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あのバス停の朝から、高校生活が始まった。

って言っても、特にドラマがあったわけじゃない。

俺は相変わらず、ちょっと距離を置きながら真由美を目で追ってたし、真由美はというと、たまにこっちをチラッと見るけど、それ以上は何もなかった。

朝の教室ではおしゃべりする女子の中にいて、帰り道では本を読みながらバスを待ってる。俺が話しかけようと何度かタイミングをうかがったけど、なんかいつも言葉がのど元でつっかえた。

「この前バス停で譲ったやつです」って話しかけたところで、ねぇ?

変なやつって思われたら、それで終わるじゃん。

って、考えすぎて、また話しかけられなかった。


でも、見てるとね、わかるんだよ。

たぶん、あの子も気づいてた。俺が何か言いたげに近くにいるの。

気づいて、でも黙ってる。

たまにこっちを見る目が、それを言ってた。


気がつけば、そんな距離感のまま三年間が過ぎた。


卒業式の日。

やっと、やっと「行くしかねぇ」って覚悟を決めた。

告白なんて人生初だし、失敗したら…って思ったけど、いや、もうそういう問題じゃない。

このまま終わったら、きっと一生後悔する。


式のあと、校門の前でごった返す中をかき分けて、駅までダッシュした。

真由美が、いつもの時間のバスに乗る前に。

走って走って、ようやく見つけたその背中に、声をかけた。

「真由美!」


振り向いたその顔が、ちょっと驚いてて、でも嬉しそうで。

ああ、やっぱりこの子のことが、ずっと――


…って思った瞬間だった。

ポケットのスマホが鳴る。

こんな時に!って思ったけど着信鳴らし続けるのもと思いスマホにでた。

「…ご両親が、事故に遭われまして、すぐに…」

病院からだった・・・


期待していそうな真由美の顔を置き去りにして、俺はそのまま病院へ向かった。

それが、最初で最後の告白のチャンスだったのに。



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