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第25話 俺にとっては凶事だ

日中に投稿出来ず申し訳ありません。

よろしくお願いいたします。

停電の夜から一夜明けた。

今日は月曜日。

学校が再び始まる。


昨日の停電は今朝のニュースで大々的に報道されていた。


なんでも特別高圧の配電線にトラブルがあり、変電所単位での停電が起こったようだ。

電力会社も早急に記者会見を行ったみたい。


俺は、ぼーっとする頭でテレビを見ながら食パンにかじりつく。

頭にはまだ寝癖がついている感触。

凄い寝癖って、ついていると頭に違和感覚えるよね。

うわー、寝癖ついてるわーって感じない?

あ、無い、そうですか。


朝は昔から強くない。

起きられない、と言う訳じゃなく、起動に時間がかかるタイプ。

最低1時間は欲しいね。


テレビのニュースを流し見て、惰性で朝食を摂る。

10年は続く週間だ。

見てる朝のニュース番組も子供の頃からずっと一緒。

これもひとつのルーティンワークだなぁ。


ぐだぐたし続け、段々と頭が覚醒してくる。

ここまで来れば早い。


顔を洗い、寝癖を直す。

寝癖は濡らすだけでは直らなかったので、結局頭を洗った。


制服に袖を通し、身だしなみを整える。


最後に財布とカバンを持ち、準備完了。


……っと、忘れちゃいけない。


「いってきます」


仏壇に手を合わせると、俺はアパートを出た。



ニュースで見たが今日は気温が高いらしい。

外に出ると少し湿り気を帯びた暖かい空気が体を包んだ。

夏が近いね。


さて、今日も頑張りますか。

まずは天使の笑顔見て充電だ。





教室に着くと、視線がひとつの席へ向かう。

まだ来て無いか。


俺は自分の席へ腰を降ろし手慰みに今日授業のある教科の予習を始めた。


大体の予習が終わった頃に斉藤さんはやって来た。

時間を見ると間も無くホームルームの始まろうかという時間だった。

寝坊でもしたのだろうか?


席に着く斉藤さんに挨拶をする。


「斉藤さんおはよう」


「お、おはよう……」


「今日は遅かったね?」


「……うん」


それだけ言うと、カバンの中身を整理して前を向いてしまった。


あれ?

なんかそっけない?


昨日の夜はそんな感じでは……。

俺は考えるも理由が思い付かず、首を傾げるばかりだった。



1時限目が終了し休み時間。


「あ、斉藤さん」


「ご、ごめん、ちょっと急いでるから」


「あ、ああ……」


言うが早いか教室を出てしまう。

トイレか?


結局戻って来たのは2時限目が始まる間近であった。




「斉藤さん」


「ごめんなさいっ」



「斉藤さん」


「ち、ちょっと……」



「……斉藤さん」


「あ、後で」



「……」


流石の俺も気が付いたね。

ええ。

それはもうはっきりと。

わかりましたとも。



避けられてるってヤツをさ……。



天使に嫌われたら生きていけない。

どうしよう。

どうしましょう。

どつしたらいいでしょう。


死にたい。




しかし、悩み続けても意味が無い。

もっと建設的に考えてみようぜ、ホモサピエンスな俺よ。人間は考える生き物なのだ。

ここはポジティブに行くぜ。


ふむ。

考えられる原因と言えば?



あー。

うん。

ひとつしか無いです。


昨日の夜やん。

その前まで普通だったもん。


そっかー。

そうだったのかー。

手繋いだり嫌だったら行ってくれたら良かったのに。

少し舞い上がっていた自分が恥ずかしいよ。


あ、いや、責任をな擦り付けたらだめだな。

きっと彼女なりに俺を傷つけないように考えてくれたのかもしれない。


はあ……。



気が付くと、時は放課後。

斉藤さんは既に帰っていた。


はあ……。

バイトいこ。


カバンを手に持つと、学校を後にした。




大友万屋。


「ねえ、あれどうしたのー?」


「いや、わからん。俺が見たときにはああなってた」


「来たときからあんな感じだったわよ?」


雑居ビルの一室にて、大人三人が顔を合わせて声を潜めながらある人物を見ていた。


「……」


書類を整理する、いや、整理と言って良いのかわからない行動をしている男が一人。


纏めた書類の束を机に当て整える。

その書類を左に並べたと思えばそれを再び手に取り右に移す。

書類へ視線を落とすと動かなくなる。

動いているかと思えば、急に止まる。


「……はぁ」


そして溜め息を吐くのだ。


「なんかめっちゃ悩んでるっぽい?」


「宗がか? 珍しいな」


「宗が悩むなんて面白いからそのままでも良いんだけど、仕事に支障が出ては厄介ね」


ひでぇ、と杏理と大次郎が理沙の物言いに苦笑いした。


「ここは一つお姉ちゃんがお悩み相談所を開設しようじゃないの!」


「あ、そう言って宗君にべたべたしたいんでしょ、理沙ちゃん」


「だって、宗あんまり構ってくれないんだもん!」


正直に白状する理沙。

溺愛する弟が構ってくれない事を寂しがる理沙に二人は再び苦笑いした。





「はぁ……」


何度目か分からない溜め息を無意識に漏らす。

仕事に集中しなくては、と気合いを入れるも、無意識に出る溜め息と一緒に気合いも漏れてしまう。


「しゅーう!」


と、俺を呼ぶ声と共に肩から背中にかけて、柔らかい感触に包まれた。

ふわりと嗅ぎなれた香りが鼻をくすぐる。


「理沙? どうかした?」


覆い被さった理沙に問いかける。


「り、理沙さんの包容を受けて微動だにしないだと?あの感触を受けて平気なのか?」


「何見てんのよっ!」


後ろでは仲の良いカップルが乳繰りあっていた。

杏理のボディブローが大次郎の鳩尾に突き刺さる。

身長差が良い感じに作用しているみたい。


「何か悩みあんの?」


「なんで?」


「なんで、って気付かない方がおかしいわよ。これ見なさい」


理沙は俺に覆い被さったまま、俺が整理していた書類を指差す。


……おおう。


確かにこれはヤバい。

書類がカオスな事になっていらっしゃる。

経理物、報告物、庶務物、雑事、めちゃくちゃだ。


整理と言う名の場荒らしをしてしまったようだ。


反省。


「あー、申し訳ない。すぐにやり直すわ」


「ストップ。どうせまたこの状況になるわよ」


と言ってもな。

どうしたら良いのか。


「それで、最初の質問。何か悩みあんの?」


「悩みって言うか、何て言うか」


わかりきっているが、斉藤さんの件だ。

癒しの天使に無視されると言う、凶事。

もうね、災害レベルよ、俺的に。


「ほら、聞いてあげるから、お姉ちゃんに相談してみなさい?」


わくわくした様子を隠しきれていない理沙の様子に少しげんなりした。

絶対楽しんでるじゃん。


「なんでそんなに楽しそうなんだよ」


「だってだってー、宗が悩み事なんて珍しいし! それに可愛い弟の人生相談所とかなんか良いじゃない?」


うへぇ、なんかテンション高いわ。

俺は今朝から天使の笑顔の補充出来てないんだぞ?

無理だ。

ついていけない。


もう心のポイントはゼロよ。


「そんな人のこと面白可笑しく茶化すヤツに人生相談なんか出来るかい」


「えー、良いじゃない」


尚も言い募る理沙を振りほどく。


「ああんっ、宗乱暴!」


「何?あの包容をーぐぼぅぁっ……」


後ろでは仲の良いカップルが、以下略。


「申し訳ない。ちゃんと仕事するから。心配かけてごめん」


理沙に向けて頭を下げる。


「ぶぅ……言いたくなったら言ってね?」


「ああ、ありがとう」


俺の頑な様子に折れたのか、理沙は引き下がった。

心配してくれるのは有難いけど、恥ずかしくて相談出来ないな。


今までのミスを取り戻すべく、俺は気を引き締めて、仕事に取りかかった。

いつも通りとはいかないものの。

それなりのペースで仕事をこなすことが出来た。


たまに感じる視線に申し訳ない気持ちになった。






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