その他大勢のひとり(4)
ちょうど同期の仲間たちの観察にもネタが尽きて、無意味に時間が過ぎていきそうな状態だったので、変化はうれしい。
どこに連れて行かれるかわからないが、死んだこの体は動きこそ機敏さはないが、疲れを知らない。
ただ、墓石に衝突した程度で砕け散るもろさというのが最大のデメリットか。
化け物として蘇ったのだから、もうすこしは夢のある強さであってほしかったが、現実は甘くないようだ。
ふと茶色いフードの骸骨をみる。
彼はきっと私にとっては上司になるんだろうな。
何者で、どこに連れて行く気なんだろうか?
下半身は何時失われて、どうしてあのような青い炎に置き換わったのだろうか?
自分や同期には出せない音のようなものをどうやってだしたのだろうか?
疑問と好奇心は尽きない。
思考をめぐらせているうちに目的地に到着したようで、歩みが止まる。
歩行の命令が一旦解除されたようで、そのすきにあたりを見渡した。
我々同様のスケルトンたちの姿があちらこちらに見える。
しかし、目覚めたときのような自由気ままな動きをしているものはなく、我々同様機敏さはないものの、なにやら命令に沿って一定の動きをしていた。
どうやら、ここは何かの発掘場であるようだ。
ツルハシをもって洞窟に入っていくもの、トロッコをおして余分な石を除去するものなど、命令にしたがって勤勉に働いているようだ。
それはそうか、どうにも同期を見る限り、知能や理性などはなさそうで、命令には従順なようである様子であるわけで。
というと・・・自分はきっとイレギュラーな存在なのだろう。




