小太郎・・・5
間違って本来の第四部分を抜かして投稿してしまいました。ご不便をお掛けして申し訳ありません。
先ほど本来の第四部分を割り込ませました。すみませんでした。
その日はゴールデンウィークの真ん中の日で、家族で外食する予定があった。最初は小太郎も連れて行こう、という案で計画は進められていたのだ。しかし、弟は反対だった。
「車の中に三時間もいてるんは可哀想やろ」
確かにレストランに小太郎が入ることなどできるわけもなく、連れて行っても、車の中で待つことになる。弟の言い分は納得のいくものだった。だから、小太郎は家でお留守番になった。
だいたい三時間くらい経って、私たちは家に帰ってきた。すると、小太郎が酷く悲しそうな声を出して鳴いているのだ。最初は「さみしかったんや」と、思っただけだった。
「もう、みんな帰ってきたで。もうさみしくないんやで」
だから、安心させようと声をかけた。しかし、小太郎の歩く様子があまりにも変だった。なぜかずっと片足を上げて歩いていて、悲しい声も治まらなかった。
「お母さん! 小太郎の足、変やわ!」
私が母にそれを告げ、妹が小太郎を抱いて、母に渡した。しかし、動物病院は休暇中で開いていない。病院は明日からしか開かないのだ。仕方なく、単なる捻挫くらいであればいいのだが、と思いながら、応急処置として湿布を巻いて彼の足を固定した。
次の日、両親は車で、かかりつけの動物病院まで小太郎を連れて行った。私を含め子どもは家で留守番をしながら、小太郎の帰ってくる姿を思い浮かべて話していた。きっと、大したことはなく、くる、あの窓から吻だけを突き出して「楽しいドライブだったよ」と帰ってくるのだろうと、思っていた。
しかし、小太郎は帰ってこなかった。彼の前足は綺麗に折れていて、一日入院することになってしまったらしい。帰ってきた母が言うには、小太郎は我慢強い子で、あまり鳴かなかったらしい。それは獣医師が「普通ならもっとキャンキャン鳴いて痛がるんですよ」といった言葉を受けたもので、人間にとって都合のいい慰めになった。
あまり鳴かなかったのは、声も出ないくらいに怖くて、怖くて仕方なかったからだろう。その日の晩、一人ぼっちになった怖がりの小太郎を想像すると、可哀想で仕方なかった。
それから、小太郎のギブスの毎日が始まった。しばらくの間、歩くのも大変だろうということもあり、気分転換も必要だろうということもありで、彼の散歩は、自転車の前カゴに乗ってというものになった。しかし、心配しているのは人間だけらしく、彼は何もなかったかのように飄々としていた。しかも、そんな心配をよそに、「邪魔やねん、これ」と言うようにギブスを外そうとしきりにそれをかじって、包帯を解こうとしていた。おかげで、次の診察時には、ギブスはボロボロにちぎれて、余計に邪魔なものになっていた。
ところが、小太郎の優雅で、我がままな生活に終止符が打たれることになった。妹が迷い犬を拾ってきたのだ。