ノートにペンを走らせた
描き上がったのが茉莉の照れ姿っと言う話である、俺はノートを閉じた。
「黒歴史書がまた作った、何時になったら異世界転生の転生の仕方書けるんだ…」
本題は、イラストでは無い…字であるのに、尊い系、癒し系のイラストばかりで、そもそも小説が書けない俺は…絵がない小説のイラストに向いているかもしれない。
「腹減ったな…」
腹の虫は正直過ぎて泣けた、部屋から出て1階へと向かうと…茉莉は台所の目の前にあるダイニングのソファーに座りテレビを見ていた。
時間的に何やってるっけ?
時刻的には、夜中に近い二十三時四十分。
ふと頭に過ぎるのは、深夜アニメ。
茉莉もまた、アニメが好きで興味があるとその本を買い占めてしまうほど。
つーか、セーラ服でソファーに寝そべるなよ、スカートの角度次第で見えるんだけど。
「あ」
「ん?」
「…スカートの中、覗かないでよ」
「はいはい」
俺は冷蔵庫から、夜食を取りだした…が、いや…これ食べ物…なのか…?
皿の上に盛られてるのは、謎の物に謎の液体がかけられた…オムライスになる物。
「……」
これを食べるのか…? 食べ物…なのか…?
あ、食べ物…いや、違うこれ!!
俺の体全面的に拒絶してる!!
「始まった…今日こそラインハルト様を崇める」
「……」
「早く食べてよ、私まだなんだから」
「は?」
「今忙しいから異論は後で」
今期のアニメ「ラインハルト戦記」
中世ファンタジーで、奴隷の子を救って行く感じ
で、最大の敵は奴隷帝国の太ったおっさん。
肝心なのは、ラインハルトの素性、女の子なんだけど武器持つと男になるって言うTSもあって魅力があって女子の間では話題。
今やってんのがそれなんだろうけど…これどうやって食べろと…。
ま、まぁ…食べないと…。
俺はスプーンにすくいひと口食べた。
うぐっ!? な、何だこの刺激的な味と、ほのかな甘さ、噛めば噛むほど溢れ出す…苦さ!?
あ、やばやば舌が痺れてくる…なんだこれ!!?
あれ…なんか見える…ぞ?
これは俺の過去…てか人生経路じゃん。
あ、走馬灯だこれ…死んでしまう、意識レベルやべぇぞこれ…
「はっ!!?」
一瞬だけ意識が飛んでいた様だ、何とか我に返ることが出来たが…椅子に座ってどれくらい経つかは分からないが何故か危ないと冷や汗をかいていた。
気がついて間も無く茉莉が台所にくる、どうやらアニメが終わったらしい。
三十分間意識が遠のいでいたと言うのに、遅れながら頭に刻んだ。
「……食べたのそれ?」
「うん」
「ど、どうだった…?」
「こ、個性的な味だった…」
「じゃ、私も食べ―――」
「まてまて!!」
「なによ?」
「た、食べたらやべぇから! なっ? 頼むから食わないで!!」
「えー…勿体ないじゃん。 なに? 食い意地はってんの?」
「いやそうゆう話じゃなくてな…見ろよこのよく分からないものと挟まったオムライス。 可哀想だと思わないか?」
「要するにまずいんだね?」
「う、うぐっ…走馬灯見えるぐらいだぞ…」
「なるほど、ならそれひと口…」
「いやいやダメダメ! あげないから!」
「ケチ!食わせろ―――!!」
茉莉は俺の右腕をがぶがぶ噛み付いてきた。
ぎゃぁぁぁぁぁ!!っと叫びながらも、家にある食べ物を探したが…。
「カップラーメン1個」
「カップラーメン1個」
「「なんでだぁぁぁぁぁ!!?」」
非常食と書かれたリュックに、カップラーメン1個だけしか無かった、おかしいぞ? 誰が食べたんだっと思えた。
保管されていたのは物置、ここを管理するのは母か父である。
つまり、犯人は…両親だが、今はそれどころじゃない…空腹ハラスメント発生事態だ。
「カップラーメン1個に、私と兄で2個は最低でも必要…」
「だけど、ここは譲りたくない。そうであろう妹よ」
「うん、死守しなければ死活問題レベル!」
俺と茉莉の目線は交差して、バチバチと閃光を放つ。
そう、譲れない戦いである。
先手、茉莉から手を伸ばす、俺は触れる直前でカップラーメンを弾いた。
テーブルを転がるカップラーメンを追う俺、伸ばした手は届きそうだが、茉莉の軟体の足で蹴飛ばされた。
「くっ!」
「私が貰うのが定めよ」
「譲らねぇよ茉莉」
テーブルからリングアウトしたカップラーメンは、ダイニングのカーテンへと一直線。
俺と茉莉は、走り互いの進行を妨害する。
カップラーメンは、カーテンに受け止められ、速度低下し、回転しながら静かに落ちようとする。
まだ諦めてない俺は、茉莉の脇腹をこちょこちょする。
「ちょ、ちょっと!!? 何セクハラするのよ!」
「カップラーメンを渡さないためだ」
「い、今わかん…アハハハ!!」
「よし今だ」
「まだよ!」
「な、なにっ!? 俺の足をつかむとは!!」
「こちょこちょと」
「お前もかよ!? ふははは!!」
「今!!」
少しばかり悔しかったが、今回は茉莉に譲ろう思った…茉莉はカップラーメンをキャッチした。
だが、動きが止まっている。
「茉莉…?」
「…カップラーメンの中身がない」
「どゆこと?」
「これ軽いよ? しかもさ…蓋空いてる」
「え? 」
「ほら」
『カップラーメンは美味しくいただきました。父より』っと蓋裏に書かれていた。
つまり、これは無駄な争いをしたわけである。
しかも、空のカップラーメンを元の位置に戻すとは、愚の骨頂であった。
「「……」」
俺と茉莉は無言で立ち上がりふらつきながらこう言った。
「許せん…父を許しちゃいけない」
「そうだぜブラザー、いや、妹よその意見激しく同意」
「…カップラーメンの仇を」
「取りに行く!!」
その日、父の悲鳴は…夜の街並みに馳せたと言う
プチ解説
割り込みで、主人公の日常部分を描きました。
二話目からは動き出す感じですのでよろしくお願いたします。
さて、カップラーメンやら謎のオムライスとか様々ですが、日常ってあまり書いたことがないので、こういったほっこりを足してみました。
作者よりお知らせです
スローライフなシーンはありますが異世界ファンタジーが強めですのでそれを把握してお読みになってください。
あと下の方にある☆の評価ポチくれると励みになり、モチベに繋がるのでよろしくお願いいたします