いつでも見られるロストテクノロジー?
鉄道開業150年と言う事で、投稿しました。
ロストテクノロジーと聞くと、オリハルコンやダマスカス鋼、はたまたインカ文明の精確な石積などが思い浮かぶ方が多いと思いますが、じつはあなたが比較的目にするものの中にも、以外なロストテクノロジーがあるのです。
誰でも見ることが可能なロストテクノロジーといわれると、古九谷焼の絵付けや染物、和船(猪木船など)などを想像された方が多いかもしれません。
そんな昔の話ではありません。
つい60年前まで製造されていた機械です。しかも堅牢で現在も稼働しています。直接目にすることは難しいかもしれませんが、テレビのニュースやドキュメンタリー、情報バラエティ、さらに動画サイトで簡単に見ることが可能です。
その機械とは、日本の蒸気機関車なのです。
蒸気機関車は、JR各社、東武鉄道、大井川鐵道、真岡鐵道など複数の会社が動態保存をしているので、冗談だと思うかもしれませんが、本当のことなのです。
いま、蒸気機関車の動態保存を行っている各社の担当が一番頭悩ませていることは、経年劣化と予備部品の調達なのです。
予備部品は、全国各地にある静態保存の蒸気機関車から取り外して、何とか確保していますが、経年劣化だけはどうしようもなく、大井川鐵道で走っていた蒸気機関車が1台、部品取り用予備機になりました。
なぜ、このようなことになるかというと、蒸気機関車のボイラーやシリンダー、加減弁などの重要部品が、現在では製造技術が失われてしまい、新造することがほぼ不可能になってしまっているからです。
蒸気機関車の製造は第二次大戦後の1940年代後半に行われた、C57,C59とC61,C62(一部)の製造が最後でした。
当時の国鉄は「動力近代化」のかけ声の下、電気機関車、ディーゼル機関車、電車、気動車の開発に力を注ぐ一方、蒸気機関車の製造技術は不必要の烙印を押しました。
これを受けて、蒸気機関車製造を行っている会社も研究をやめて担当者をほかの部門に異動させたため、蒸気機関車の製造技術の資料は散逸し職人もいなくなってしまいました。
その結果、現在は重要部品を作る技術はほぼ失われているのです。
2011年に復活した8620形蒸気機関車は、主台枠を新造するのに、金属メーカーとJR九州が必死に研究して、材質や必要強度を調べ上げてようやく製造が可能になったのです。
ボイラーは、ザッパボイラなどごくわずかの企業が技術を維持している状態です。
加減弁やシリンダーの製造技術は、完全復活はしていないようです。
一度、製造をやめて技術の継承をやめてしまうと、技術は簡単にロストテクノロジーになってしまうのです。
町で見かけるガソリンエンジンで動く自動車も、100年後は博物館に飾られているだけのロストテクノロジーになるかもしれませんね。