表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつか貴方に花束を  作者: レフ・エルザ
2/11

その他大勢のひとり(1)

目が覚めた、そんな感覚がした。

泥のように重たく、凪の海のような静かな眠りだった気がする。

辺りは暗くて、狭い。

これはこれで居心地が悪いわけではないが、起きた以上は体を動かしたい。

思い切って腕を振るう。

なにやら違和感があったが、狭いところから出た開放感はこれはこれで達成感がある。

あたりは夜のようだ。

ぼんやりとした月明かりがいくつも・・・

いや、さすがに月がいくつもあるわけはない。

物語で複数の月が描かれることはあるが、それにしても数が多すぎる。

白い・・・乳白色の月に思えたそれは複数の動く髑髏たち。

俗に言う、スケルトンの集団だった。

普通であれば、私自身叫び声を上げて急ぎ逃げるところであるが、不思議とそのような焦燥感には駆られない。

しんと静まりかえる心には恐怖も焦りもない。

そもそも胸から鼓動が聞こえない。

胸に当てた自身の手を視て、ようやくその理由に気づいた。

自分も、そうであったのだ。


私は、スケルトンの一員であった。


鼓動を打つ心臓はない。

涙を流す眼もなければ、叫ぶ喉もない。

ただ、がしゃがしゃと賑やかに悲しげに骨がなるのみ。


そして目の前に広がる髑髏の群れは、同期のお仲間さんというわけで、

恐怖する必要も無いわけである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ