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異世界で偏差値無双!  作者: 木 直木
2/4

1話 『Answer is sample?』

「あの…お兄さん…大丈夫ですか…?」


耳元で優しい声が聞こえる。

ここは一体どこなのだろう。

どうやら、ベッドタウンによくある世帯向けマンションがずらりと辺りに並ぶ中の、少し広めの公園のベンチで俺は寝ていたようだ。


酷く頭痛がする、俺は確か、田稲大学で入試を受けていたはずであったが…何故ここにいる?


それよりも、この長いツインテールが特徴的な、華奢で可愛い女の子(JK)は、なぜ俺みたいな気持ち悪いオタクに声をかけてきたのだろうか。美人局か…?

浪人生に限って、それはないか…(笑)


「あぁ…えっと、すいません…大丈夫です。……」



クッ、ゲームと妄想では散々女性と話すイメージトレーニングをしてきたはずなのだが、いざ女性を前にすると言葉が詰まってしまう。女という生物は俺を戸惑わせる危険な物質を、何か発しているのだろう。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



梅屋敷拓也、21歳無職。

脂ぎった不潔な髪、ニキビ面、日々の不摂生が祟り過度の肥満、DT、女性恐怖症、メガネ。


どうしようもない典型的な"オタク"と呼ばれる見た目をしていることは自分でも理解している。



何故こうなってしまったのか、きっかけはおそらく二浪目の春であった。


「夢は応援したいけど、妹もいるし、貴方だけにそんなにお金はかけられないのよ…」


と切実な顔で母親に言われてからであろう。


流石の梅屋敷もこれには堪えたのか、夏頃までは気持ちを引締め机に向かった。

だがしかし、夏のうだるような暑さは、ジワリジワリと、梅屋敷の活力を奪っていった。


梅屋敷は、いつしか自習室にも通わなくなり、空調の効いた自室で1日2〜3時間の勉強と、2ch、バカモン(バカットモンスターズ)、エロゲ、時折息抜きと題した趣味の鉄道の撮影をする、救いようのないスネかじりと化してしまった。



※なぜ浪人生なのに3時間しか勉強しないのか?という疑問がここで生まれる。

ここでは、家庭を支える苦学生のような理由を1mmほど期待してしまうのがシンプルな大人だ。


だが、答え(Answer)はこれもまた、至ってSimpleだ。


梅屋敷は、3時間以上の勉強は純粋に非効率でムダ!という持論…ワガママを貫き通しているだけである。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




それよりも、まだ頭が痛い。

とりあえず、自動販売機はこの辺にあるのだろうか。



「あの、良かったら、これ、飲んでください」



なんと、そのツインテールのJKは、俺の考えを見透かしたかのように、ポカラスエットを俺に手渡してきた。


ありえない、何が起きている…。


これはまるで、俺が最も嫌う青春物CMのような光景だ。


人の善意を受けながらも、この後に及んで卑屈な妄想をしてしまっている自分を憎みつつ、俺は俯きながらペットボトルを受け取る。


「あ…ありがとうございます…」


そして、俺は勇気を振り絞り、渾身の思いで続けて言葉を発する。


「そ、それよりも、!!

こんな拙者と公園で日没時に会話していては、世間は貴女を良くないことに巻き込まれているのでは、と思ってしまいますぞ…。

ワタクシも、夢叶わずして犯罪者になってしまうのは心苦しい、速やかにご退散願おうか…」


………



何を言っているんだ俺は!!!

自分の女性耐性の無さに、嫌気がさした。


---これだからオタクは身分を弁え、女性とは関わらないべきなんだよ…



「あはははは!!!君すっごく面白いね!!!」


「はー、わらいすぎてほんとお腹痛いわ!」



何故だ、なぜ好意的に受け止められているのだろうか。現実を素直に受け止めるのに俺は暫し苦労した。


「あ、そうだ!君!

今から私と一緒に着いてきて欲しいところがあるんだけど!頭良さそうだしちょうどいい!」



また妙な胸騒ぎがするが、こんな美少女と会話した事もなかった俺は狼狽する権利もなく、腕を引かれ見知らぬ土地を連れていかれるのだった。




-----



「報告です。"被検体"梅屋敷、反応正常です。

".外部"との接触も無事済ませました。

副作用も正常の範囲内です。

引き続き、監視を続けます。」





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