人は簡単に死ぬ
俺はルークと話していた。
「もし僕が死んだら天草はどう思う?」
「あ、死んだって思う」
「ひどいな、悲しんだりしないのか?」
「さぁ、俺にはわからない」
これは嘘ではない。本当にわからないのだ。誰が死んでもはっきり言ってどうでもいいし、と今は思っている。でも実際本当に友達が死んだらわからない。悲しむのだろうか。それとも何も思わないのだろうか。
そして俺はその日の夜の11時に訓練場に来いと刹那に言われた。俺は刹那と話していた。
「ねぇ、天草」
「なに?」
「どうしてスキルを使わないの?どの能力でもスキルはあるはずよ」
そうだ。この能力というものにはスキルがあり、スキルは色んなものがある。いわゆる技だ。
「使う必要がないから、それだけかな」
「そっか、じゃあ私のスキルを一発受けてくれない?天草にスキルを使わせてみせる」
「そうか、頑張れ」
俺はそう言って剣を作り出して構えた。
刹那がドン!!と足を踏み切った。空気が切り裂かれるような音がした。
「オーバークレイム」
「あれ?」
刹那の気配が消えた。辺りを見渡しても刹那はいない。どこだと気配を探っていると後ろから刹那の気配がした。俺は即座に後ろを見た。しかし刹那はいない。今度は上に、そして後ろに、しかし刹那はいない。
「なるほど、錯乱系か」
俺は落ち着いて刹那の気配を読み取ることにした。
「ふぅ」
俺は息を吐いて心拍数を整えた。うっすらとした刹那の気配が色んなところから漂う。すると後ろからしっかりとした刹那の気配がする。後ろを見た。すると刹那が剣を振ろうとしていた。俺は剣をひゅるりと避けたが髪は少しだけ切れてしまった。そして俺は足を踏み込み刹那の脇腹に蹴りを入れた。かなり鈍い音が鳴って刹那は飛んでいった。
「うぐっ、、、くっ、、、」
「俺の勝ちだな。まぁアドバイスするならできるなら毎回毎回の気配を同じにしたほうがいいくらいかな、それ以外は完璧だったよ」
「ちょ、まじで、一回、ボタン、押してくる」
刹那は脇腹を抑えて回復ボタンを押しにいった。
それから少しして刹那が戻ってきた。
「あんたねぇ、少しは手加減しなさいよ」
「ソーリーソーリー」
「あと使う必要がないっていうのはどういうこと?」
「俺のスキルは特殊だし使うような強い相手がいないからな」
「はぁ、でも味方はあんなに死んでるのよ?使って助けてあげても良かったんじゃない?」
「どうでもいいさ、他人なんて」
「そっか、ねぇ天草」
刹那はどこか悲しい目で俺に改めて話しかけた。
「ん?」
「私ね天草のことが好き」
刹那から出た言葉は予想外だった。俺は思わず何も言えないでいた。こういう時どう言えばいいのかわからない。どう返したらいいのかが。
「別に返事が欲しいわけじゃないんだ。ただ伝えられなくなる前に伝えておこうと思ってさ」
「、、、そっか」
「じゃあね、来てくれてありがとう」
そう言って刹那は自分の部屋に行ってしまった。
俺はどうすればいいのかな。誰か教えてくれよ。
天草は1人、訓練場で天井を見ていた。
ーーー次の日の朝
「おはよう」
俺はエマに言った、
「、、、うん」
エマは眠そうに目を擦っていた。今日勝てば残り1試合。どうなるかなんてわからない。
「天草、本取ってー」
「お気楽だな」
俺はそう言ってエマに本を渡した。緊張感がないのは俺らがおそらく異常なのだろう。他の奴らはかなり怯えていたし。
俺は初めて昼に訓練場に行くことにした。理由は訓練をするためじゃない。刹那に話に行くわけでもない。
ただ訓練場にみんなにお別れを言いにきた。
俺は訓練場に入ってただ1人呟いた。
「さようなら、訓練場。さよなら、みんな」




