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第18話 初めて?の訪問

少し短いですが、よろしくお願いします。

所は変わらず商店街。

斉藤さんに連れられ、斉藤さんの家に向かっていた。

二人で並んで歩く。


何故にこんな展開に?


ーーお礼したいから、ね?ーー


あんなお願いされたら断れないだろ。

もうね、疲れなんて忘れましたね。

お兄さん何でも聞いちゃうよ。



しかし、お礼ってなんだろうか。

この子の事だ、卑猥な想像なんてするだけ失礼だろう。

いや、こんな事を考えている時点で俺がダメだろう。

自分を殴りたい。


「さ、沢良木君、バイトはこの近くなの?」


会話が無くなっていた為か斉藤さんが話を振ってくれた。

俺もその流れに乗せて頂く。


「今日の現場はね。バイトの事務所自体は二駅隣だな」


「あ、そうだったんだね。ここで会ったから、てっきりこの近所なのかなーって」


残念、と言いながらはにかむ。


ぐぁ。

ホント可愛い。

惚れちまうわー。


……はぁ。


「現場はあちこちだからね。こっち来ることも結構あるよ」


「そっかー」


「家がこの近くって言ってたけど、裏の住宅街?」


「う、ううん。この商店街……」


ん?

なんか急に歯切れ悪くなったな。

商店街ってことは店でもやってるのか。


「へぇ、それじゃなにか商売を?」


「そ、そうだよ」


なんだ?

これは一体どういう事だ?


俺が斉藤さんに家に誘われた。

そして家に向かう途中。

以上だ。


なるほどわからん。


もしや、家へのお誘いは社交辞令だったとか?

え、社交辞令で誘ったのに何本気にしてんの?

は?マジ着いてくるつもり!?

みたいな……。


……死のう。

天使にそんなこと言われたら生き恥晒すより、誇り高き死を選ぶね。

うん。


内心斉藤さんへ別れを告げるか迷っていると、当人からお声を頂いた。


「あ、あの、ウチあんまりキレイじゃないからさ。その……笑わないでね?」


なんて事だ。


俺がバカだった。

少しでも天使を疑うなんて。

今すぐ土下座して謝りたい。

そして穴に入って俗世をシャットダウンしたい。


ふう。

冗談はこれくらいにしておこうか。

というか、社交辞令で家に誘うってのもおかしな話だわな。


「そんな失礼なことするわけないだろ?」


「うん、でも恥ずかしくてね……」


そんな言い方されると気になる。

この商店街でこの方向。

この商店街では古い店が立ち並ぶ区画だろう。

バイトで何度かお世話になったことがある。

そうなると、斉藤さん家は老舗の何かしらということだろうか。

何の店があっただろうか、と考えを巡らせながら問いかけた。


「こっちの方と言うことは結構古くからやってる店だよな」


「うん、よく分かったね?」


「古い店が多い区画だからね。それにバイトでも何度かこっちの方来たことあるんだよ」


「へえ、そうなんだ! それならウチも見たことあるかもね」


えへへ、と少し恥ずかしそうに笑う。


「そうだね。それで、斉藤さん家は何屋なの?」


「それは……、ほら、着いたよ!」


「え?」


斉藤さんがくるりと振り返り、その店を背にした。

手を広げ、教えてくれた。


「ここが、ウチのお店、斉恵亭です」


ね、古いでしょ?と困った顔で笑った。

しかし俺はそんな斉藤さんに返事を返すことが出来なかった。

斉藤さんの背後にある店を呆然と見ていた。


「沢良木君?」


「あ、ああ」


確かに古い佇まいだろう。


見た目は昨今騒がれているイン○タ生映えとかなんとかなんか局地にあるような物だ。

若者は寄り付かないかもしれない。


だけどそれは、視野の狭い穿った見方だ。


この佇まいは長年地元の人々に愛され続け、醸成されたものなのだ。

その重みと深みがこの店にはある。

一朝一夕では到底成し得ない、そんな歴史の素晴らしさがあるのだ。


俺はそんな店が意外と好きだ。

いやむしろそんな店こそ入ってみたい。そう思うね。


















俺、ここ来たことあるわ。







次話は明日になります。

よろしくお願いします。

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