1章
復帰します。
朝日が昇り、窓から光が差す。
光は初めは朧げであったがやがて強くなり、暗い部屋の中全体を照らす。
朝はまだ寒く、布団にしっかりとくるまっており、静寂に包まれている。
部屋の中で本を読めるくらいの明るさになった時、「ジリリリリ」と目覚ましが鳴り出した。
しばらくすると、布団の中から手が伸び、目覚ましの後ろのスイッチを切る。そうすると部屋はまた静寂に包まれる。
しかし、静寂はすぐ破られた。布団はもそもそと動き、中から出てきた青年は布団をどかし、一つ大きなあくびをした。
部屋はすでに明るく、下からはテレビの音が聞こえる。青年は体起こし、伸びをして布団から出た。
彼の名前は 井澤 琢磨。ぱっと見外見は良い方なのだが、髪はボサボサの普通の高校一年生の男子で、昨日に入学式があり、高校生活が始まっていた。ちなみに、今日ははじめての授業がある日だ。
琢磨は階段を降り、洗面所で顔を洗い、ご飯を作っている母親におはようの挨拶をし、テレビの前のソファに座り、スマホを見る。
スマホのアプリの通知をいくつか確認しながらテレビを見る。テレビは淡々と昨日の事件やニュースを話しており、この時間帯は面白いことは特にやってない。
慣れた手つきで、SNSを確認し、ソシャゲーのログインボーナスを受け取る。
スマホをいじっていると、ご飯ができたというのでスマホをズボンのポケットにしまい、食卓に向かう。朝は親がご飯派で、ご飯に味噌汁と卵焼きで、朝はほとんどこのメニューだ。
ご飯を食べ終わると、自室に戻り着替える。琢磨の通っている学校は制服での登校が校則で決まっており、黒のズボンに、学ランを着て、紺色のバックを持って、登校する。
制服に着替え、背表紙がカラフルな本棚から持っていく本を選び、数冊紺色のバックに入れる。
階段を降り、食卓に置かれているお弁当と水筒をバックに入れ、玄関に向かう。
玄関は、特に変わった様子はなく、昨日の夜に父親が革靴でも磨いていたのか、革靴磨きの匂いが充満しており、朝だと言うのに、空気は重く玄関の窓は北側にあるためか玄関は暗い。
学校用の靴に、靴べらに入れて、サッサっと靴を履き、朝の家事が終わってゆったりとテレビを見ているであろう母親に、声をかけ、玄関のドアを開け歩き出した。
学校に向かう通学路は、いたって普通で、太陽はまさに登っている最中で、右側から住宅の隙間を縫って少しでも照りつけようとしてくる。
小さな川を渡り、大きめの道路を渡り、通勤中のサラリーマンの人混みを渡り、同じ学生服を着た学生集団のを渡り、学校に着く。
校門をくぐり、階段を降り、下駄箱で上履きに履き替える。
校舎はすでに動き始めており、学校の喧騒は独特で、不思議だ。静かなようで、よく聴くとしゃべり声や、足音などが反響し、独特の学校らしさがある。
長めの階段を登り終えると、学年が同じなので顔見知りが多くなる。
特に、何事もなく教室に着き殆どがガラスでできた、教室のドアを開け、教室に琢磨は入っていった。
次からは普通になります。