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ブックマークしていただけるなんて、ちょっとした感動です。

続きを読んでくださるということですよね。

うれしいです。

図書室でだれかの目に止まっていたなんて。

教室で頬杖をつきながら、昨日の出来事を考える。

別に悪い事をしていたわけではないけれど、あまりいい気分ではない。

あの席は特別なの。あたしと日向くんがよく二人で過ごした場所。

前回の今頃は二人で中間テストの勉強をしていた。本当は二人で過ごす口実に、テスト勉強をしていただけなんだけど。

自分でも気づかずに、今日何回目かのため息をついた。

「またため息ついてるのか。」

柾くんがふいに振り向いて言った。

教室の席替えはまだしていないので、出席番号順だとあたしの前は柾くんだ。

「話してみな。ため息ばかりつかれたら、気になるだろ。」

柾くんの瞳がいつになく真剣だったせいか、おもわずこんなことを口にしていた。

「あのさ、付き合ってる人がいたとするじゃない。」

柾くんがうなづきながら聞いている。

「その人が、ある日自分のことをきれいさっぱり忘れていたらどうする。」

「突飛な質問だな。」

「柾くんだったらどうするの。」

「おれだったら、出会いからまたやってみるかな。」あっさりと言う。

「出会いから。」

「そう、相手がどうしても失くせないやつだったら、何度でも出会って好きにさせるしかないだろう。」

あたしは思わず笑った。

「好きにさせるんだ。好きになってもらうとかじゃなくて。」

なおもくすくす笑っていると、

「そんなに笑うなよ。」と拗ねたように言っている。

「ごめん。」あたしは言った「なんか、目が覚めた感じ。そうだよね。また出会えばいいんだよね。」

そうだ、また始めればいいんだ。

「柾くんの笑顔はさ、お日様みたいで元気が出るよ。ありがとう。」

あたしは久しぶりにはればれとした気持で、心からの笑顔でお礼を言った。

柾くんはといえば、そんなあたしをくいいるように見つめている。

「柾くん?」不思議に思って名前を呼べば、

急に我に返ってあわてたように前を向いてしまった。

さっきまでかっこよかったのに、挙動不審だよ。柾くん。




放課後は買い出しに行かなくちゃ。

1年生の体育運営委員の子と昇降口で落ち合うことになっている。

約束の時間に昇降口へ行くと、1年生の男の子が一人で待っていてくれた。

確か名前は桐原くんだったかな。

「ごめんね。待たせちゃったかな。」

「ぜんぜん大丈夫です。」と元気な答えが返ってくる。

あたしは、ぜんぜんなの?大丈夫なの?どっち、とツッコミたいのをがまんして別の事を言った。

「あれ、もう一人の子は。」

「福田は急用があるとかで来られません。すみません。」

福田さんの代わりに謝っている。

「ぜんぜん気にしないで。」

それにしても、1年生男子と二人きりで間が持つかなぁ。

あたし達は連れ立って歩きだした。


買うものは、はちまきを作るための生地。

あたしたち4組連合チームのチームカラーは白。

白い生地を買うだけの簡単なお仕事。赤とか青とかだと、微妙な色違いが何種類もあって迷うところだけど、白なら迷わず真っ白を買えばいい。

あっという間に買い終わってしまった。天気もいいし、このまますぐ帰るのもつまらないよね。

今のところ間が持たないなんてことはなさそうだし。

桐原くんに寄り道を提案すると

「いいっすね。」と二つ返事で返ってきた。


アイスクリームのお店に入って、二人でアイスクリームを食べる。

桐原くんは話が上手で、入っている野球部の事とか1年生のクラスの話題に、あたしは相づちを打ちながら楽しく耳を傾ける。

「水沢先輩は付き合ってる人とかいるんですか。」

いきなりな質問をときどき投げかけてもくる。

「いないよ。桐原くんはいるの?」

「えっ、おれですか。」少しあせりながら「やだなぁ。先輩そんなこと聞いて。」

なんて言っている。

そっちが先に聞いたんでしょ。

「彼女とかいないです。」それから一呼吸おくと、

「先輩、おれの彼女になってくれませんか。」だって。

「リップサービスとか必要ないから。会話の流れがへんだから。」あたしは苦笑いするしかなかった。

桐原くんは頭をかきながら「へんかなぁ。タイミング失敗か。」なんてつぶやいている。

あたしは空になったカップを持って立ち上がった。

「そろそろ行こっか。」

これから学校へ戻って部活に行くという桐原くんとお店の前で別れることになった。

「荷物は明日先輩のクラスへ持って行きます。」という言葉に甘える事にする。

「ありがとう。またね。」

桐原くんてなかなかおもしろい子だ。












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