表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/24

「……好きだよ、真由美」

「……うん。私も。ずっと、好きだったよ」


ふたりはそっと抱き合った。

何も語らず、ただ、世界の終わりにようやく届いた気持ちを胸に抱えて。


静寂が満ちる。

空からは、かすかに光が降りはじめていた。

もうすぐ、この星が終わる。そんな夜。


そしてその、少し離れた木陰。


「……ねえ、ちょっと。あれ、絶対告白したよね? 今のシーン、告白成功の流れだよね? しかも美しくまとまってるし、ドラマならもうエンドロールよね?」


声をひそめて早口でまくし立てる裕子。

その隣で、真由美の母がハンカチで目頭を押さえていた。


「うちの子……ようやく、ようやく……ああもう……!」


そして、真由美の父は――。


「……っぐ……健斗……おまえ……!」


拳を震わせ、歯を食いしばりながら、悔しそうにうなずいている。


「お義父さん、泣いてます?」

「うるさいッ!」


裕子はツッコミたくなる気持ちをぐっとこらえた。


「でも……よかった。ほんと、よかったよね」

そう言って、母が父の手をそっと握る。


「まったく、最後の最後でこんなドラマある? 地球終わるんだよ? もっとこう、ドタバタで終わるかと思ったら、しっかり青春のオチまでついて……」


裕子は言いながら、ぽりぽり頭をかいた。


「で、私がここにいる意味って何なんだろうねぇ。なんかさ、見守りポジション極まりすぎて、逆にちょっと切ないというか……」


そう言って、木陰からそっと出ると、三人で並んで空を見上げる。


――星が、流れた。


一筋、また一筋。

その流れ星たちは、まるで祝福のようだった。


「でもまあ、最後がこんなふうに笑って終われるなら、悪くないかもね」


裕子がそう言うと、真由美の母が笑い、父が肩をすくめた。


「……そうだな。悪くない」


そして、三人の視線の先。

丘の上では、健斗と真由美が、星空の下で手をつないで笑っていた。


**


世界は終わる。

けれどその一瞬前に、

確かに、ひとつの恋が実った。


最後の夜。

最後の空の下。

みんなで笑って、

この星とさよならしよう。


――Fin.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ