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いつか貴方に花束を  作者: レフ・エルザ
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その他大勢のひとり(3)

何の目的で、このような形で蘇ったかわからないので、ひたすらにぼんやりと同期たちを観察して時間だけが過ぎてゆく。月の動きで時間の経過がわかるので、今のところきちんと時間だけは過ぎているのがわかる。

正直、退屈である。

めぼしい出来事と言えば、同期の一人がようやくカラスを一匹仕留めて、只今お食事中と言うところだろうか。正直あまり気持ちのいい光景ではないが、これも情報の一環として視ている。

食事のようにみえるものの、実際にはどうにも摂取できている様子はない。

ただ無駄に血肉をまき散らし、口元手元を真っ赤に汚しているだけである。

それはそうか、あわよく体内にはいったとしても受け取る消化器官は残念ながら無いのだ。

ふとどうでもいいことだが、味だのはきっとわからないのだろうなぁと、ずいぶんと余裕のある思考がよぎった。


「ーーーーーーーーーーーーーっ!!」

声とも鳴き声ともいえない、地響きのような低く耳障りな音が聞こえた。

同期たちが一斉に音の方向を見る。カラスをむさぼっていた彼すらもその音に反応した。

音の先には、茶色いフード付きの薄汚れた骸骨が宙に浮いていた。

その現れた骸骨は一見スケルトンのようだが、下半身がなく、かわりにほの暗い青い炎が燃えていて、手には同じく青い炎が宿ったランタンをぶら下げるように持っていた。

傍らには毛足の長い真っ黒い犬が従うように寄り添っていた。

不思議と同期のものたちは犬には襲いかからず、むしろその犬に従って整列を始めた。

私もその犬にうなり声を上げられてやもなく整列した。

先ほどまで無秩序に動き回るだけだった同期がまるで軍隊のように列を整えられて、茶色いフードの骸骨を見上げる。

茶色いフードの骸骨はどうやら格上のアンデットのようだ。

青い炎のランタンを振るうと、同期たちは一斉に歯を鳴らして歩き始めた。

それは私も自分の意志に関係なく呼応するように倣い、歩みを共にする。

どこに連れて行かれるかわからないが、とりあえず命令に従ってついていくしかないようである。

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