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リレーで締めましょう

「なんだか嬉しそう。何かあった。」優香ったら鋭すぎる。

「海に引き替えあっちはご機嫌ななめだね。」

あっちというのは大地のことらしい。

そうだ、自分のことで舞い上がって、大地の失恋のことは忘れていた。

ごめんね。

それに失恋したのは大地だけじゃないと思うよ。

さっきの柊さんと桜井会長からは見えないところに見かけた男の子を思い浮かべる。

あれは生徒会書記の杉宮くんだった。

杉宮くんと言えば、前回はあたしが学級委員だったので生徒会との関わりがあったから、学校行事で一緒に仕事をしたりした。

学級委員と生徒会が一緒に関わる行事は多い。

柊さんと生徒会の桜井会長とか書記の杉宮くんとの接点はそのあたりなんだと思う。

杉宮くんとは今年は少し話したことがある程度。図書室で、日向くんとあたしの特等席のところで。

その杉宮くんがあの二人を見つめて、怒っているような泣きそうな顔をしていたのに気づいてしまった。

何もしてあげられないけど。



体育祭もいよいよクライマックス。

「大地。リレーの集合よ。」

あたしは集合場所へ向かう。

こう見えても足は速い方で、柊さんと共に選抜リレーに選ばれた。

選抜リレーは各学年、男女2名ずつの12名で1チームの編成。

集合場所に並んで、腰を下ろして待機する。

「海。」呼ばれて振り返る。

いつの間にか、大地が側に来ていた。

「はちまき貸して。」

いきなりの申し出だけど、あたしは素直にはちまきをはずして差し出す。

「どうぞ。」なにをするつもりなのかは解らない。

大地は「サンキュ。」と受け取ると、さっと自分のはちまきをあたしにくれた。

ちょっと待て。これは柊さんの愛情込めた(かもしれない)はちまきでは。

大地はさっさとあたしのはちまきをして、さっきまでの不機嫌はどこ吹く風

「気合い充分。」

鮮やかに笑う。

眩暈をおこしそうな程の眩しさに、あたしはぽかんと見つめるばかり。

出発の合図があり、あたしは慌てて大地のはちまきをする。

なんとなく気が引けて、柊さんの方は見られなかった。


リレーがスタートする。1年生女子のスタートがよくなくて最後尾。

1年生男子の桐原くんが1人抜き、柊さんが1人を抜く。

柊さんて案外、負けず嫌いじゃないかな。隠してるけど隠し切れてない気がするよ。

柊さんの次走のあたしは現状維持。

そして、大地にバトンタッチ。一瞬合った視線でわかる。

瞳が本気だ。

そして、そして、大地は一気にトップに。

3人抜いた。壮観。

走り終えた大地に

「おみごと。」賛辞を送ると、ちょっと不満そうに

「それだけかよ。」

あたしとしては大いに誉めたつもりですが、足りなかったかな。

「見てて気持ちよかったよ。すごいね、大地。」

大地は笑顔で、「これのおかげだろ。」とはちまきを外す。

いやいやそれは違うでしょ。と思いながら、はちまきを受け取ろうと右手を差し出す。

大地ははちまきを返してはくれず、またしっかり付け直している。

あたしは、しかたがないなぁって顔をしながらも、どこか嬉しい気持ちになった。


結果、リレーは2位だった。

3年生が抜かれてしまったのよ。惜しかった。

で、体育祭の全種目が終了。

4組連合チームは2位でした。これも惜しかった。

なんだか楽しかったなぁ。

後は片付け。もう少し頑張ろう。







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