邂逅一番
その日、何もかもが終わって始まったその日。
いつもとは何か違う違和感があったのは確かだった。
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満月の夜、金属音が響く廃工場。
金属音とは言えども、機械的な音ではなく、金属で形作られた者同士が破壊目的でぶつかり合う音だった。
「そろそろ諦めたらどうだ?」
先に言葉を発したのは、白髪にただ薄汚れたシーツのようなものを体に巻きつけただけの青年だった。
「諦めるってなにをだ?お前を殺す事か?生きる事か?」
売られ言葉に買いことばで返す男は、声だけで男と判断できるものの、素顔は2とだけ書かれた仮面に隠され、体は装甲で覆われている。
「どっちもだよ!」
そう叫んだのはもちろん先に言を飛ばした青年であり、彼の周りには黒い物体が形成される。
それを見た仮面の男の周囲にも同じように白い物体が形成され、射出された。
音速をも超えるスピードで射出された物体は、青年の作り出した白い物体を撃ち落とす。
…かと思われたが、鋭い金属音と共に消失するのは、仮面の男の射出した白い物体のみであり、黒い物体は無傷のように見える。
「悪魔とか言いながらその程度かよ」
青年の嘲笑にチッと舌打ちで返す仮面の男。
それを見た青年はその眼光を殺意で煌めかせると、羽織った布から細い右手を出す。
出された右手に、形成された黒い物質が磁石のように吸い寄せられると、青年の腕を瞬く間に覆った。
巨大な黒い僕となったそれを仮面の男に向ける。
仮面の男は即座に空中に白い物体を形成する。
「化け物が…」
仮面の男がそう呟いた瞬間、青年の黒い棒と化した腕が生き物のように蠢き始めたかと思うと、仮面の男を瞬時に丸呑みにした。
その光景はまるで大蛇が人を丸呑みにする光景にも似ていた。
仮面の男を喰らい尽くした黒い物体は霧散し、青年は自分の右手を凝視する。
まるで汚物を見るような冷たい目だった。
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「おはよう」
暗い部屋にその声だけが響く。
少年、泥門雷太が目がさめると【それ】はさも当然のように寝起きの雷太を覗き込んでいた。
頭の回らない雷太は…
「…おはよう」
とだけ返した。
そのまま二度寝と洒落込もうと布団に潜ろうとする雷太の動きが止まり、勢いよく飛び起きた。
が、叶わず、【それ】と正面激突した雷太の頭は再び柔らかな枕へと吸い込まれるようにして倒れた。
「起きて早々に頭突きとは、いい度胸してるじゃない
」
これが【それ】の正体であり、今後の雷太の人生設計を狂わせる張本人、ソロモン72柱、その序列7番目である、通称【7番】とのであいであった。
これが初のオリジナル小説となります。
ハリーポッターくらいしか挿絵のほぼない本を読んだことのない自分がどこまで描くことができるのかわかりませんが、生暖かい目で読んでいただけると幸いです。
アドバイスや質問があればコメント等よろしくお願いします。
それでは、