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第二十三話「評価と反省」



神殿に戻ると、職員たちが待ちかねたように出迎えてくれた。


「アザリア様、お疲れ様でした」


受付の女性が満面の笑みで迎える。


「本当に、完璧な浄化だったと伺っております」


アザリアは少し照れながら答えた。


「ありがとうございます。何とか終えることができました」


神殿の長も姿を現し、丁寧にお辞儀をした。


「素晴らしいお働きでした。これほど短期間で、しかも完璧な浄化を成し遂げるとは」


アザリアの胸が高鳴った。久しぶりに受ける心からの賞賛である。


「報酬の方も、通常よりも増額させていただきます」


差し出された袋は、予想していたよりもずっと重かった。


「こんなにいただけるのですか?」


「当然です。あなた様のお働きに見合った額です」


職員たちも口々に感謝の言葉を述べてくれる。アザリアは久しぶりに、巫女としての誇りを取り戻した気分だった。


---


一方、神殿戦士の報告は複雑なものとなった。


「戦闘の方はいかがでしたか?」


神殿長が尋ねると、神殿戦士は少し言いよどんだ。


「それが、途中で法力使いの応援が必要になりまして」


「法力使い?」


「アザリア様の護衛の方です。メルベルという」


神殿戦士は正直に報告せざるを得なかった。自分一人では対処しきれなかったこと、メルベルの助けがなければ危険だったこと。


「そうですか。では、その方にもお礼をしなければなりませんね」


神殿長が言うと、神殿戦士は困ったような表情を見せた。


「それが、もうお帰りになられまして」


実際、メルベルは神殿には足を向けず、まっすぐ宿に戻っていた。


「そうですか。それは残念です」


神殿長は少し困惑したが、それ以上は追求しなかった。


---


その夜、アザリアは一人で今日の出来事を振り返っていた。


神殿の上質な部屋で、久しぶりにゆったりとした時間を過ごしている。職員たちの賞賛、増額された報酬、そして何より、自分の仕事への手応え。


(やっと、認めてもらえた)


しかし、素直に喜べない部分もあった。


今日の成功は、本当に自分だけの力だっただろうか。確かに浄化作業は自分が行った。でも、それ以前の戦闘では、完全にメルベルに頼り切りだった。


(彼がいなかったら、どうなっていたのかしら)


神殿戦士の限界を目の当たりにした今、その答えは明白だった。


メルベルの戦闘能力は、自分が思っていた以上に高い。いや、高いというレベルではない。あれは本物の実力だった。


(あんな優秀な戦士を、なぜあんな安い金額で雇えたのかしら)


今思えば不思議なことだった。彼ほどの実力があれば、もっと良い条件の仕事がいくらでもあるはずだ。


(もしかして、私はとても幸運だったのかもしれない)


アザリアは窓の外を見た。向こうの安宿で、メルベルは一人で過ごしているのだろう。


今日の彼の態度は確かに問題があった。神殿戦士に対してあまりにも攻撃的だったし、自分の注意も聞かなかった。


でも、それでも彼は駆けつけてくれた。休んでいてもいいと言ったのに、わざわざ様子を見に来てくれた。


(どうして来てくれたのかしら)


契約上の義務を超えた何かを感じる。単純な金銭関係以上の、何か別の理由があるような気がした。


(明日は、もう少しちゃんと話をしてみよう)


アザリアは心に決めた。メルベルとの関係を改善する必要がある。これから先、もっと危険な場所に向かうのだから。



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