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その90「大型スーパーに行った・上」


 午後3時。シフトの関係で午後から休みになってしまった俺は、深月姉と一緒に汐里のお迎えに行った。


 「おお、今日はふたりだ……!!」


 驚きとともに、なぜか汐里は少しうれしそうにする。


 汐里は友達の子たちと手を振って別れ、俺の横について一緒に幼稚園を出た。


 「今日は時間あるし、ちょっと遠くのスーパーに行こうか」


 「おお、いく!」


 汐里は大きく頷いたが、深月姉の反応は芳しくなかった。


 「えー、はやく帰って一緒に孫権倒そうよー」


 「いや、俺がいなくても三國無双は鬼のように強いじゃないか。一人で二千人も三千人も倒すから、百人倒すごとにセリフ出す配下のおじさんも若干引いてただろう?」


 「そっちじゃなくて、シュミレーションの方の三国志の方だよー」


 「ああ、そっちか」


 深月姉はアクションゲームはめっぽう強いが、シュミレーションゲームとなるとどうしようもなく弱い。目先のことしか考えない深月姉のへっぽこ内政によって、俺のいない間に戦国の渦中にいた柏木家が他家に打ち滅ぼされていたということも、よくあった。


 「別にいいじゃないか、スーパーから帰ってからでも」


 「はやく倒したいのー。私はあの憎き孫権のことを思うと、夜も眠れないんだよー」


 「いや、昨日は俺より先に寝てたじゃないか」


 そのとき、汐里が深月姉の服の裾をくいくいと引っ張った。


 「おねーちゃん」


 「どうしたの、汐里ちゃん?」


 「今日行ったら、アイス買ってくれる」


 「え、アイスを……!?」


 「ゆーいちが」


 「俺がかよ」


 深月姉がじぃっと俺を見つめてくる。季節が季節ということもあって、アイスが食べたいのだろう。


 「……前みたいにサーティワンとかはなしだから。ハーゲンダッツとかもダメだよ」


 「おおっ、夕一が太っ腹だ!」


 深月姉と汐里はハイタッチをする。遠くのスーパーに連れ出すだけでアイスを買わないといけないとは、まるでわがままな子どものようだった。


 今日向かうスーパーは、いつも行っている駅前のスーパーと家を挟んで反対側にあるため、普段は滅多に行かない。それにわりと大型な二階建ての施設で、中にはおもちゃやゲームを取り扱ったスペースもある。それだけに、汐里は楽しみにしているようだった。


 汐里の幼稚園からだとそのスーパーまではなかなかな距離があったが、アイスという報酬が約束されているからか、深月姉は珍しく文句の一つもこぼさず歩いていた。


 「おねーちゃんが、いっぱい歩いてる……。すごい……」


 「汐里ちゃんはもしかして、私をクララかなにかだと思ってる?私は普通に立てるし、普通に歩けるよ?」


 「アイスの力だ……!!」


 汐里は心底驚いたように目を大きくしている。


 「深月姉、今度アイス買ってあげるから、就職しないか?」


 「アイス一つでそこまではできないよっ!!」


 さすがに就職を促すだけの力はないようだった。


 それから歩くこと数十分。ようやくその大型スーパーにたどり着いたのだった。


 「スーパーだ……!!」


 汐里はスーパーの看板を指さす。疲れは見せていなかったが、その額には汗が浮かんでいた。


 「暑いようー。ちゃちゃっと中に入ろうよー」


 「よし、それじゃ入るか」


 そうして俺たちは、大型スーパーに足を踏み入れるのだった。

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