クラス分け
0章3節
高校の下駄箱は、学年毎に、左から順番に高一から順番に並んでおり、一番右には教員用兼お客様用の下駄箱で、常に綺麗にされている。別に生徒用が、特別汚いと言うわけではなく、生徒の下駄箱は運動部の靴などについたグラウンドの砂で汚れるので、生徒たちが掃除をするのだが、普段は砂のせいで綺麗では無い、だが今日に限っては、そうではない。今日は始業式なので、部活もなく卒業式の前に綺麗にしていたのを部活棟から見た事なので知っている。
その下駄箱に貼ってあるクラス分け、下駄箱番号を見に琢磨たちは、玄関まで来たのだが…
「おいおい、すごいひとだかりだな」
「まあ、みんな確認しなきゃいけないからね」
隣にいる竜弥が眉を寄せ、流星はめんどくさそうに肯定した。それに続いて同調する。
「そうだよね」
下駄箱周りには10〜20人くらいの人が下駄箱に貼ってある表を確認していた。その人だかりを見て、琢磨がボソっと文句を漏らした。
「自分の番号見るのにそんなにじかんかかるもんか?」
そう、クラス確認をするためにわざわざ列を作るわけではなく、右や左から回り込んで見ようとしてるのである。そして見てる時間が、長い。
自分の名前を探すのに一分もあれば十分だと思うのだが…
それに、回り込んで見ている人たちがいるせいで、見終わった人が外になかなか、はけていかない。
「まあ、自分だけの番号確認するだけじゃないからね、きっと」
「そうだよねぇ……やっぱり気になるのか?」
流星と思わせぶりに顔を合わせ
「ああ、気になるだろう?」
「そうだな、あれだよな?」
「そうあれだよ」
「ああ……あれか」
意思疎通できている。さすが流星、中学の時、伊達に三連続同じクラスになっただけのことはある。そして、息を合わせて言う…
「友達のクラス」「流星が告白して振られたt…いってぇ!」
「それ以上はグーで記憶を飛ばすぞ」
高速のはたきが一瞬で琢磨が言い終わる前に琢磨の頭を叩いた。流星にとって昔の出来事の中でも特段に弱点だったようで流星がツッコミ七割、怒り三割ですぐに叩いてきた。流星が気になるといえばそのことだと思ったのだが違ったようだ。
「違うの…?あー、はいはいわかってますよ。言わない言わない、言いませんから」
「同じことを二回以上言うと急激に信用できなくなるってしってるか?」
「なん…だと …」
「ネタで返しとけばなんとかなると思ってないか?」
「ああ思っている!」
「いやそんな顔されてもな…まあいいや、って聞いてるか?」
軽いキメ顔をして流星に軽く苦笑いされた。
ふむ、無事流星の逆鱗に触れて逃げる?(なだめる?)ことに成功したようだな。次はネタとアニメの話題を織り交ぜていけばあと二回くらいはちょっかい出せそうだな…
「ああ聞いてる聞いてる」
「やっぱり聞いてなさそうだし…で、まだ人が多くて見えずらいわけだがどうする?」
「あ、そういえばクラス表まだ見てなかったな」
すっかり流星に対してどうボケを返そうか悩んでて忘れていた。新学期からこんなことを言い合ってて大丈夫かって?まあ確か去年もこんな感じだったような気がするしなんとかなる。なるさ。
そんな朝からどうでもいいことを考えていると、流星が何かに気がついたように聞いてきた。
「ん…ところで、竜弥はどこにいった?」
「そういえば…ってもうクラス表見てるじゃん!」
竜弥を探して周りを見渡すと、すでに竜弥はクラス表を頑張れば見える位置くらい前に並んでいた。気がつかない間にコツコツと、長い列に並んでいたようだ。
「流星もいくぞ!」
「うぉ!竜弥に頼めば…わかったよ!いくから!」
なんか反論してたみたいだったが、琢磨にバックを引っ張られ、無理やりに連れて行った。
なんとかしてクラス表を確認して、靴を履き替えて、混み合う下駄箱を抜けると、竜弥と流星に合流できた。
「お前何組だった?」
流星が自分のクラスを聞いてきた。竜弥も聞きたいみたいな顔をしていた。怪しい。階段を降りている時はあれだけ興味がないって言っていたのに興味を示しているだと…怪しいと思いなが返事をした 。
「二組だったけど…おまえらは?」
「「四組」」
「なに!お前らが一緒になっていたか…まあ流星とはそろそろ違うクラスになってもおかしくないと思っていたが、竜弥と同じか」
「今年もよろしくな!」
「ああ、よろしく!」
「く、なんだか俺だけ仲間外れにされた感が半端無い…」
竜弥と、流星は握手をしてニコニコしながらこっちを見てくる。
実は竜弥は、楽しみにしていたのでは…と疑ってしまうな。
クラス替えは学年約200人を5クラスにランダムに分けられるらしい。らしいと言うのは、生徒の誰かが広めたようで先生達は、秘密と言っているので怪しいのだが、自分達が確かめる気はないし特に文句はない。
仲間外れになったのはそういうことなのだが、こればかりは運命次第みたいなものなので、仕方ない。
そんなことを考えながらながら階段を着々と上がっていく。そこで何気なく流星たちに聞いてみた。
「ところで、担任とかってどうだった?」
「担任って確か去年と同じ五人で、先生たちもランダムでクラスが変わるんじゃなかった?」
「確かそんな感じで決まるって、聞いたことあるな」
「で、決め方は、わかったからお前らの担任は誰になったんだ?」
「えっと、 俺たちは田中先生じゃなかったっけ?」
「そうそう去年数学教わった先生だな、あの先生変なことしない限り怒らないかいいよな」
「へー、田中先生か確かに怒ったとこ見たことないかもな」
「で、琢磨の担任はどうだったんだ?」
「確か今年からの日本史の先生じゃなかった?」
「そうだよ、声が大きくて授業中寝たくてもねれない先生って聞いたよ。去年竜弥の担任だよな?」
琢磨は、 流星が答えたことに補足を加えつつ竜弥にどんな先生か質問した。
「そうそう、その先生であってるよ、少し声落としても聞こえるんだけどね」
竜弥は苦笑いしながら答えてくれた。
今年の担任の先生の話を聞きながら話ていると、四階に着いた。
学校は、一階は、職員室や面談室、校長室などがあり、教室はない。二階は、高校三年生の教室と、体育館に行くための渡り廊下がある。三階は高校二年生の教室と部活棟兼実習棟につながる渡り廊下がある。そして、ここ四階には一年生の教室がある中学棟も四階が中一だったため懐かしい気分になる。
「じゃあまた後で、俺だけ二組だから…」
「またあとで遊びに行くかもしれないからよろしく」
「2組で頑張れよ」
少し寂しそうにした琢磨に二人は軽く、励ましてくれた。まあ流星はよく知った中なので少しそっけなかったが、それはそれで信用のようなものだと思う。
竜弥と流星と別れ、琢磨は教室の扉を開ける…