現代でも使用されている貞永式目(御成敗式目)の項目
現在に生きる私たちの生活を支えている様々なものの一つに、法律があります。
泥棒、傷害、殺人を行えば警察に捕まり、裁判にかけられ、罰を与えられます。これら一連の物事は刑法や刑事訴訟法などの法律に基づいて行われます。
これら法律の中で、日本国内の住人の日常生活を守る法律の一つに民法があります。
この民法は、生活の上でひつような約束事を決めている法律です。
例を挙げると、日用品の売買は民法に規定された売り主と買い主の債権と債務の履行と規定されています。
めんどくさい言い回しですが、こう書いておけば10円の駄菓子も何十億円の土地の売買も同じ、同じ債権と債務の履行ということができる便利なものなのです。
この民法の中に、次のような法律があります。
「所有者が明確でない土地(建物)に、居住を始めて20年たった場合、その土地の所有者になる権利を有する」
という規定があります。もちろん元の所有者からの退去等の注意をされない(元の所有者の主張がない)場合限定です。
しかし、この20年という年数は、どのように決めたのでしょうか。
この土地の所有権にかんする規定は、鎌倉幕府が決めた法令、貞永式目(御成敗式目)に始めて規定されたのです。
鎌倉幕府は、御家人と幕府との御恩と奉公で成り立っています。その御家人にとってもっとも大事なのは土地(農地)の所有(支配)権でした。
そのため、幕府が取り扱う訴訟の多くは、御家人同士や寺社、公家などの土地の所有権やそれに関連するものを巡った争いが、多数を占めていました。
しかし、当時は土地の所有権にかんする法令が決められておらず、訴訟は紛糾することが多かったようです。そこで鎌倉幕府は貞永式目(御成敗式目)には、土地の所有権に関する条文が盛り込まれ、その条文に基づいて裁定を下すようになったのです。。
その中に、「その土地を、20年間土地を所有(実効支配)したものに、所有権を持たせる」という規定を盛り込んだのです。
その法律は、時代が変わっても受け継がれて、現在の民法にも盛り込まれています。
約800年前の法律が、時代の変遷を乗り越えて、現代にも生きているとは、不思議なものですね。
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