その他大勢のひとり(6)
活動はいつも一定なルーティンワーク。
ひたすらに洞窟内を掘削していく。奥に奥にとひたすらに。これには特に指示はない。
夜の間に堀った瓦礫を近くの崖下にトロッコで押して持って行き、捨てる。
朝日がのぼり日が差し込む頃から夕暮れまでは洞窟内に積み上げておき、トロッコ班も掘削していく。
掘削と思っているが、実際のところ目的は不明である。
発掘かもしれないし、採掘かもしれない。
またはすべてを兼ね備えているのかもしれない。
ここには上司、先輩、同僚、そして自分自身も言葉を発せられない、もしくは考えすら持たないかもしれない集団であるわけで、誰にも確認を取れないからである。
ひたすらなルーティンワークはどうやらさほど嫌いではないようで、今のところ苦にはならず、体も疲れを知らないので指令を与えられたままにこなすのには何の問題も無い。
今のところ大きなトラブルも・・・
すぐ横で大きな岩が降ってきてお隣の同僚が下敷きになってバラバラに砕け散る。
生身の人間だと大変ご覧に入れられないような絵図になるわけだがなにぶん我々は骨であるからそのへんは非常に心に優しいかもしれない。
っと冗談を言っている場合ではなく、明日は我が身である。
すでに死んでいる私ではあるが、せっかく蘇ったのであればもう少しは生き延びたいものである。
死んでいて骨であるのに生き延びたいというのには未だに非常に違和感があるが、ここは私の心に免じてご了承いただきたい。
誰に許可を得ているのかは謎であるが。




