第47話 カラーリングも天使(挿絵)
よろしくお願いいたします。
※この話には挿絵が入っておりますので見たくない方はご注意ください。
「うぅ…。びしょ濡れだよぉ…」
「うわぁ、これは酷いな…」
イルカショーの最後を飾るお礼とやらにやられた俺と斉藤さんは二人揃って見事に濡れ鼠となってしまった。
さすがに降りかかってくる水から斉藤さんを守る事は出来なかった。
パンツまでは濡れ無かったのは幸いだが。
周りでは前まで詰めていた子供達が楽しそうな声を上げていた。
あの様子では自ら水を浴びに行ったのだろう。
たいへん元気なこった。
よくよく考えるとショーの直前の注意事項なんかのアナウンスで恐らくこの事も伝えられていたのかもしれない。
だから前の方が空いていた訳だ。
考えれば分かったかもなぁ。
斉藤さんとのデートに浮かれて、そこまで頭が回らなかった。
手とか繋いでへらへらしてましたわ。
反省。
「……えへへ、びっくりしちゃったね」
「ああ、そうだね…………うぉっ!?」
「?」
斉藤さんの方へ振り向くとそこには、なんとも扇情的な光景が広がっていた。
斉藤さんは俺の変な反応に首を傾げている。
白のワンピースは水を被った事で肌に張り付き、その肌色が透けて見えている。
そんな姿でワンピースの裾を手で絞っていた。
その仕草や濡れたブロンドが頬に張り付き妙にエロい。
それだけだったらまだ辛うじて問題なかった。
問題は、肌が透けると言うことは肌の上に身に付けているものも透ける訳で。
つまり、ワンピースの下に控えていらっしゃる下着様にお目見えするのです。
ブラのレースやフリルまで見えてしまい、非常に目のやり場に困る光景だった。
しかし……うぅむ、白か。
そう言えば、初めて斉藤さんと言葉を交わした時、通学路で転けて見えてしまった時だが、あの時も白だったなぁ。
白がお好きなんだろうか。
清楚な感じが非常にマッチしてて実に素晴らしい。
カラーリングも実に天使である。
俺の中で天使水準が更に上昇してしまった。
おっと、あまりに魅惑的な光景に余計な事を考えてしまったぞ。
ともかく隠さないと。
周りの男どもに、天使のあられもない姿を見せるわけにはいかない!
「ち、ちょっと待って」
俺は手早く羽織っていたシャツを脱ぐとおもいっきり絞った。
そして目線を逸らしながら斉藤さんの肩から掛ける。
「さ、斉藤さん、これ掛けて!」
「ふぇ?」
「それも濡れてるけど我慢してね」
「え? 沢良木君どうしたの、これ?」
突然肩に掛けられたシャツに不思議そうな顔をする斉藤さん。
「そ、それは、ほら……」
「?」
い、言えない!
ブラが透けてるよなんて!
それにそんな綺麗な目で俺を見つめないで!!
いたたまれない!
本当に申し訳ありません!
汚らわしい目で天使を見てしまいました!
じっくり見てしまいました!
だけど、俺だって男の子だものっ。
尚も視線を逸らし続ける俺に斉藤さんも何か気付いたのか視線を自身へと徐々落としていく。
「……っ!?!?!?」
なんとも声にならない悲鳴のような息を呑む様子が隣から伝わって来た。
今は恐らく、真っ赤な顔して両手で身体を抱き締めて蹲っているだろう。
「……ぅぅ。……見た?」
「だ、大丈夫だよ」
すいません、がっつり拝見させて頂きました。
脳内フォトアルバムに永久保存されました。
水濡れ衣の天使めっちゃエロカワイイ。
エロい目で斉藤さんを見てしまう自分を殴りたい。
でも可愛い。
「こ、答えになって無いよぉ……」
恨めしそうな声が俺の背に浴びせられたが、無言でいる事しか出来なかった。
「すいませーん! 大丈夫でした?」
そう言ってタオルを渡してくれたのは係員らしき女性。
お礼を言って俺達はタオルを受け取った。
意外にサービス良いな。
早速体を拭かして頂こう。
「いやぁ、注意事項をちゃんと聞いてなかったので不意打ち食らってしまいました」
「あ、すいません、事前アナウンス忘れてたんですよ実は。あはは」
おいてめえ。
あははじゃねえぞ。
前言撤回だこの野郎。
「ま、まあ。この天気なのですぐに乾くので大丈夫ですよ」
「ほんとに申し訳ありませんでした! あ、使い終わったタオルは係りに渡してもらえれば良いんで。それでは!」
そう言うと係りのお姉さんは他の客にタオルを渡しに駆けていった。
「災難だったね」
「ぅぅ……見られた」
「あ、あはは……」
タオルで身体を拭くも、未だ立ち直れていない斉藤さんであった。
身体を一通り拭き終えると夏の強烈な日差しもあって俺達の服は既に乾き始めていた。
斉藤さんも幾分か気持ちが回復したのか顔を赤くしながらもこちらを向いてくれている。
タオルを係りに渡しながら俺達は会場を後にした。
会場は見学順路の最終部に位置する場所なのでそのまま進むと水族館入り口の大きな広場に出る。
時間を確認すると11時過ぎで昼には少しだけ早い時間。
気まずさから俺達は会場を出てから一度も会話らしい会話をしていなかった。
俺は斉藤さんの様子を伺うために彼女を見た。
が、ついっと視線を逸らされてしまう。
そっぽ向くその横顔は未だ赤いが、怒っているようではなかった。
怒っていないことには一安心だが、このままでは会話もままならない。
俺は空気をリセットするつもりで飲み物でも買おうと考えた。
広場中央の休憩スペースまで行くと斉藤さんを席に促した。
椅子を引き誘導する。
「ちょっと休憩しようか! ほら、斉藤さんは座って待っててね!」
「え、あ、うん」
席に着き、俺の勢いに押されながら頷く斉藤さん。
「ちょっと買ってくるよ」
斉藤さんの返事を聞くのもそこそこに俺は目についたひとつの売店に足を向けるのだった。
これを別名、逃げたとも言う。
お読みいただきありがとうございました。
この話は後程挿し絵を入れるかもしれません。
2/12挿絵追加しました。




